- 2022.03.25
交通事故を起こした時の廃車の買い替えの判断基準とは?
交通事故を起こして車が破損した場合、修理をして乗り続けるか。廃車・売却して新しい車に買い換えるかの判断基準のひとつに、修理費用の負担額があります。
エンジン破損や事故車(修復歴車)に該当する車、保険の補償額が十分でない、年式が古く走行距離が長いなど、修理費用が100万円を超える場合は、修理するよりも買い替えがおすすめです。
今回は、交通事故を起こした車について、廃車にして買い換える場合の判断基準を詳しく解説します。

事故車の買い替え基準は修理費100万円以上
車の交通事故を起こしたとき、考えなければならないのが車を修理して乗り続けるか、廃車にして買い換えるかという問題です。
車が大破し全損したならば、買い替えるしかありません。しかし、修理をすればまだ乗れる破損具合だった場合、修理ではなく買い替えを判断する基準として、「修理費用が1,000,000円を超えるかどうか」がポイントです。
修理よりも買い替えをおすすめするケースとしては、次の4つが挙げられます。
1. エンジンが損傷して走行不可能になった
事故によってエンジンが故障し、自動車が走行不可能になった場合、修理にかかる費用は50万〜90万円程度です。損傷がひどい、車が外車や高級車のケースでは100万円以上の修理費がかかることもあります。
そのような場合は、修理よりも買い替えを考えてもよいでしょう。
ただし、エンジン故障により走行不可能になった車は「不動車」として扱われるため、売却する際に査定額が下がってしまう可能性があります。
2. パネルやフロアなどの骨格部分が損傷している
次の8つの部位(車両の骨格部分)が損傷し、パーツの交換や修理をした場合、修復歴が残ります。
- フロントクロスメンバー
- ラジエータコアサポート
- フレーム
- ピラー
- フロントインサイドパネル
- ダッシュパネル
- ルームフロアパネル
- トランクフロアパネル
- ルーフパネル
修復歴が残った車は、自動車公正取引協議会や日本自動車査定協会、日本中古車販売協会連合会の規約により、事故車として扱われます。
事故車でも売却することは可能ですが、一般的に査定額が低くなる傾向です。破損部分が多く修理代に費用がかかる場合は、下手に修理せず廃車買取業者に査定依頼しましょう。
修復歴がない車両は高い買取価格がつく可能性があります。損傷の程度によりますが、事故車は修理費が高額になるうえ、一度修理してしまうと修復歴がつき査定額が下がる可能性があるので、修理をせず買い替えを選択することをおすすめします。
3. 保険の補償額が十分ではない
もし事故を起こした車が強制保険である自賠責保険にしか加入してないなど、補償額に上限あるケースでは、事故の過失割合や規模によっては十分な補償を受けられない場合があります。
補償してもらえる金額と修理費用を比較し、持ち出しが100万円以上になる場合は、廃車にして買い替えた方がよい可能性があるでしょう。
4. 車の年式が古く走行距離が長い
車の査定額は、年式が古く、走行距離が長ければ長いほど安くなります。とくに年式10年以上、走行距離10万kmを超える車は、査定額が大きく下がる傾向です。
古い年式で長距離を走行した車で交通費事故を起こした場合は、たとえ事故車でなくても、修理ではなく買い替えがおすすめです。
事故車を買い換える際のメリット
修理にかかる費用が高額になるケースや、修理をしても安心して運転できない場合、新しい車への買い替えが望ましい選択となることがあります。
事故車を買い替える際のメリットは以下の通りです。
- 経済的な負担を軽減できる
- 買い替える場合でも保険金が使える
- 長期的なコストパフォーマンスが向上する
順番に解説していきます。
経済的な負担を軽減できる
事故車の修理費用は、場合によっては新車を購入するコストと同等かそれ以上になることがあります。特に、大きな損傷を受けた車の場合、修理に数百万円が必要になることも珍しくありません。
事故車を専門に扱う買取業者に車を売却すれば、それなりの金額で買い取ってもらうことが可能です。買取金は、新車の購入資金として有効に活用できるため、経済的な負担を大幅に軽減することができます。
重要なのは、複数の買取業者に見積もりを依頼し、最も有利な条件を提供する業者に売却することです。事故車を買取してもらう際には、複数の買取業者に見積もりを依頼し、最も有利な条件を提供する業者に売却するようにしましょう。
買い替える場合でも保険金が使える
事故車を修理せずに買い替える際にも、保険金を受け取ることが可能です。保険金は、発生した損害に基づいて支払われるため、車を修理する義務がなくても適用されます。
保険金の受け取り金額は、事故の加害者か被害者かによって異なる
自分が加害者の場合、自身が加入している対物損害賠償保険から保険金が支払われることになりますが、過失割合によって受け取る金額が変わります。一方、被害者の場合は相手方の保険から支払われるため、相手の保険内容に依存することになり、相手が保険に加入していない場合は、損害賠償請求を通じて保険金を受け取る手続きが必要です。
保険を用いた買い替えは手続きが煩雑ですが、保険金を活用することで修理か買い替えかの判断を支援するため、迷った際は保険会社に相談するのが良いでしょう。車両保険に加入している場合は、買い替え時も補償を受けることができ、事故の種類によっては、修理費用相当の保険金が支払われることがあります。
ただし、保険金の全額が支払われるわけではなく、設定された補償額を超える修理費用はカバーされません。また、全損の場合は、車の所有権が保険会社に移ることもあるため、契約内容を確認することが重要です。
長期的なコストパフォーマンスが向上する
新車は保証期間があり、初期不良や予期せぬ故障が発生した場合でも修理費用がカバーされることが多いです。
保証は、新車購入から一定期間または走行距離に達するまで有効であり、修理費用の節約につながります。また、新しいモデルの車は燃料効率が良く、日々の運用コストを削減することができます。
また、新車に買い替えることで、将来的にその車を高価で売却する可能性が高まります。無事故の車は中古車市場での需要が高く、良好な状態を維持していれば、購入時の価格に近い額での売却も夢ではありません。
事故車を買い換える際のデメリット
事故車を買い替える際のデメリットは以下の通りです。
- 保険の等級の下降と保険料の増加
- 二重ローンのリスク
- 事故車の買取は難しい
メリット、デメリットを総合的に評価して事故車の行方を検討しましょう。
保険の等級の下降と保険料の増加
車両保険を利用して事故車の修理を行った場合、保険の等級が下がり、その結果として保険料が上昇します。特に、自分の過失で事故を起こした場合、車両保険を利用すると通常は3等級ダウンするため、その後の保険料はかなりの割増となります。
等級が下がる期間は通常1年から3年程度であり、この間は高い保険料を支払い続けなければなりません。事故の規模や事故発生時の具体的な状況によって、保険の等級がどれだけ下がるかが決定されます。
自己負担を少なくするために保険を利用することは短期的にはメリットがあるものの、長期的に見ると経済的な負担が増加するため、修理費用が比較的低額である場合は保険を使わずに自費での修理を検討しましょう。
二重ローンのリスク
事故車のローンが残っている状態で新しい車を購入すると、新旧の車に関するローンが重複し、いわゆる「二重ローン」の状態になります。保険金の支払いが事故車の残債をカバーしきれない場合、新しい車の購入には更に大きな自己負担が必要となり、財務的な圧力が増します。
ローンの支払いが遅れると信用情報に悪影響を与え、将来的に新たなローンの借り入れやクレジットカードの作成が困難になるリスクも高いです。
ローンが残っている車の修理・買い換えを選択するときは、新車の購入費用、廃車にした車のローン残額、車の売却額、修理した場合の修理費用をよく比較し、今後の負担額を把握しましょう。
事故車の買取してもらえない場合は廃車しなければならない
事故によって大きく損傷を受けた車は、中古車市場において買取を拒否されるケースがあります。特に重大な損傷を受けた車は、買取業者によっては修理費用が車の価値を上回るため、買取を断られることが一般的です。
その場合、車の所有者は廃車の手続きを行う必要があり、これには解体費用や廃車に伴う手続き費用が発生します。廃車を選択した場合、解体業者に支払う費用のほか、場合によっては車を解体場まで運搬するための費用も必要です。
廃車買取業者であれば、パーツや資源として車の価値を評価するため、買取行なってくれる可能性が高いです。廃車手続きや引き取り、廃車手続きを無料で行う廃車買取業者もあるので、サービスも合わせて比較してみましょう。
事故車を買い替える際の注意点
事故車を買い替える際には、以下の事項に注意しましょう。
- 買い替え時と修理時の保険料の違い
- 保険の等級と保険料の増加
- もらい事故の場合の対応
- 事故車の売却と廃車手続きの選択
順番に解説していきます。
買い替え時と修理時の保険料の違い
事故車を買い替える場合と修理する場合では、受け取れる保険金の額が異なることが一般的です。修理の場合、保険会社は車の損傷の具合を詳細に評価し、必要な部品のコストや工賃を加えて保険金を算出します。このため、保険金の額は比較的高く設定されることが多いです。
一方で、車を買い替える際の保険金は、事故車の現在の市場価値や残価を基に計算されます。計算には、新車購入時の価格や事故の影響で低下した車の価値が考慮されるため、修理時と比較して保険金が少なくなる傾向にあります。
特に、買い替えに必要な資金が修理費用を超える場合、その差額を自己負担する必要が出てくる可能性があります。
保険の等級と保険料の増加
車両保険を利用すると、保険の等級が下がり、それに伴い保険料が上がることはよく知られています。等級は保険を使用するごとに下がり、その結果、次年度以降の保険料が割増になります。
もし事故の修理費が比較的低額なら、保険を使わず自己負担で修理を行う方が、長期的には保険料の節約につながることがあります。
また、ノーカウント事故に該当する特約(搭乗者傷害保険や弁護士費用補償特約など)が適用される場合、これらの事故では等級が下がらず、保険料の増加を避けることができます。特約が適用できるかどうかを保険会社に確認することが重要です。
もらい事故の場合の対応
自分に非がないもらい事故の場合、補償は原則として相手方の保険から支払われます。かし、この手続きを自分で行う必要があり、時間と労力がかかります。
事故が発生した場合、弁護士特約が付帯されている保険であれば、保険会社が手続きを代行してくれるため、格段に対応が楽になります。保険の見直し時には弁護士特約の有無も確認することが重要です。
事故車の売却と廃車手続きの選択
事故車を売却する場合、その損傷の程度によっては、査定額が大幅に減額されることがあります。特に重大な事故に見舞われた車は、市場での需要が低く、売却が困難になることが一般的です。
売却が不可能な場合、廃車手続きを行う必要がありますが、手続きにはコストが発生する場合も多いです。料金は廃車手続きは業者によって異なり、廃車専門業者などでは比較的安価に行うことができますが、ディーラーや中古車販売店では費用が高くなることがあります。
廃車手続きには「永久抹消登録」と「一時抹消登録」の2種類がありますが、事故車の場合は通常、「永久抹消登録」が適用されます。、永久抹消登録は、文字通り、車を解体して再び道路上で使用することがないようにするための手続きです。
廃車手続きは自分で行うこともできますが、時間と労力を要すため、無料で廃車手続きを行なってくれる廃車買取業者を選択するのがおすすめです。
車の状態や修理費用から負担額の少ない選択をすることが大切
事故を起こした車を修理するか、買い換えるかを判断する際は、修理費用の負担額の大きさを基準に考えましょう。自己負担額が100万円を超える場合は、廃車にして車を売却し、新しい車に買い替えた方がよい可能性があります。
年式や走行距離、修理費の負担額だけでなく、安全性も考慮した選択をすることが大切です。
車買取「ソコカラ」では、事故車の買取も可能です。査定費用やレッカーなどでの引き取り費用、廃車手続きも無料で行なっているので、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者
浅野 悠
「株式会社はなまる」小売事業部 事業部長。1987年東京都生まれ。小学生から大学生までの間レーシングドライバーを目指し数多くの大会に出場。20代で飲食店経営に携わったのち、野菜配達の仕事に就くも、幼少期からの車への魅力を忘れられず自動車業界へ。中古車査定士の資格を取得し、自動車に関する豊富な知識をもとに、おもに車に起きるトラブルの対処法や車の豆知識に関するコラムを執筆。
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