- 2025.06.13
後部座席のシートベルト違反の罰金|高速道路と一般道の違いを解説
2008年の道路交通法改正により、後部座席を含めシートベルトの全席着用が義務化されました。しかし、その実態はどうでしょうか。
警察庁とJAFの合同調査(令和元年度)によると、後部座席のシートベルト着用率は一般道路でわずか39.2%、高速道路でも74.1%という結果が出ています。
一方、運転席では一般道で98.8%、高速道路で99.6.8%と非常に高い着用率を誇り、助手席でも高い着用率を示しています。(出典:JAF「シートベルト着用状況 全国調査結果」、2020年1月24日公開)
この結果から、後部座席のシートベルト着用率が、運転席や助手席と比べて大幅に低いことがわかります。
後部座席でシートベルトを着用していないと、高速道路では「シートベルト装着義務違反」となり、死亡事故のリスクが高まります。
後部座席のシートベルト着用の義務化の経緯や、シートベルトを正しく着用しなかった場合の危険性について解説していきます。

シートベルトの着用は後部座席も義務!一般道・高速道路の罰則の違い

2008年に道路交通法が改正されたことで、シートベルトの着用が後部座席も含めて義務化されました。ここでは、後部座席のシートベルト着用義務化の詳細や、一般道・高速道路での「シートベルト装着義務違反」の違いを説明します。
2008年の道路交通法改正で全席着用が義務化
2008年の道路交通法改正により、第71条の3 第1項および第2項で、シートベルトの全席着用が義務付けられました。関係がある条文は次のとおりです。
第1項
自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。
第2項
自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置に乗車させて自動車を運転してはならない。
[注1]
第2項において、「座席ベルトを装着しない者」を「運転者席以外の乗車装置」に乗せてはならないと明文化されています。
後部座席のシートベルト装着義務違反は、一般道・高速道路で罰則が違う!
シートベルトの着用義務違反に対する罰則は、道路の種類によって異なります。一般道と高速道路での違いを理解し、常にシートベルトを着用しましょう。
高速道路での罰則
高速道路でのシートベルト着用義務違反は、より厳しく取り締まられます。違反した場合、運転者には違反点数1点が加算されます。
ただし、反則金が科されることはありません。高速道路は速度が高いため、事故が発生した場合のリスクも大きくなります。
そのため、シートベルトの着用は、自身の安全を守るだけでなく、同乗者の安全を守るためにも非常に重要です。
一般道での罰則
一般道でのシートベルト着用義務違反に対する罰則は、高速道路とは異なります。一般道での違反に対しては、現時点では行政処分(違反点数加算)はありません。
しかし、シートベルトを着用しないことは、事故発生時の致死率を著しく高めるという事実を忘れてはなりません。
シートベルトを着用していない場合、事故の衝撃で車外に放り出されたり、車内で身体を強く打ちつけたりする危険性が高まります。
たとえ一般道であっても、シートベルトを着用することは、自分自身と、同乗者の命を守るために不可欠です。
違反点数の累積と免許停止
シートベルト着用義務違反に限らず、交通違反を繰り返すと、違反点数が累積されます。一定の点数に達すると、免許停止や免許取消しといった行政処分が科されます。
免許停止となると、運転することができなくなり、仕事や日常生活に大きな影響を与える可能性があります。交通ルールを守り、安全運転を心がけることが重要です。
シートベルトの着用は、罰則を避けるためだけでなく、自身の安全を守り、周囲の人々を危険から守るための基本的な行動です。常にシートベルトを着用し、安全運転を心がけましょう。
関連記事:軽自動車は事故に弱い?強い?安全性や選び方について解説!
シートベルト着用の免除規定
道路交通法では、シートベルトの着用が義務付けられていますが、特定の状況下では着用が免除される場合があります。
以下では、道路交通法施行令第26条の3の2に基づき、シートベルトの着用が免除される具体的なケースについて解説します。
病気による免除
病気によってシートベルトの着用が困難な場合、着用が免除されることがあります。具体的には、呼吸器系の疾患や、体幹を固定することが難しい症状など、シートベルトを着用することで健康を害する可能性がある場合が該当します。
このような場合は、医師の診断書や意見書など、病状を証明できる書類を携帯しておくことが推奨されます。
緊急時や、やむを得ない事情がある場合は、これらの書類がなくても免除が認められることもありますが、安全のためにも、事前に医師に相談し、適切な対応をとることが重要です。
妊娠中の免除
妊娠中の場合も、シートベルトの着用が免除されることがあります。妊娠中は、シートベルトの着用が母体や胎児に影響を与える可能性があると医師が判断した場合に免除されます。
具体的な判断は医師が行い、医師の指示に従うことが重要です。母子手帳や、医師の診断書などを携帯しておくと、万が一の場合に説明がスムーズになります。
シートベルトを着用する際には、腹部への圧迫を避けるように注意し、適切な位置で着用するようにしましょう。

業務上の理由による免除
業務上の理由により、シートベルトの着用が困難な場合も、着用が免除されることがあります。具体的には、警察官や消防官が緊急車両を運転する場合、または、郵便配達員が郵便物を配達する際など、職務遂行上、シートベルトの着用が妨げられる場合が該当します。
これらの職業に就いていることを証明できる身分証明書などを携帯することが推奨されます。
ただし、安全を確保できる範囲内でのみ免除が適用されます。緊急時には、安全を最優先に考え、適切な対応をとることが求められます。
その他
上記以外にも、身体的な理由や、特別な事情がある場合には、シートベルトの着用が免除される場合があります。詳細については、最寄りの警察署や、交通安全に関する専門機関にお問い合わせください。
後部座席でシートベルトを着用していないとどうなる?統計で見る危険性
後部座席でシートベルトを着用していないと、具体的にどれくらい交通事故の危険性が上がるのでしょうか。警察庁発表の2つの統計を紐解きました。[注1]
シートベルト着用時に比べ、高速道路では致死率約11.7倍になる

過去10年(平成22年~令和元年)の後部座席同乗中の交通事故の統計を見ると、シートベルト着用者・非着用者で致死率に大きな差があることがわかります。
後部座席の乗員がシートベルトを着用していない場合、高速道路では交通事故の致死率が約11.7倍、一般道路では致死率が約3.3倍に上昇しています。
車外に放り出されたり、車内で全身を強く打ったりする危険も
続いて、過去10年に後部座席で発生した死亡事故の内訳を見てみましょう。
もっとも多いのは車内で全身を強く打つ「車内部位衝突(684人)」で、死亡原因の66.7%を占めています。
次いで、車の外に勢いよく放り出される「車外放出(261人)」が2番目に多く、全体の25.5%です。もしも、時速60kmで走行中に自動車が衝突した場合、乗員は高さ14メートルのビルから落下するのと同じ衝撃を受けます。
また、後部座席の人が勢いよく投げ出されると、運転席や助手席の人も巻き込む死亡事故につながるリスクがあります。後部座席用のシートベルトをきちんと着用することは、自分だけでなく他人の命を守ることにつながります。
過去の交通事故の事例をご紹介

統計データからは、シートベルト非着用の危険性が示されていますが、ここでは、より具体的にそのリスクを理解していただくために、過去の交通事故の事例をいくつか紹介します。
これらの事例は、シートベルトを着用していなかったために、後部座席の乗員が深刻な事態に陥ったケースです。
事例1:衝突事故による重傷
ある高速道路での多重衝突事故において、後部座席に乗車していた人物がシートベルトを未着用でした。
事故の衝撃で車体が大きく損傷し、車内が激しく揺さぶられた結果、この人物は車内で身体を強く打ちつけ、重傷を負いました。
シートベルトを着用していれば、衝撃を軽減し、このような重傷を回避できた可能性は高いと考えられます。
事例2:横転事故による死亡
夜間の一般道で発生した横転事故では、後部座席の乗員がシートベルトを着用していませんでした。車が横転した際に、この乗員は車外に投げ出され、残念ながら命を落とす結果となりました。
もしシートベルトを着用していれば、車内に留まり、生存できた可能性があったかもしれません。
事例3:追突事故による深刻な負傷
信号待ち中に後方から追突された車で、後部座席の乗員がシートベルトを未着用でした。追突の衝撃で、この乗員は前席に強く衝突し、首や腰に深刻な負傷を負いました。
シートベルトをしていれば、衝撃を分散させ、このような重傷を避けることができたかもしれません。
これらの事例は、交通安全に関する公的機関や、事故調査に関する専門機関が公開している情報を参考に、個人が特定できないように配慮して作成しました。
後部座席でもシートベルト着用は義務!正しくシートベルトを着用しよう

2008年の道路交通法改正により、後部座席もふくめシートベルトの着用が義務化されました。正しくシートベルトを着用することが、走行中の安全につながります。
後部座席の人がシートベルトを着用していないと、「後部座席シートベルト装着義務違反」に問われるだけでなく、交通事故の致死率も大きく上昇します。乗員全員が正しくシートベルトを着用し、安心安全な運転を心がけましょう。
[注1] 警察庁:全ての座席でシートベルトを着用しましょう
シートベルトは、正しく着用することで、万が一の事故の際に乗員を保護する重要な役割を果たします。
まず、シートベルトがねじれていないか、緩んでいないかを確認してください。
シートベルトがねじれていると、衝撃を適切に分散できず、怪我のリスクが高まります。緩んでいる場合も同様です。
次に、体格に合わせてシートベルトを調整しましょう。多くの車には、シートベルトの高さを調整する機能があります。
肩ベルトが首や顔に触れないように、また、肩から少し離れた位置にくるように高さを調整してください。適切な位置に調整することで、事故の際にシートベルトが身体をしっかりと支え、安全性を高めることができます。
図解入りの解説も参考に、正しい着用方法をマスターしましょう。
まとめ
2008年の道路交通法改正により、後部座席もふくめシートベルトの着用が義務化されました。正しくシートベルトを着用することが、走行中の安全につながります。
後部座席の人がシートベルトを着用していないと、「後部座席シートベルト装着義務違反」に問われるだけでなく、交通事故の致死率も大きく上昇します。
乗員全員が正しくシートベルトを着用し、安心安全な運転を心がけましょう。
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[注1] 警察庁:全ての座席でシートベルトを着用しましょう

この記事の監修者
浅野 悠
「株式会社はなまる」小売事業部 事業部長。1987年東京都生まれ。小学生から大学生までの間レーシングドライバーを目指し数多くの大会に出場。20代で飲食店経営に携わったのち、野菜配達の仕事に就くも、幼少期からの車への魅力を忘れられず自動車業界へ。中古車査定士の資格を取得し、自動車に関する豊富な知識をもとに、おもに車に起きるトラブルの対処法や車の豆知識に関するコラムを執筆。
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