- 2022.03.11
原付の廃車証明書がない?どうすればよいの?
原付を廃車にしたことを証明する廃車証明書。この証明書はバイクの名義変更に必要です。では廃車証明書をなくしてしまったときは、どうすればいいのでしょうか。
今回は原付の廃車証明書がないときにどうすればいいかを解説します。「廃車証明書が見当たらない」「なくして困っている」という方は必見です。

原付の廃車証明書ってなに?
原付の場合、道路運送車両法によって、永久抹消登録のみが廃車の理由として認められています。[注1]
普通自動車のように一時抹消登録が可能であれば、再登録ができますが、永久抹消登録の場合はできません。永久抹消登録の場合、ナンバープレートを発行されたときに渡される標識交付証明書を役所に返却し、廃車申告書を提出した時に手渡される書類が、廃車証明書です。
廃車証明書には返納した人の住所や氏名、廃車にしたバイクの標識番号や車体番号、車種などが書かれています。
[注1]生駒市 FAQ(よくある質問)(2021–1-17)
原付を廃車にする方法とは?
原付を廃車にするには、国が管理する原付の登録情報を抹消する必要があります。廃車手続きを済ませることで、自動車税の支払いが必要なくなるため、不要になった段階で早めに対応するのがおすすめです。原付に限らず、車やバイクも廃車にする際には所定の手続きが必要です。
なかでも原付の手続きは最も簡単といわれ、方法さえ分かればスムーズに対応できるでしょう。原付を廃車にするには、基本的に市区町村の役場で手続きをします。場所によっては専用の出張所や支所もありますが、基本的に役場に出向きます。対応窓口を確認するために、まずは原付の廃車をしたいことを伝え、どこで手続きをすべきか把握しましょう。
ちなみに、126CC以上・250CC以下のバイクや251CC以上のバイク(小型二輪)を廃車にする際には、役場ではなく運輸支局で手続きをします。126CC以上・250CC以下のバイクは「軽自動車届出済証返納書」に記入したうえで、必要書類を提出します。
251CC以上のバイク(小型二輪)の場合、車体の登録を永久的に抹消する「永久抹消」と、一時的に乗れないように手配する「一時抹消」が選べます。今現在は乗らないけれど、今後再び使用する可能性がある場合には、「一時抹消」の手続きをして対応することが考えられます。
また、原付の廃車手続きは直接申請だけでなく、郵送での申請も可能です。市区町村の役場まで行くのに時間がかかる場合には、郵送も検討されます。原付の廃車手続きは、時期によって混み合うケースがあります。特に引っ越しが増える2〜3月などの新学期直前は、役場そのものが混雑するため、手続きに時間がかかる可能性が懸念されます。
スムーズに原付を廃車にするのなら、役場が混み合わないタイミングを狙うと良いでしょう。
原付の廃車時に必要になるもの
原付の廃車時には、いくつか必要な書類・ものがあります。基本的に「ナンバープレート」「標識交付証明書」「印鑑」が必要です。標識交付証明書とは、原付に関する情報が記載されている書類です。標識交付証明書はナンバープレートを交付された際に、同時に発行されます。そのため原付を保有しているのなら、標識交付証明書も持っているはずです。
「標識番号(ナンバープレートの番号)」「車台番号」「車名(メーカー名)」「型式」「排気量」「納税義務者の情報(住所・氏名・電話番号)」が、確認できます。原付には車検証がないため、標識交付証明書がその役割を担います。標識交付証明書は廃車にするとき以外にも、盗難時や譲渡する際にも必要になるため、大切に保管しておきましょう。
原付の廃車時に必要となる印鑑は、シャチハタ以外であれば、どのようなものでも問題ありません。そのほかにも、廃車申告書などが必要ですが、各種書類は廃車をする際に役場から提供してもらえます。内容を確認し、必要事項に記入して廃車手続きを進めましょう。
発行された廃車証明書は保管しておくべき?
原付の廃車手続きが無事完了すると、役場から「廃車証明書」が発行されます。「すでに原付が手元にないのだから、廃車証明書を持っていても意味がないのでは?」と思われがちですが、廃車証明書は廃車後もさまざまなシーンで必要になります。廃車証明書がないと、各種手続きがスムーズにできなくなるため、しっかりと保管しておきましょう。
廃車証明書の発行にかかるコストは?
原付を廃車にして廃車証明書を発行する際には、特別にコストがかかりません。無料で廃車の手続きが行えるため、コスト面で悩むことはないでしょう。また、廃車手続きを済ませることで自動車税がかからなくなるため、節税にもつながります。一方、排気量によっては、2,500円程度の費用がかかるケースがあります。
廃車手続きと廃車証明書の発行にかかるコストは無料ですが、原付自体を処分する際には別途コストが発生する可能性があります。廃車にした時点で原付は公道を走れないため、仮に普通に乗れる状態でも、処分のために運転することは違法となります。そのため廃車手続きが完了したら、そのまま原付を放置するケースも多いです。しかし、使わない原付の放置は生活で邪魔になることが多く、事故の原因になることも懸念されます。
原付を廃車にしたら、なるべく早く処分することがおすすめです。一般的に原付の処分の際には、バイクショップやバイク買取業者への依頼、廃車専門業者への依頼、不用品回収業者への依頼など、複数の方法があります。無料で処分してくれるケースもあれば、10,000円程度の費用が請求されることもあります。
また、バイクショップやバイク買取業者で処分を依頼すれば、廃車にかかる手続きを代行してくれることも多いです。手続きの代行依頼時にもコストがかかり、数千円から15,000円ほどかかります。
廃車証明書がないことによるデメリット
原付の廃車時に発行した廃車証明書を紛失するケースは、決して少なくありません。すでに処分した原付であるため、関係書類をまとめて処分したり、間違って廃棄してしまったりするパターンも多いです。しかし、先に解説したように、廃車証明書は原付を廃車にしたあとも、さまざまなシーンで必要になります。
そのため廃車証明書が紛失したままだと、各種手続きがスムーズに進まないというデメリットがあります。また、廃車証明書がない場合の対処法が分からず、各種手続きを後回しにしてしまう原因にもなり得ます。廃車証明書の管理を徹底しつつ、万が一の紛失に備えておくことがポイントです。
原付の廃車証明書は再発行が可能
この記事を読んでいる方は「原付の廃車証明書がない!」と慌てているかもしれません。しかし、原付の廃車証明書は、廃車申告書を申請した自治体の役場に行けば、再発行が可能です。役場のどの課で担当しているかは、自治体によって異なります。以前どこで廃車証明書を交付してもらったか忘れてしまった方は、役場の受付でご確認ください。
廃車証明書の再発行は無料です。ただ必要な書類は自治体によって異なりますので、自治体のホームページを確認するか、電話で問い合わせてから足を運んだほうがいいでしょう。
基本的には身分証明書・印鑑が必要になります。車体番号の拓本や写真を、廃車証明書の再発行を希望する理由を記載した書類が必要になることもあるようです。
なお、所有者以外が手続きを行う際は、委任状あるいは代理人選任届を用意しなければいけません。また、気を付けたいのが自賠責保険用のみに限る場合において、再発行が依頼できる点についてです。再登録のために必要な廃車証明書の再発行はできません。
譲渡などを行うために再登録用の廃車証明書を用意したいのであれば、登録している市区町村に問い合わせる必要があります。
[注2]生駒市 FAQ(よくある質問)|原動機付自転車の「廃車証明書」が必要です。
原付の廃車証明書の再発行は代理人でも可能?
原付の廃車証明書の再発行は、代理人でも対応可能です。仕事が忙しくて役場に行く時間が取れないケースや、役場が開いている時間帯に手続きをする暇をつくれない場合には、代理人に頼むのもおすすめです。代理人に依頼する際には、所有者の身分証明書・印鑑の代わりに、委任状(代理人選任届)と代理人が本人であることを証明する身分証明書が求められます。
代理人への委任状は、各役場のホームページからダウンロードしたり、役場で直接発行してもらったりする方法があります。原付の廃車証明書の再発行を代理人に依頼する場合も、役場によって詳細な手続き内容が異なるケースがあります。必要書類や手続きの流れを事前に確認し、やり直しにならないように準備すると良いでしょう。
廃車証明書が必要になる時
廃車証明書をもらった時、「もう乗らないバイクなのになんで証明書が必要なの?」と思った方もいるかもしれません。
廃車証明書は、自賠責保険や任意保険の解約を申し込む時に必要です。廃車申告を行ったからといって、自賠責保険や任意保険の解約をせずにいると、保険料は請求され続けてしまいます。
廃車証明書がないと原付は売れないの?
原付を手放すつもりで、廃車証明書を交付してもらったのに、廃車証明書をなくして困っている方もいるのではないでしょうか。
しかし125cc以下の原付バイクの場合、廃車証明書がなくても売却できる可能性があります。
ただ廃車証明書を求める業者もありますし、廃車証明書があった方がスムーズに売却できる場合も多いです。
まずは売却先の買取業者に確認しておく
廃車証明書が必要かどうかは、買取業者の規定によって異なります。一般的に廃車証明書が求められるケースは多いですが、もし不要な場合には、再発行の手続きを省略できます。廃車証明書を紛失していることを伝え、それでも売却できるか先に確認しておくと良いでしょう。
廃車証明書が必須だといわれた場合には、上記で紹介した必要書類と準備し、再発行手続きを早めに進めるのがおすすめです。買取業者は複数あるため、廃車予定の原付が高く売れるケースもあります。事前に複数社から見積りをとり、最も高く売れる業者に依頼することがポイントです。
原付の買取相場は、本体の状態によって左右されます。傷や擦れなどがほとんどなく、サビついている部品もない場合、8〜10万円前後が相場になります。また、走行距離が1,000km以下の原付も、状態が良いと判断されやすいです。状態が良いうえに、人気の原付になると、15万円前後の買取価格がつくこともあり得ます。
傷や擦れがあっても、目立たない程度であれば状態は比較的良いものだと判断されます。走行距離が1,000〜5,000kmのものも、良い状態に含まれます。また、仮に故障していても、簡単に修理して直せるものなら、状態は良いものになります。状態が比較的良い原付なら、4〜5万円程度が買取相場になります。人気の種類であれば、10万円前後の査定価格に期待できます。
一般的に使用するうえでつく傷や擦れ、サビがある原付の状態は「普通」と判断されます。傷や擦れがはっきりとあるけれど、問題なく走行できる場合には、だいたい1〜2万円程度で買取されるケースが多いです。走行距離に関しては、5,000km以上のものは「普通」に分類されます。
走行距離が増えるほど、買取価格は下がっていくため、売却する予定があるのなら、早めに準備をすることが重要です。また、原付についた傷や擦れは買取減額の原因になるため、修理してから売却を考える人も多いです。しかし、減額される金額と比較して、修理費用の方が高くなるケースも珍しくないため、まずは現状でいくらの査定価格がつくか確認しましょう。
名義変更には廃車証明書が必要
廃車にした原付を業者を通さず家族や友人に譲渡する際は、名義変更を行わなければなりません。その時には必ず廃車証明書が必要です。
自治体によっては、廃車証明書に譲渡証明欄がある場合もあります。その際は証明欄の旧所有者のところに住所・氏名を記入のうえ、認印での捺印が必要です。
譲渡証明欄がない場合は、国土交通省のホームページか、自治体のホームページで、「日本産業規格A列5番 第21号様式(譲渡証明書)」をダウンロードしましょう。書類に必要事項を記載し、この書類と廃車証明書を譲渡人へ渡します。
原付を譲渡する際の流れ
原付バイクを誰かに譲渡する際にも、廃車証明書が必要です。すでに使わない原付だけど、まだまだ乗れるのなら、譲渡して再利用してもらうのも1つの方法です。原付の譲渡時には、廃車証明書の「譲渡証明欄」に、情報を記載する必要があるケースもあります。例えば旧所有者の住所や氏名、印鑑などが必要になります。
原付を譲渡する際の流れは、まず廃車手続きをしたうえで、廃車証明書を取得します。譲渡証明欄がある廃車証明書の場合には、内容に沿って情報を記載します。
譲渡証明欄がない場合には、先の通り「日本産業規格A列5番 第21号様式(譲渡証明書)」をプリントアウトし、「原付の車名」「型式」「車台番号」「原動機の型式」「旧所有者の住所や氏名」を記載して捺印します。譲渡証明書は、国土交通省や各市町村のホームページからダウンロード可能です。
その後、新しい原付の所有者に、原付本体と「廃車証明書」「譲渡証明書」を譲渡します。原付にかけている自賠責保険も譲渡する場合、ナンバープレートについている「自賠責保険シール」のほか、「自賠責保険証明書」も必要です。また、旧所有者の情報が記載された「自賠責保険承認請求書(異動承認請求書)」と印鑑証明書も準備しておきましょう。
最後に上記の書類を受け取った新所有者が、原付の名義変更手続きを実施します。必要書類がすべてそろっていれば、新規ナンバープレートと標識交付証明書が発行され、譲渡の手続きが完了します。譲渡後は旧所有者である自分が、特別に何かをする必要はありません。
廃車証明書は再発行できる!無くさないように注意しよう
一度廃車証明書をなくしてしまったとしても、無料で再発行してもらえます。なくしてしまった場合は、速やかに自治体の役場で再発行申請を行いましょう。再発行後はなくさないように、大切に保管してください。
今手元に廃車証明書があって、「これは必要なのかな?」と思っている方は、バイクを売却したり譲渡したりして完全に処分するまでは、必ず大切に保管しておきましょう。
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この記事の監修者
澤井 勝樹
「株式会社はなまる」監査役。1975年生まれ。10年近く会計事務所で経理総務全般の経験を積みながら、税理士、行政書士登録。その後、IT系ベンチャー企業のIPOの準備に携わるなど活動。現在はインターネットとクルマの可能性を世の中に伝えたいとソコカラコラムを執筆中。家族・食べること・愛車のセレナが大好き。おもに廃車の手続きや税金に関するコラムを執筆している。
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