- 2024.12.25
重量税とは?自動車税との違いや計算方法について解説
車を所有すると、さまざまな税金が発生しますが、その中でも特に重要なのが「重量税」と「自動車税」です。これらは多くの人が混同しやすい税金でありながら、支払うタイミングや計算方法が大きく異なります。それぞれの内容を正しく理解することは、車の維持費を効率的に管理するための第一歩です。
本記事では、重量税の基本的な仕組みや自動車税との違い、さらには支払いのタイミングや計算方法を詳しく解説します。また、重量税を支払わない場合のリスクや還付制度の活用方法、さらには車の売却におけるポイントまで、包括的に解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

重量税とは

重量税とは、自動車の重量に基づいて課される税金であり、道路の維持管理や交通安全対策を目的とする国税です。この税金は、新車登録時や車検時に支払う必要がありますが、その金額は車の重量や用途、経過年数によって異なります。
重量税の定義
重量税とは、車の総重量を基準に計算される税金で、道路の整備や維持管理費用の財源として使用されます。具体的には、新車を登録する際や車検を受ける際に支払う必要があり、車の重量が増えるほど税額も高くなります。
また、経過年数や車種、さらには燃費性能に応じたエコカー減税の有無によっても金額が変動します。たとえば、エコカーや低排出ガス車は通常の車よりも優遇措置を受けることが可能です。重量税は国税として徴収され、国の道路政策を支える重要な財源となっています。このため、車を所有している人にとっては避けられない費用の一つです。
重量税の金額を構成する項目
重量税の金額は、車の重量、用途、経過年数、エコカー減税の対象であるかどうかなど、複数の要素によって決定されます。まず、車の重量は500kgごとに税額が設定されており、重い車ほど高い税額が課されます。次に、車種や用途による区分も大切な要素です。
たとえば、自家用車と事業用車では税額が異なります。また、車検時点での登録年数が長い場合、特に13年以上が経過した車には増税措置が適用され、さらに20年以上経過した車には追加の増税が課されます。このように経過年数が税額に影響するのは、古い車が新しい車と比較して環境負荷が大きいとみなされるためです。
一方で、エコカー減税が適用される車は、燃費性能や環境性能が優れていることを理由に、税額が大幅に軽減または免除されることがあります。たとえば、電気自動車やプラグインハイブリッド車などは、重量税の対象から完全に外れるケースも少なくありません。これらの制度を正しく理解することで、自分の車の維持費を最適化することが可能になります。
自動車税との違い
重量税と自動車税は、車に関連する税金である点では共通していますが、その課税基準や目的、支払いタイミングには大きな違いがあります。重量税は車の重量に基づいて課される国税で、新車登録時や車検時に一括で支払う必要があります。
一方、自動車税はエンジンの排気量を基準として課される地方税であり、毎年4月1日時点で車を所有している人に課税されます。また、重量税は道路の整備や維持を目的としているのに対し、自動車税は地方自治体の一般財源として使用されます。
このように、目的や性質が異なる税金であるため、混同しないよう注意が必要です。特に、新車購入時には両方の税金を同時に支払うケースがあるため、それぞれの仕組みを理解しておくことが大切です。
関連記事:自動車重量税の仕組みと注意点について
自動車重量税のタイミング

重量税は特定のタイミングで支払う必要があり、日常的に支払うものではありません。その支払いタイミングを正確に把握することで、予期せぬ出費を防ぎ、計画的な車の維持管理が可能になります。
支払うタイミング
重量税を支払う主なタイミングは、新車登録時と車検時です。新車を購入した場合、初回登録の際に重量税を一括で支払います。この際の税額は、車の重量やエコカー減税の適用状況によって異なります。その後、車検ごとに1年分または2年分をまとめて支払う必要があります。
たとえば、普通自動車の場合は車の重さによって額が変わり、車両重量0.5トンごとに年間4,100円、軽自動車の場合は重さにかかわらず3,300円が税額です。また、車検の際には重量税以外にも自賠責保険料や車検整備費用が発生するため、事前に全体の費用を見積もっておくことが大切です。
増税するタイミング
重量税は、車の経過年数によって税率が変動します。一般的に、新車登録から13年以上経過した車は「経年車」として扱われ、重量税が割増されます。この増税措置は、古い車が新しい車と比べて燃費性能や排出ガス性能が劣ることを考慮したものです。
また、18年以上使用されている車にはさらに高い税率が適用されることがあります。これらの増税措置は、新しい車への買い替えを促進するための政策の一環でもあります。そのため、古い車を所有し続ける場合は、維持費が高くなる点を考慮に入れる必要があります。
関連記事:自動車税は13年でどう変わる?車の税金・重量税などを解説
重量税の計算方法

自動車重量税は、車の重量、経過年数、エコカー減税の適用有無など、さまざまな要素によって金額が決定されます。この税金は新車購入時や車検時に一括で支払うものであり、車の使用状況やタイプによって異なるため、正確な金額を知るには事前の確認が大切です。
以下では、自家用乗用車と軽自動車に分けて具体的な計算方法を説明します。また、全体的な税額の目安となる一覧表も併せて紹介します。
自家用乗用車の場合
自家用乗用車の重量税は、車の重量と経過年数に基づいて計算されます。重量税の基準は500kgごとに設定されており、車が重くなるほど課税額も増加します。たとえば、車両重量が1トン未満の車の場合、税額は年間8,200円です。一方、1トン以上1.5トン未満の車は12,300円、1.5トン以上2トン未満の車は16,400円と税額が段階的に引き上げられます。
また、登録から13年以上が経過した車は「経年車」として扱われ、税額が増加します。この場合、1トン未満の車は11,400円、1.5トン未満の車は17,100円、2トン未満の車は22,800円と設定されています。さらに、20年以上が経過した車では税率がさらに高くなり、1トン未満で12,600円、1.5トン未満で18,900円、2トン未満で25,200円に達します。これらの増税措置は、燃費や環境性能の劣る車の使用を抑制する目的で導入されています。
エコカー減税が適用される車の場合、重量税の金額は大幅に軽減されるか、場合によっては完全に免除されることもあります。たとえば、電気自動車やプラグインハイブリッド車は、優れた環境性能が認められ、重量税の免除対象となるケースが多く見られます。このため、新車購入時には減税の対象車種を選ぶことで維持費を抑えることが可能です。
参照:フローチャート・税額表
軽自動車の場合
軽自動車の重量税は、普通自動車に比べて低く設定されています。新規登録から13年未満の軽自動車は、2年自家用で、6,600円です。しかし、登録から13年以上が経過すると、税額が8,200円に引き上げられます。さらに、18年以上が経過した場合は8,800円と、通常よりも高い税額が課されます。
軽自動車もエコカー減税の対象となることがあります。この場合、減税の内容は普通自動車と同様に適用されますが、もともとの税額が低いため、減税後の金額はわずかな負担にとどまるケースがほとんどです。たとえば、低排出ガス車として認定された軽自動車の場合、初回の車検時に重量税が免除されます。このような優遇措置は、燃費性能が優れた車の普及を促進するために設定されています。
参照:フローチャート・税額表
重量税を支払わないとどうなる?

重量税を支払わないことで発生するリスクは少なくありません。車検を通せない、延滞金が発生する、最悪の場合には法的なトラブルに発展する可能性もあります。以下では、具体的なリスクについて詳しく解説します。
車検を通せないリスク
重量税は車検の際に必ず支払う必要があります。そのため、重量税を未納のままでは車検を受けることができません。車検切れの状態で車を運転すると、道路交通法違反として厳しい罰則を受ける可能性があります。
たとえば、罰金や反則金の支払い、違反点数の加算などが考えられます。さらに、車検切れの車が事故を起こした場合には自動車保険が適用されないため、多額の賠償金を自腹で支払わなければならないリスクもあります。このように、重量税の未納は車の所有者として重大な問題を引き起こす可能性があるため、確実に支払うことが大切です。
延滞金の可能性
重量税を期限内に支払わない場合、延滞金が発生することがあります。延滞金の額は未納期間に応じて加算されるため、早めに納付を済ませることが賢明です。また、未納が長期間続くと、強制的な徴収措置が取られる可能性もあります。
たとえば、財産の差し押さえや銀行口座からの強制引き落としなどが実行されるケースも考えられます。こうした状況を避けるためには、重量税の納付スケジュールをきちんと把握し、計画的に支払いを済ませることが大切です。
自動車重量税の還付制度について
自動車重量税には、特定の条件を満たした場合に還付を受けられる制度があります。この制度を正しく活用することで、車を手放した後でも未使用分の税金を取り戻すことが可能です。以下では、還付制度の仕組みや手続きについて詳しく解説します。
還付制度とは
還付制度とは、車が廃車となった場合や海外輸出された場合などに、車検が残っている期間分の重量税を返金してもらえる仕組みです。この制度は、未使用分の税金を無駄にしないためのものであり、車を手放す際に大きなメリットをもたらします。
ただし、単なる名義変更や売却では還付を受けることはできず、廃車や解体証明書が必要となる点に注意が必要です。
還付金の条件
還付金を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。まず、車検期間が残っていることが大前提です。また、車が正式に廃車登録されていることが求められます。廃車登録の際には、車検証やナンバープレート、解体証明書など、必要な書類を揃える必要があります。これらの手続きが完了して初めて、還付金の申請が可能です。
支払われるタイミング
還付金は、申請手続きが完了した後、通常は1カ月以内に指定された銀行口座に振り込まれる仕組みとなっています。ただし、申請書類の内容に不備がある場合や、申請が混み合う時期(年度末など)には、振り込みまでに通常よりも長い時間がかかることがあります。
そのため、早めに必要書類を揃え、正確な情報を申請することが不可欠です。特に、解体証明書や車検証の提出漏れなどが発生すると、手続き全体が遅れる可能性があるため、事前に必要な手続きの流れをしっかり確認しておきましょう。
また、還付金が支払われる時期については、地域によって運用方法が異なることもあるため、事前に管轄の運輸支局や専門機関に問い合わせておくと安心です。還付金は、車を手放す際の重要な資金として活用できるため、計画的に手続きを進めることが望ましいです。
還付金の計算方法
還付金額の計算は、「納付した重量税×車検の残り期間÷車検の有効期間」となります。1年間の納税額を日割りで計算し、抹消した翌月から3月までの月数をかけることで、計算可能です。
月初に手続きを行った場合はその月全体が未経過分としてカウントされますが、月末近くで手続きを行った場合は、その月が含まれない可能性もあります。このため、最も有利な還付を受けるためには、車検期間を確認しながら計画的に廃車手続きを進めることが必要です。
なお、正確な計算については、国土交通省の公式ウェブサイトや、運輸支局での相談を通じて確認することをお勧めします。これにより、還付金額の見積もりを正確に把握することができ、資金計画にも役立てられるでしょう。
関連記事:廃車手続きにおける自動車重量税の廃車還付制度とは?
車の売却ならソコカラ!
自動車重量税は、車両重量や車種、使用年数、エコカー減税の有無によって決まる税金で、自動車税とは異なるタイミングで支払います。車検時や一定の条件で増税のタイミングがあり、支払いを怠ると車検が通らず延滞金が発生するリスクがあります。
また、廃車や一部売却時には還付制度が利用可能で、条件を満たせば還付金が支払われます。重量税の計算は車の種類により異なり、正確な把握が必要です。車の売却や重量税の相談は、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
ソコカラでは、事故車や廃車も含めて幅広い車の買取を行っています。専門スタッフが迅速かつ丁寧に査定を行い、最適な条件での売却をサポートします。また、重量税の還付手続きについてもアドバイスを提供しており、売却後のトラブルを防ぐためのサポート体制も充実しています。車を売却する際は、ぜひソコカラに相談し、最良の取引を実現してください。

この記事の監修者
澤井 勝樹
「株式会社はなまる」監査役。1975年生まれ。10年近く会計事務所で経理総務全般の経験を積みながら、税理士、行政書士登録。その後、IT系ベンチャー企業のIPOの準備に携わるなど活動。現在はインターネットとクルマの可能性を世の中に伝えたいとソコカラコラムを執筆中。家族・食べること・愛車のセレナが大好き。おもに廃車の手続きや税金に関するコラムを執筆している。
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