車を運転している最中にエンジンから「カンカン」「カラカラ」といった金属音が聞こえたり、車体がガタガタと揺れたりする現象を「ノッキング」といいます。
ノッキングには複数の種類がありますが、放置しているとエンジンが壊れてしまうパターンもありますので、原因のチェックと対処が必要です。今回は、車でノッキングが起こってしまう原因と、ノッキングが発生したときの対策を紹介します。
ノッキングの原因は複数の種類がある
一言にノッキングといっても複数の種類があり、それぞれ原因が異なります。ここではノッキングのおもな種類とそれぞれの原因について説明します。
カーノック・低速ノッキング
運転している最中に車体がガクガクと揺れる現象のことです。運転速度に対してエンジンの回転数が低すぎるときに発生しやすく、たとえばマニュアル車を2速以上で発進させたり、高いギアのまま右左折したりすると不快な揺れが生じます。
また、マウントが劣化してエンジンやミッションの振動を十分に吸収できないときに生じる揺れもカーノックに分類されます。
デトネーション
デトネーションとは、シリンダー内で発生した超高圧・超高温な異常燃焼のことです。本来、4サイクルエンジンは吸入→圧縮→燃焼→排気という過程を経てピストンを上下させ、車を動かす原動力とします。
デトネーションによってピストンやシリンダーが大きな衝撃を受けると、「キンキン」「カタカタ」などハンマーで金属を叩いたような音が聞こえてくるのが特徴です。大きな衝撃を受けると、エンジン内の部品が破損する可能性もあるので早急な対策が必要です。
プレイグニッション
通常のタイミングよりも早い段階で点火し、燃焼が始まってしまう現象のことです。
圧縮前に何らかの原因で燃料が高温になったり、圧縮された空気が発熱したりすると、点火プラグが作動する前に着火してしまい、大きな爆発が起こってしまう場合があります。
その後、さらに通常のタイミングでプラグから火花が飛ぶため、火種が2つになり、爆発力も2倍となります。
一般車でプレイグニッションが起こることは少ないですが、高圧縮比のエンジンを載せた車や、素人が改造した車などで発生しやすい傾向にあります。広義ではデトネーションの一種で、発生したときにエンジンから金属音がする症状も共通しています。 1~2回程度なら問題ありませんが、プレイグニッションを繰り返すとエンジンに負担がかかり、トラブルの原因になることもあります。
ディーゼルノック
ディーゼル車は高温と高圧によって自然発火させる仕組みになっているため、点火プラグで着火するガソリン車に比べるとノッキングが起こりやすいといわれています。異常燃焼ではありませんが、騒音や振動、すすなどが出るので、なるべく発生を抑える必要があります。
車のノッキング対策を種類別に紹介
車のノッキングを抑えるための対策法を種類別にまとめました。
カーノック・低速ノッキングの対策
運転ミスによるカーノックや低速ノッキングの場合、エンジンに深刻なダメージを与えるケースはほとんどなく、適切な運転を意識するだけで解決します。 ただ、マウントの劣化によるノッキングの場合は、部品交換を検討したほうがよいでしょう。
デトネーション・プレイグニッションの対策
デトネーションやプレイグニッション対策では、燃焼室内の温度を下げ、意図しない着火・燃焼を防ぐことが大切です。具体的には、インタークーラーの巨大化または前置きによって吸気温度を下げたり、ターボのブースト圧を低下させたり、ラジエーターを2層または3層式にして冷却水の温度を下げるなどの対策が有効です。 また、燃焼しにくい(=オクタン価の高い)ハイオクガソリンを使用するのも異常燃焼の抑制に役立ちます。
ディーゼルノックの対策
ディーゼル車に使われる燃料の着火性はセタン価によって表されます。セタン価が高いものほど自己着火しやすく、ディーゼルノックの発生を抑えられます。
また、ディーゼル車は空気の温度上昇によって燃料を自然発火させる仕組みになっているため、圧縮比が大きくなるほど着火性がよくなります。
現在販売されている車でディーゼルノックが起こる可能性は低いですが、万が一気になる現象が起こった場合は早めに専門の業者へ見てもらいましょう。
【まとめ】
ノッキングの種類によっては放置せず、適切な対策を行おう
運転ミスによるカーノックや低速ノックの場合はエンジンに大きな影響を与える可能性は低いですし、適切な運転を心掛けるだけで問題は解消されます。
しかし、デトネーションやプレイグニッションの場合、くり返しノッキングが発生するとエンジンに大きな負担がかかって故障の原因となりますので、必要な装備をつけたり、使用するガソリンの種類を変えたりして早めに対策を行いましょう。 万一ノッキングによってエンジンが破損した場合、修理にかなりの費用がかかってしまうので、車買取業者に売却することをおすすめします。
澤井 勝樹
「株式会社はなまる」監査役。1975年生まれ。10年近く会計事務所で経理総務全般の経験を積みながら、税理士、行政書士登録。その後、IT系ベンチャー企業のIPOの準備に携わるなど活動。現在はインターネットとクルマの可能性を世の中に伝えたいとソコカラコラムを執筆中。家族・食べること・愛車のセレナが大好き。おもに廃車の手続きや税金に関するコラムを執筆している。
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