- 2022.06.27
所有者が死亡した車の廃車手続き方法は?
所有者が死亡した車を廃車する場合は、車を相続し、新しい所有者に名義変更してから廃車手続きをします。ただし、軽自動車の場合は相続手続きが不要で、名義変更したのち、通常の廃車手続きを行います。
車の所有者がローン会社になっている場合は、ローンの残債状況を確認し、残っていたら相続人が支払います。ローンを完済しなければ、基本的には廃車も売却もできません。
今回は、所有者が死亡した車の廃車手続き方法について解説します。

所有者死亡の車を廃車する場合は相続手続きが必要
車を廃車する際は、所有者が直接運輸支局または軽自動車検査協会に足を運び、永久抹消登録の手続きをしなければなりません。そのため、所有者が亡くなった車を廃車するには、法定相続人が車を相続し、名義変更をしてから廃車の手続きを行います。相続手続きは、たとえ車としての価値がなくても必要です。
廃車の手続きを解体業者に依頼する場合は、車を相続して名義変更したのち、委任状を作成します。
相続期限は、相続発生の翌日から10ヵ月以内です。[注1]
相続確定後、税務署に申告して相続税を納めます。もし相続する財産が相続税の控除額内であれば、税務署への申告は必要ありません。[注1]
税務署への申告が不要であっても、所有者死亡の車は速やかに相続を確定し、廃車の手続きを済ませましょう。廃車手続きを後回しにしていると、その分無駄な自動車税を納めなければなりません。
[注1]国税庁,「No.4205 相続税の申告と納税」,
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm ,(2022-01-28)
こちらもおススメ:土地活用による相続税対策とは?有効な理由と相続税の基礎知識
所有者が死亡した車の廃車手続き方法
車の相続人が決定したら、一般的に廃車や売却したときと同様に、15日以内に運輸支局または軽自動車検査協会で廃車の手続きを済ませましょう。[注2]廃車手続きは自分で行うほか、解体業者に依頼することも可能です。
[注2]豊田市,「登録、廃車、名義変更などの手続き」,
https://www.city.toyota.aichi.jp/kurashi/zeikin/kei/1002902.html ,(2022-01-28)
自分で行う場合は、まず解体業者に車を持ち込んで解体してもらいます。車が公道を走行できない状態であれば、積載車やレッカー車を依頼する必要があります。解体が終わったら、ナンバープレート(2枚)と、解体証明書を受け取りましょう。解体証明書の発行がない場合は、移動報告番号や解体報告記録日を必ずメモしましょう。
最後に、解体した車が軽自動車だった場合は軽自動車検査協会、普通車だった場合は運輸支局に足を運び、永久抹消登録の手続きを行います。
軽自動車の場合
軽自動車の廃車手続きでは、返納するナンバープレートのほか、車検証(原本)、相続人の印鑑、新しい所有者の住民票の写し、解体情報または解体証明書(移動報告番号や解体報告記録日)が必要です。名義変更後、通常通り永久抹消登録の「解体返納」手続きを行います。
普通自動車の場合
軽自動車に比べ、普通自動車の廃車手続きは用意すべき書類が多いため、書類漏れや不備がないよう注意しましょう。必要書類は以下のとおりです。[注3]
- ナンバープレート2枚
- 解体証明書または解体情報(移動報告番号や解体報告記録日)
- 車検証(原本)
- 戸籍謄本または戸籍全部事項証明書(所有者が亡くなったことが分かり、相続人全員が載っているもの)
- 遺産分割協議書
- 相続人の印鑑(実印)と印鑑証明書または委任状(代理人申請の場合)
[注3]近畿運輸局|永久抹消登録及び解体届出
https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/shaken/seibika/eikyuumashou.htm
車を共同相続している場合は、相続人全員の記載がある戸籍謄本(または除籍謄本)、実印(または実印が押された委任状)、印鑑証明書ほか、新しい所有者以外の譲渡証明書が必要です。
法定相続人が運輸支局に行けない場合は、出向委任状を作成します。
また、廃車する前に車を一時的に利用したい場合は、先に名義変更が必要です。手続きが複雑化し必要な書類も増えるため、足を運ぶ前に、一度運輸支局に問い合わせしておいたほうがよいでしょう。
所有者がローン会社の場合はまずローン残債を確認
車検証の所有者欄がローン会社(またはディーラー)になっている場合は、車のローンが残っている可能性があります。まずは所有者欄の会社に連絡し、ローン残債があるかどうかを確認しましょう。
ローンが残っている場合は、相続人がローン残債を支払う必要があります。ローン会社に車の使用者が死亡したことを伝え、今後のローン支払い方法や使用者変更手続きに必要な書類についての説明を受けましょう。
ローンを完済しなければ、廃車手続きは行えません。
ローンを完済している場合は、所有権解除の申請をします。通常、ローン完済後に手続きされるものですが、手続きが少々複雑であることから、完済後所有者欄がローン会社名義のままになっているケースがあります。
申請手続きを行い、ローン会社から所有者解除手続きの書類が届いたら、運輸支局にて名義変更と廃車手続きを行います。
【まとめ】
所有者死亡の車は速やかに相続を確定して廃車手続きをしよう
共有財産に所有者死亡の車がある場合は、相続手続きを終えてからでないと廃車はできません。そのまま所有していると、自動車税を支払い続けなくてはならないため、速やかに相続を確定し、廃車手続きを済ませましょう。
車が軽自動車の場合は軽自動車検査協会、普通自動車の場合は運輸支局にて永久抹消登録の手続きを行います。
車にローン残債がある場合は、相続人がローン支払い、完済するまで廃車できませんのでご注意ください。

この記事の監修者
浅野 悠
「株式会社はなまる」小売事業部 事業部長。1987年東京都生まれ。小学生から大学生までの間レーシングドライバーを目指し数多くの大会に出場。20代で飲食店経営に携わったのち、野菜配達の仕事に就くも、幼少期からの車への魅力を忘れられず自動車業界へ。中古車査定士の資格を取得し、自動車に関する豊富な知識をもとに、おもに車に起きるトラブルの対処法や車の豆知識に関するコラムを執筆。
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