着々と進む地球温暖化への対策として、近年は省エネ性の高い自動車に人気が集まっています。
その中でもとくに話題になっているのが、ダウンサイジングターボ搭載車です。車の省エネ性を高めつつ走行性能も両立させた画期的な車として、近年高い注目を集めています。
欧州ではすでに広く採用されていますが、日本で普及し始めたのはつい最近のことです。
よって、ダウンサイジングターボという言葉すら聞いたことがないという方も多いでしょう。
そこで今回は、今話題のダウンサイジングターボの基礎知識と特徴についてわかりやすくまとめました。

ダウンサイジングターボの基礎知識と特徴
ガソリンエンジン車の場合たくさんの空気を取り入れて、より多くのガソリンを燃やすほど大きなパワーを得られる仕組みになっています。
そのため高馬力車ほど排気量も多くなり、省エネ性が低下するのが難点でした。
そんな従来の車の欠点を解消するために開発されたのが、ダウンサイジングターボです。
特徴としては気筒数や排気量を減らすことにより、従来のエンジンよりもサイズがコンパクトになっています。
本来であれば排気量を減らすとパワーも低下してしまいますが、ダウンサイジングターボには空気をより多く供給するターボ(過給器)が搭載されているため、小型でありながら大きなパワーを生み出せます。
通常のターボとダウンサイジングターボの違い
通常のターボはよりパワフルな走りを実現するため、既存の車の上位モデルに搭載するパターンが主流でした。
一方のダウンサイジングターボは、エンジンの小型化によって不足したパワーを補うことを目的としています。
メカニズムそのものはほぼ同じですが、目的や用途に違いがあるところがポイントです。
ハイブリッドとダウンサイジングターボの違い
ダウンサイジングターボと同様、排気量を抑えつつ、低回転域のパワー不足を補う機能を備えたエンジンが「ハイブリッドエンジン」です。
ハイブリッドエンジンは発進時に電気モーターを使用することで、低回転域でもフルパワーを発揮できます。
ストップ&ゴーがとくに多い市街地では、電気モーターで走行できるハイブリッドエンジンの方が、大きい省エネ効果を期待できるでしょう。
ただ電気モーターによる加速とガソリンエンジンによる加速は体感が異なるため、ガソリンエンジンの加速に慣れている人ほど違和感を覚えるかもしれません。
一方のダウンサイジングターボは高速度域での走行を得意とするため、高速道路での長時間ドライブに適しています。
加速時の体感も従来のガソリンエンジンと同じなので、モーター加速に違和感を覚える方はダウンサイジングターボの方が無理なく運転できるでしょう。
ダウンサイジングターボのメリット
ダウンサイジングターボを搭載した車は、主に省エネ面で大きなメリットがあります。
燃費の向上
従来のターボは排気の圧力でタービンを回し、空気を圧縮して濃い空気をエンジンに送り出す仕組みになっています。
濃い空気を燃やすと排気量を増やさずにパワーアップできますが、低回転域では排気圧が低くタービンを十分回転させられないため、パワー不足に陥るという欠点(ターボラグ)がありました。
ターボラグはターボを活用する上で大きな課題でしたが、近年はタービンの小型化や流入経路の狭小化により、低い排気圧でも十分にタービンを回すことが可能になりました。
低回転域でも十分なパワーを出せる技術の開発により、現在はハイパワーな上位モデルだけでなく、一般的な大衆車にも広く搭載されています。
同じパワーであれば、排気量が小さい方が燃費性能は向上するため、省エネ効果が期待できます。
自動車税の節約になる
日本の自動車税は排気量によって区分されており、排気量が大きいほど課税額も高くなります。
同じパワーの車でも、排気量が1.5Lの車と、2.0Lの車では自動車税に5,500円の差が生じるため、ダウンサイジングターボ搭載車の方が納税額を安く抑えられます。
ダウンサイジングターボの注意点
ダウンサイジングターボは低回転域からトルクを出せるところが特徴ですが、高熱を発生させるぶん、エンジンオイルに負担がかかりやすい傾向にあります。
そのため、自然排気のエンジンよりもオイル交換のサイクルが短く、定期的にメンテナンスしないとエンジンの寿命を縮めてしまう危険性もあるでしょう。
実際の寿命は車の使用状況やエンジン設計によって異なりますが、メーカーがおすすめするオイル交換サイクルを守っていれば、エンジンを長持ちさせられる可能性が高いです。
ダウンサイジングターボは省エネ性とパワーを両立させた画期的なエンジン
ダウンサイジングターボは排気量の減少による省エネ化と、低回転域のパワー不足解消を両立させた画期的なエンジンです。
快適な走行を維持しながらエコな走りを体感できるので、ダウンサイジングターボを搭載した車への乗り換えを検討している方も多くいます。
定期的なエンジンオイル交換を怠らなければ、長く乗り続けられる車ですので、現在の車の走行性能や燃費性能に不満がある場合は、古い車からダウンサイジングターボ搭載車への乗り換えを検討してみるとよいでしょう。

この記事の監修者
浅野 悠
「株式会社はなまる」小売事業部 事業部長。1987年東京都生まれ。小学生から大学生までの間レーシングドライバーを目指し数多くの大会に出場。20代で飲食店経営に携わったのち、野菜配達の仕事に就くも、幼少期からの車への魅力を忘れられず自動車業界へ。中古車査定士の資格を取得し、自動車に関する豊富な知識をもとに、おもに車に起きるトラブルの対処法や車の豆知識に関するコラムを執筆。
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