交通事故での相手の車の修理代、自動車保険について

交通事故を起こしてしまうと、相手の車の修理が必要になる場合があります。
自動車保険に加入している場合は、保険会社に修理費用の請求をすることもできますが、修理費用の請求ができない自動車保険もあります。
また、自動車保険には、自賠責保険と任意保険があります。まずは両者の違いから確認していきましょう。
目次
自賠責保険と任意保険の3つの違い
自賠責保険と任意保険とでは、それぞれ役割が異なります。
自賠責保険は、交通事故が発生した際、被害者の最低限の救済をするために存在します。
自賠責保険で損害の補償ができない範囲について、任意保険でカバーする関係になっているのです。
自賠責保険がカバーする補償の範囲
自賠責保険は、人的な損害だけをカバーします。
被害者が怪我をした場合、怪我の治療費や休業補償、後遺障害の補償などが保険金で支払われます。
ただし、一般的には、自賠責保険の損害認定の基準は、非常に低く見積もられています。
また、車の修理代は、自賠責保険ではカバーされません。
事故で損害が発生した場合に、本当に必要最小限の補償だけをするのが自賠責保険の役割です。
任意保険がカバーする補償の範囲
任意保険は、自賠責保険でカバーしきれない部分の損害について、補償する役割を担っています。
後遺障害が生じた場合の補償も、自賠責保険の基準よりも高い基準で損害が認められ、保険金の支払いがされます。
自賠責保険との大きな違いは、物的な損害の補償もされる点にあります。交通事故で車の修理が必要になった場合、保険金が支払われるのは、物損事故の補償がされている任意保険に加入している場合です。
加害者が任意保険に未加入の場合は、加害者本人に自動車の修理費用を請求されます。「任意保険には必ず入ろう」と言われるのは、裁判で損害が認定された場合に、自己破産によっても消えない支払い義務が生じてしまうからです。
車の修理代は過失割合によって支払い額が決定
交通事故の加害者だからといって、車の修理代の全額を支払う事になるとは限りません。多くは発生した車の修理代の7~8割が加害者によって支払われています。
交通事故が発生した責任の割合の事を過失割合と言います。たとえば、交通事故の加害者と被害者の責任の割合が7:3だとすると、車の修理代も加害者と被害者で7:3の割合で負担します。
被害者の車の修理代が20万円とすると、その7割の14万円が加害者に請求されます。
ただし、100%加害者に過失がある場合は、修理代を全額支払う場合もあります。
交通事故による車の修理代が支払われるまでの流れを解説
交通事故が発生してから修理代が支払われるまでの流れは、任意保険に加入しているかどうかで異なります。全損扱いの場合の支払いも含めて詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
任意保険に加入の場合は保険会社が支払う
交通事故の加害者が任意保険に加入している場合は、被害者が任意保険会社に保険金の支払いの請求を行い、任意保険会社が、過失割合に応じて車の修理代を支払います。
示談交渉の契約もしてあれば、交通事故の加害者は、被害者と示談交渉をする必要もなく、保険会社の担当者に交渉を任せられます。
被害者の怪我の治療や車の修理が全て終わり、損害額の確定と保険金の支払いが終われば、交通事故の手続きは終わりです。
交通事故の加害者は、手続き完了後に保険会社から損害額の認定についての通知を受けることで、保険金が幾ら支払われたのか確認できるようになっています。
加害者が任意保険に未加入の場合は本人が被害者と交渉する
加害者が任意保険に入っていない場合は、被害者、或いは、被害者の代理人と直接交渉しなければなりません。
双方の話し合いで納得できれば、示談書を作成して車の修理代を支払います。
示談の話し合いがまとまらなければ、被害者は、裁判所に損害額の認定の申し立てを行います。その後、裁判官の判断により損害額が決定され、加害者に対して支払い命令がなされます。
裁判の判決が出ても支払いを拒んでいると、給与や財産の差押えなど、強制執行が行われる場合もあります。
被害者の車が全損扱いの場合は買替費用が支払われる
車の修理代が車両の評価額を超える場合は、修理代ではなく、買換費用が支払われます。
たとえば、事故被害者の車両の評価額が30万円であるのに対し、修理代が50万円掛かると見積もられた場合は、車の買替費用として30万円だけが支払われます。
交通事故の被害者の心情からすると「30万円では納得できない」と思うかもしれませんが、車両の評価額以上の損害が認められることはありません。事故の加害者を相手に裁判をしたとしても、車両の評価額を超える損害が認められることはないでしょう。
任意保険はしっかり選んで加入しよう
交通事故の車の修理代の支払いでは、被害者が納得できないケースも少なくありません。
事故による車の修理代の支払いについて理解を深め、自分に合った保険を選びましょう。
日頃から安全運転を心掛けて、事故防止に努めることも、トラブルで嫌な思いをしないために大切です。
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