- 2025.01.17
エンジンブローの原因と対策!修理費用と保険適用についても解説
車を運転しているとさまざまな問題が発生することがあります。事故などはもちろんですが、車の部品の劣化や破損によるトラブルも多いです。なかでもエンジンブローは非常に大きな危険性があるトラブルです。今回は、エンジンブローの原因とその対処法についてご紹介いたします。
エンジンブローはエンジンが焼き付いてしまう現象
エンジンブローとは、エンジンが焼き付いてしまう現象のことです。よくオーバーヒートと混同しがちですが、オーバーヒートは冷却水の温度が上昇することで、エンジンを冷やすことができなくなる現象のことです。これに対し、エンジンブローはエンジンそのものが焼き付いてしまう現象を指します。
エンジンブローがもたらす危険
エンジンブローが走行中に起こってしまうと、FF(フロントエンジンフロント駆動)であればフロントタイヤがロックし、MR(ミッドシップエンジンリア駆動)であればリアタイヤがロックされます。コーナーなどを曲がっている最中にタイヤがロックされてしまうと、事故の危険性が非常に高いです。これを防ぐためには、エンジンブローが起こる原因をしっかり理解しておかなくてはいけません。
エンジンブローが発生する原因

自動車の心臓部ともいえるエンジンが故障するエンジンブローに見舞われる原因は様々です。こちらでは、エンジンブローが発生する原因についてご説明します。これらの原因を理解し、適切なメンテナンスや点検を定期的に行うことで、エンジンの寿命を延ばし、エンジンブローを回避することができます。
エンジンオイルが不足している、劣化している
車の心臓部ともいえるエンジンは、オイルによって守られています。エンジンオイルは、金属同士が直接触れ合うことで生じる摩擦を軽減し、高温になったエンジンを冷却する役割を担っています。しかし、オイルが不足したり劣化したりすると、摩擦が増加し、エンジンが過熱状態に陥る危険性があります。
最悪の場合、エンジンが焼き付いてしまう事態に繋がることも。定期的なオイル交換とオイル量の確認は、エンジンの寿命を大きく左右するので、定期的に確認が必要です。
オーバーヒートが起きている
エンジンの冷却システムの不具合は、深刻な事態を引き起こす可能性のあるオーバーヒートに繋がります。冷却水の不足や漏れが主な原因で、エンジンが適切に冷やされず高温状態が続くと、部品の歪みや回転不良が生じます。
初期症状に気づいたら、すぐに車を停車させてロードサービスを呼び、メンテナンスを行うことが重要です。放置すると、エンジンが焼き付いてしまい、修復不可能な状態に陥ることも。オーバーヒートは、車を動かせなくするだけでなく、深刻なエンジン故障に繋がりますので、早期の対処が大切です。
関連記事:オーバーヒートの警告サインとは?原因・対処法・修理費用を徹底解説!
冷却水が不足している、または漏れている
前述のとおり、エンジンは、冷却水によって適切な温度に保たれています。しかし、冷却水が不足したり、漏れが発生したりすると、エンジンは過熱状態に陥る危険性が高まります。この状態が続けば、エンジンに深刻なダメージを与え、最悪の場合、エンジンが壊れてしまう事態に発展する可能性も。
冷却水の定期的な補充や冷却システムの点検は、エンジンの寿命を左右する重要な作業です。日々のメンテナンスを怠らず、車のエンジンを守りましょう。
関連記事:冷却水の漏れが起こった場合、交換費用はどれくらい?
ラジエターが壊れている
エンジンの熱を逃がすために欠かせない存在、それがラジエターです。冷却水を循環させることで、高温になったエンジンを適切な温度に保ちます。しかし、ラジエターが傷ついてしまうと、冷却水の循環がスムーズに行われなくなります。その結果、エンジンがオーバーヒートし、最悪の場合、エンジンが壊れてしまうことも。ラジエターに不具合を感じたら、早急に修理を行うようにしましょう。
時間の経過でパーツの摩耗や破損している
エンジンの心臓部ともいえる内部のパーツは、常に高温の状態のため、時間の経過とともに摩耗や破損が避けられず、深刻な事態に発展する可能性もあります。例えば、ピストンやバルブといった重要な部品の摩耗は、エンジンのパワー低下に繋がり、最悪の場合、エンジンが壊れてしまう事態に繋がることも考えられます。
異常燃焼によるエンジンブロー
本来の点火前に燃料が自然燃焼してしまう「プレイグニッション」や、点火後に別の場所で意図せず発火が起こる「デトネーション」といった異常燃焼は、エンジン内部に大きな負担をかけ、破壊に繋がる恐れがあります。
さらに、タイミングベルトやタイミングチェーンの断裂や劣化、災害時に水がシリンダーに入り込んだ状態でエンジンを始動してしまう「ウォーターハンマー」など、様々な要因でエンジンブローは発生します。
エンジンブローの前兆
こちらでは、エンジンブローが発生する可能性を示す前兆について解説します。エンジンブローの兆候を早期に認識し、適切な対処をすることで、深刻な損傷や高額な修理費用を回避しましょう。
異音・異臭がする
車のエンジンから聞こえる音に、いつもと違う違和感を感じたら要注意です。オーバーヒートのサインは、初期段階では「カリカリ」という軽い音が、症状が進むにつれて「カンカン」「キンキン」と金属的な音が聞こえるようになります。エンジンオイル不足や劣化による異音は、「ガラガラ」「ゴロゴロ」と重く響く音が特徴です。
また、タイミングベルトの劣化は「キュルキュル」という甲高い音が、エンジンの焼き付きは焦げ臭い匂いを伴う場合があります。異音や異臭は、ドライバーよりも同乗者の方が先に気づくことも多いので、もし同乗者が何か異常を訴えたら、車を安全な場所に停車して状況を確認しましょう。
白煙が出ている
エンジンルームから白い煙が立ち上っている場合は、エンジンオイルが燃焼している可能性が高いです。場合によっては、エンジン本体が焼き付いている可能性もあり、これは非常に危険な状況です。直ちに安全な場所に車を停車させ、エンジンを停止してください。
関連記事:車から白煙が出たら?煙の原因や対処法、予防する方法などを解説
警告灯が点灯している
水温計が「H」付近を示したり、水温警告灯が赤く点灯した場合、冷却水の温度が異常に上昇しており、オーバーヒートの危険信号です。放置すると深刻なエンジン故障に繋がるため、早急に安全な場所に車を停車させてください。
また、油圧警告灯(エンジンオイルランプ)が点灯した場合は、油圧が低下しているか、量が不足していることを意味します。これはエンジンが焼き付いてしまう可能性を示唆しており、放置すると深刻な故障に繋がるため、直ちに安全な場所に車を停車させてください。
これらの警告灯は、いずれも車両の安全運転に重大な影響を及ぼす可能性があるため、点灯した場合は、慌てず冷静に安全な場所に車を停車させて、ロードサービスを呼ぶなど、適切な対応を取ることが重要です。
関連記事:エンジンチェックランプ・警告灯が点灯・点滅したときどうする?
エンジンブローの対処法

エンジンブローの予兆を確認した時点でメンテナンスを行えば問題を防げますが、予兆に気がつかない場合もあります。もし、車の運転中にエンジンブローが発生した場合、慌てて対処を行うとさらなる事故につながる可能性があります。対処法をしっかりと把握し、冷静に処置を行いましょう。
まずは停車
発車前にエンジンブローに気がついたのであれば、そのまま走らせないのがベストです。しかし、走行中にエンジンブローが起こる可能性も大いにあります。そのときは、まず安全な場所に停車することを意識しましょう。
・路肩に停める
・近くの駐車場に停める
などして、車を長く走らせないようにすることが重要です。
ここで注意してもらいたいのは、すぐにエンジンを切ってはいけないという点です。走行中にエンジンブローが起こった場合、慌ててエンジンを切ってしまいがちですが、そうすると道路に車が放置されることとなり非常に危険です。
あくまでも安全な場所に車を停車させることを最優先で考えましょう。
ロードサービスに依頼する
安全な場所に停車した後は、ロードサービスに依頼して、修理工場へ搬送してもらいましょう。エンジンブローした車を無理に動かしてしまっては、さらなる事故を生む可能性もあります。ロードサービスに対処を依頼したら、公共交通機関などを利用して帰宅しましょう。
もしも、こうしたエンジンブローが自宅から遠く離れた場所で発生すると、どうしてもパニックになりがちです。そうならないためにも、日常的なメンテナンスや、エンジンブローの予兆のチェックは欠かさないようにしましょう。
エンジンブローの予防法
エンジンブローを発生させないためには、しっかりと予防対策をする必要があります。エンジンの致命的な故障であるエンジンブローは、適切な予防措置によって回避可能です。日々のメンテナンスや適切な運転操作を心掛けることで、エンジンのトラブルを未然に防ぐことができます。
定期的なチェックとエンジンオイルの交換を行う
エンジンオイルのメンテナンス不足は、最悪の場合、エンジンブローに繋がりかねません。定期的なオイル交換は、潤滑、密封、冷却、緩衝、防錆、洗浄という重要な役割を担い、エンジンを健やかに保つための必須作業です。
オイル交換を怠ると、これらの機能が低下し、エンジンへの負担が大きくなり、結果として深刻なトラブルを引き起こす可能性があります。車のエンジンを守るためにも、オイル交換はしっかりと行いましょう。
水温と油温を適正温度にする
適切な水温と油温の管理は、トラブルを防ぐために非常に重要です。水温は 70~95 度が理想的な範囲であり、100 度を超えるとオーバーヒートのリスクが高まります。油温は水温よりも約 10℃高い設定が望ましいとされています。
定期的にオーバーホールを行う
エンジンは、長年の使用によって摩耗や劣化が避けられません。しかし、エンジンやトランスミッションといった駆動系を分解して整備するオーバーホールを実施することで、エンジン内部のパーツを新品同様の状態に蘇らせることができます。摩耗したパーツや劣化が進んだパッキン類を交換することで、エンジンの性能が回復し、深刻な故障のリスクを大幅に軽減できます。
関連記事:レストアの意味とは?オーバーホールの違いなどを解説
エンジンブローの修理はいくらかかる?

エンジンブローの修理にかかる期間と費用は、故障の原因や状況によって大きく異なります。
期間はどれくらい?
ディーラーや整備工場に修理を依頼した場合、必要な部品が揃っていれば、通常は1週間程度で修理が完了します。しかし、部品の調達に時間がかかる場合は、2週間程度かかることもあります。さらに、故障の原因の特定に時間がかかる場合は、修理期間がさらに長引く可能性があり、場合によっては1か月以上かかることもあります。
費用はいくらかかる?
エンジンブローが発生した場合、多くの場合、エンジン全体を交換する修理が必要となります。そのため、修理費用には工賃に加えて、新たなエンジン本体の費用も発生します。修理費用は、依頼する業者や故障の程度によって異なりますが、一般的には工賃とエンジン本体の合計で50万円~100万円程度を見積もる必要があるでしょう。
エンジン修理に保険は適応される?
車のエンジンが壊れてしまい、運転できなくなってしまった!そんな時、頭を悩ませるのが修理代ですよね。エンジンの修理は、軽く見積もっても50万円はかかる場合もあり、決して安いとは言えません。そこで気になるのが、車両保険の適用です。エンジンの修理は車両保険でカバーされるのでしょうか?
故障の場合は保険が適用されない
車両保険は、事故や盗難など、外的要因によって発生した損害をカバーすることを目的としています。そのため、エンジンオイル不足やガソリン劣化、パーツの自然消耗といった、車両の内部的な問題が原因となる故障や損傷は、保険の対象外となるケースが一般的です。例えば、エンジンブローが発生した場合、その原因が経年劣化やメンテナンス不足によるものであれば、保険は適用外となります。
外的要因なら保険が適用される
前述のとおり、エンジン内部の故障は、通常、保険の対象外となります。しかし、事故、天災、いたずらなど、外部からの要因でエンジンが故障した場合には、保険金が下りる可能性があります。
例えば、交通事故でエンジンが破損した場合や、台風による水没でエンジンが故障した場合、保険の対象となります。また、故意ではない外部からの衝撃や、意図しない行為によるエンジン損傷も補償対象となるケースがあります。
ただし、保険契約によっては、外部からの要因によるエンジン損害も補償対象外となる場合もあるため、事前に確認が必要です。特に、いたずらによるエンジン損傷の場合、警察に被害届を提出して事件として認定してもらう必要がある場合があります。
警察が事件と認めなかった場合、外部からの要因によるエンジン損害であっても、不正請求とみなされ、保険金が下りない可能性もあります。そのため、エンジンの故障が発生した際は、原因や状況を正確に把握し、保険会社に相談することが重要です。
保険会社によって判断基準は異なる
車のメンテナンス後に不意にエンジンが故障したり、給油時にうっかり違うガソリンを入れてしまった場合、保険が適用されるかどうかは保険会社によって判断基準が異なります。意図的な行為ではないとみなされる場合は、保険金が支払われる可能性がありますが、意図的な行為による故障と判断された場合は、残念ながら保険は適用されません。
関連記事:軽油とガソリンの違いとは
エンジンブローの車でも廃車買取業者に売却可能!
エンジンの修理費用が高額で、自然消耗による故障は保険の補償対象外となるケースも少なくありません。そのため、修理せずに車を手放し、新しい車に乗り換えたいと考える人もいるでしょう。
しかし、エンジンブローを起こした車は走行不能となり、ディーラーや中古車販売業者では買い取ってもらえないケースがほとんどです。場合によっては、処分費用を請求されることもあるため、頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。
廃車という選択肢も考えられますが、ソコカラなら、廃車だけでなく、故障車の買取にも対応しています。エンジンブローを起こした車でも、そのまま廃車にするよりも、ソコカラに売却することで、より多くのお金を手にすることができるでしょう。
まとめ
走行中のエンジンブローは重大な事故につながるため、注意が必要です。メンテナンス不足が原因となることが多いので、定期的な点検とオイル交換、水温・油温管理が重要です。異音や白煙などの異常があれば、エンジンブローの前兆の可能性があります。
万が一、エンジンブローが発生した場合、安全な場所に車を停め、ロードサービスを呼びましょう。修理費用は高額ですが、車両保険が適用される場合があります。
ソコカラは故障車の買取にも対応しております。車の廃車をされたい場合は、ソコカラにご相談ください。安心してお任せできる廃車手続きをサポートいたします。
この記事の監修者
浅野 悠
「株式会社はなまる」小売事業部 事業部長。1987年東京都生まれ。小学生から大学生までの間レーシングドライバーを目指し数多くの大会に出場。20代で飲食店経営に携わったのち、野菜配達の仕事に就くも、幼少期からの車への魅力を忘れられず自動車業界へ。中古車査定士の資格を取得し、自動車に関する豊富な知識をもとに、おもに車に起きるトラブルの対処法や車の豆知識に関するコラムを執筆。
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