- 2025.09.12
AT限定解除の全て!MT車に乗る方法、費用について
AT免許の限定解除とは、オートマティック車(AT車)だけでなくマニュアル車(MT車)にも乗れるように免許の制限を解除する手続きのことです。AT免許を所有していれば、比較的簡単な手続きでAT限定を解除し、好きな車に乗れるようになります。しかし、AT免許の限定解除は無料ではありませんので、MT車に乗る予定がなければ、わざわざ限定解除する必要はないでしょう。
そこで今回はAT免許の限定解除とは何なのか、どこに行けば限定解除できるのか、限定解除をすると、どういったメリットがあるのかを解説します。
関連記事:中型免許・準中型免許ってなに?運転免許の種類やそれぞれの特徴を大解説!

ATの限定解除でできるようになること

AT限定解除とは?
AT免許の限定解除とは、運転免許証に記載されている「AT車に限る」という条件を外し、マニュアル車(MT車)も運転できるようにすることです。AT車とMT車は、運転技術に大きな違いがあります。AT車は、ギアの変更をレバー操作だけで行い、運転席の足元にあるペダルはアクセルとブレーキの2つだけです。一方、MT車は、ギアチェンジをする際に「クラッチ」という3つ目のペダル操作が必要となります。AT限定免許ではこのクラッチ操作を学ばないため、MT車を運転できないように制限されているのです。
限定解除で広がるカーライフ
限定解除をすることで、MT車を運転できるようになります。これにより、旧車やスポーツカーなど、MT車しかない特別な車に乗れるようになるのが大きなメリットです。AT限定免許とMT免許の主な違いはクラッチ操作のみであるため、「クラッチ操作ができる」ことを証明すれば、いつでも限定解除に挑戦できます。
限定解除には費用がかかりますが、免許を更新する際の費用が増えるなどのデメリットはありません。運転の幅を広げたいと考えている方にとって、限定解除は新たなカーライフを始めるための有効な選択肢と言えるでしょう。
AT免許の限定解除をする方法は「教習所通い」か「一発試験」

AT免許を限定解除する方法は、「教習所に通って必要な講習を受ける」か「運転免許センターで一発試験を受ける」という2つの選択肢があります。たとえ、私有地でマニュアル車の運転練習をしてクラッチ操作ができるようになっていたとしても、正式な手順を踏んでいない限り、限定解除はできません。
教習所通いと一発試験、どちらにもメリットとデメリットがあるので両者の違いを知っておきましょう。
教習所に通う場合
AT限定解除を最も確実かつスムーズに行う方法は、自動車教習所に通うことです。
取得方法
教習所に入校後、技能教習を受けることになります。MT車はクラッチ操作やギアチェンジが必要となるため、これらの基本操作を習得するためのカリキュラムが組まれています。通常、最短で4時限の技能教習が義務付けられており、教習所内のコースで教官の指導のもと、エンストせずにスムーズな発進や、適切なタイミングでのギアチェンジなどを学びます。教習の進捗に応じて、見極め試験を経て、卒業検定に合格すれば、晴れて教習所を卒業できます。その後、運転免許センターにて手続きをすれば、運転免許証の条件欄から「AT車に限る」という記載が外され、MT車を運転できるようになります。
費用
教習所に通う場合、一般的には5万円から10万円程度が相場となります。この金額には、技能教習の費用や検定料などが含まれています。ただし、追加の教習が必要になった場合や、検定に再受験が必要になった場合は、その分の追加費用が発生します。
メリット
- 確実性: 教官の指導のもと、MT車の運転技術を体系的に学べるため、合格の可能性が高い。
- 安心感: 教習所内のコースで練習できるため、公道での運転に不安がある人でも安心して取り組める。
- 運転技術の向上: クラッチ操作やギアチェンジなど、MT車特有の運転技術を習得できる。
デメリット
- 費用: 一発試験に比べて費用が高額になる。
- 時間: 教習所に通う時間が必要となる。
- スケジュール: 教習所のスケジュールに合わせる必要がある。
運転免許センターで一発試験を受ける場合
教習所に通わず、運転免許センターで直接試験を受ける「一発試験(飛び込み試験)」という方法もあります。
取得方法
この方法では、教習所に通う必要がないため、自分の都合の良いタイミングで試験を受けることができます。試験は、運転免許センターのコースで行われます。試験官が同乗し、クラッチやギア操作を適切に行えているか、坂道発進やS字カーブなどをスムーズにクリアできるかなど、MT車特有の運転技術が審査されます。教習所での技能教習がない分、すべての運転操作を自力でマスターしておく必要があります。合格すれば、その日のうちに免許証のAT限定が解除されます。
費用
一発試験は、教習所に通うよりも費用を大幅に抑えることができるのが最大のメリットです。受験手数料や試験車使用料などを合わせても、数千円程度で済みます。ただし、一度で合格できる保証はありません。不合格になった場合は、その都度、再受験費用がかかります。費用を抑えることができる反面、合格率が低い傾向にあるため、十分な自信と練習が必要になります。
メリット
- 費用: 教習所に通うよりも費用を大幅に抑えることができる。
- 時間: 自分の都合の良いタイミングで試験を受けることができる。
- 自由度: 教習所のスケジュールに縛られることなく、自分のペースで練習できる。
デメリット
- 難易度: 教習所での指導がないため、合格率が低い傾向にある。
- 練習環境: 自分で練習場所を確保する必要がある。
- 精神的負担: 一発勝負のため、精神的な負担が大きい。
結論:どちらを選ぶべきか?
どちらの方法を選ぶかは、費用や時間に加え、自身の運転技術や習熟度を考慮して判断することが重要です。
- 確実に限定解除をしたい方: 教習所へ
- 費用はかかるが、教官の指導のもと、確実にMT車の運転技術を習得できる。
- 運転に自信がない方や、初めてMT車を運転する方におすすめ。
- 運転技術に自信があり、費用を抑えたい方: 一発試験に挑戦
- 費用は大幅に抑えられるが、合格率は低い。
- MT車の運転経験があり、自信がある方におすすめ。
最終的には、ご自身の状況や目標に合わせて、最適な方法を選択することが大切です。
AT限定解除が就職に有利になる可能性

AT限定解除が就職に有利になる可能性について解説します。特定の職業においては、AT限定解除が必須条件となる場合や、就職の選択肢を広げる上で重要な要素となる場合があります。本稿では、AT限定解除が有利に働く可能性のある職業を具体的に挙げ、その理由を説明します。
運送業
運送業では、トラックやバスなど、MT車を運転する機会が多くあります。特にトラックやバスなどのMT車は、AT車に比べて燃費や耐久性の面で優れているため、多くの運送会社で採用されています。そのため、これらの車両を運転するためには、AT限定解除が必須条件となる場合があります。
AT限定免許しか持っていない場合、これらの車両を運転することができず、採用の対象外となる可能性があります。AT限定解除をしておくことで、運転できる車両の種類が増え、就職の機会が広がります。また、AT限定解除は、運転技術の向上にもつながり、安全運転にも貢献することができます。
建設業
建設業においても、重機や特殊車両など、MT車を運転する機会があります。例えば、クレーン車、ブルドーザー、ショベルカーなどは、MT車が主流です。これらの車両の運転には、AT限定解除が求められることがあります。
建設現場では、様々な種類の車両を運転する必要があるため、AT限定免許しか持っていない場合、仕事の幅が狭まる可能性があります。AT限定解除をしておくことで、様々な車両を運転できるようになり、より多くの仕事に携わることができます。また、AT限定解除は、運転技術の向上にもつながり、建設現場での安全確保にも貢献することができます。
整備士
整備士の仕事においても、様々な車種の整備を行うため、MT車の運転スキルは重要です。お客様の車を整備後、動作確認のために運転することがありますが、その際にMT車を運転する可能性があります。また、古い車種や特殊な車種の中には、MT車しか存在しないものもあります。
AT限定解除をしておくことで、幅広い車種の整備に対応できるようになり、就職の選択肢を広げることができます。AT限定免許しか持っていない場合、MT車の整備を断らざるを得ない場合や、他の整備士に依頼する必要が生じる場合があります。AT限定解除は、整備士としてのスキルアップにもつながり、お客様からの信頼を得ることにも貢献することができます。
その他の職業
上記以外にも、AT限定解除が有利に働く可能性のある職業はあります。例えば、自動車教習所の指導員、レンタカー会社のスタッフ、自動車販売店の営業など、自動車に関わる仕事では、MT車の運転スキルが求められることがあります。また、地方の公共交通機関では、バスやタクシーなど、MT車を運転する機会があるため、AT限定解除が有利に働くことがあります。
関連記事:故障車を牽引する方法とは?基本的な手順や注意点について解説
限定解除後の車選び

運転の難易度を考慮する
MT車への挑戦は、運転の難易度を考慮することが肝心です。AT車では意識する必要のなかったクラッチ操作やギアチェンジは、最初は難しく感じるかもしれません。特に、坂道発進や渋滞時など、繊細なペダルワークが求められる場面では、エンストを起こしてしまう可能性も少なくありません。しかし、これらを乗り越えることで、車との一体感や運転の楽しさをより深く味わうことができます。たとえば、スポーツ走行を楽しめるマツダ・ロードスターや、コンパクトで運転しやすいスズキ・スイフトスポーツなどは、MT車ならではの運転の楽しさを存分に感じられるでしょう。
維持費を考慮する
次に、維持費についてもAT車と比較して考慮すべき点があります。MT車はAT車に比べて構造がシンプルであるため、一般的には故障リスクが低いとされていますが、クラッチは消耗品であり、いずれ交換が必要になります。乗り方によってはそのタイミングが早まることもあり、その際の交換費用はAT車にはない出費となります。例えば、中古で人気の高いトヨタ・86やスバル・BRZなどは、スポーツ走行を楽しむユーザーが多いため、クラッチの状態を事前に確認しておくことが重要です。
中古車市場の状況を把握する
さらに、中古車市場の状況も把握しておくべき重要なポイントです。近年、AT車の普及により、MT車の流通量は減少傾向にあります。特に、人気の車種やスポーツモデルのMT車は、希少価値が高まり、中古車価格が高騰しているケースも少なくありません。

よくある質問
ここでは、AT限定解除に関するQ&Aをまとめました。
Q1:AT限定解除にかかる期間はどれくらいですか?
A.教習所の場合は、最短で数日~2週間程度、平均的には2週間~1ヶ月程度です。一発試験の場合は、試験の予約状況や練習期間によって異なりますが、数週間~数ヶ月かかる場合があります。
Q2:AT限定解除は難しいですか?
A.運転経験や個人差によりますが、教習所でしっかりと練習すれば、多くの方が合格できます。一発試験の場合は、事前の練習が重要になります。
Q3:AT限定解除のメリットは何ですか?
A.:運転できる車の種類が増える、就職の選択肢が広がる、運転のスキルアップにつながる、といったメリットがあります。
Q4:限定解除は難しいですか?
A. 運転の習熟度によって異なります。AT限定解除の主なポイントは、MT車特有のクラッチ操作をマスターすることです。特に、坂道発進や低速走行時のエンストを防ぐ技術が重要となります。教習所に通えば、教官が丁寧に指導してくれるため、比較的安心して習得できます。一発試験は採点が厳しく、難易度が高いとされています。
Q5: 運転免許センターでの一発試験は、どんな人が向いていますか?
A. 過去にMT車の運転経験がある方や、費用を抑えたい方に向いています。ただし、試験の採点基準は厳しく、運転に自信がある方でも一度で合格するのは難しいと言われています。十分な練習と、一発で合格できなくても何度も挑戦する覚悟が必要です。
Q6:AT限定解除について、さらに詳しく知りたい場合はどうすればいいですか?
A.教習所や運転免許試験場に問い合わせる、インターネットで情報を収集する、実際に限定解除を経験した人に話を聞くなど、様々な方法で情報を得ることができます。
賢い車選びをサポートする専門サービス
このように、限定解除後の車選びには、運転技術の習得から維持費、中古車市場の動向まで、様々な要素を考慮する必要があります。しかし、自分一人でこれらの情報を収集し、最適な一台を見つけ出すのは容易ではありません。そこでおすすめなのはソコカラです!
ソコカラでは、車の購入だけでなく、売却や乗り換え、さらには自動車保険まで、車のトータルサポートを提供しています。専門知識を持ったスタッフが、あなたのライフスタイルや予算、運転技術に合わせて、最適な一台を提案いたします。
限定解除は、より自由で奥深いカーライフへの扉を開く鍵です。慎重に、そして楽しみながら、自分だけの特別な一台を見つけ出してください。

この記事の監修者
浅野 悠
「株式会社はなまる」小売事業部 事業部長。1987年東京都生まれ。小学生から大学生までの間レーシングドライバーを目指し数多くの大会に出場。20代で飲食店経営に携わったのち、野菜配達の仕事に就くも、幼少期からの車への魅力を忘れられず自動車業界へ。中古車査定士の資格を取得し、自動車に関する豊富な知識をもとに、おもに車に起きるトラブルの対処法や車の豆知識に関するコラムを執筆。
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