ミッションブローとはどのようなトラブルかご存知でしょうか。ミッションブローが起こると、ギアチェンジが上手くいかない、車の運転が困難になるといった問題が生じるので、早急に対応する必要があります。
今回の記事では、ミッションブローとは何か、ミッションブローの原因、修理にかかる費用をご紹介します。車のトラブルに冷静に対処できるようになりたい方は、ぜひご覧ください。
ミッションブローとはトランスミッションに異常が生じること
ミッションブローとは、トランスミッションに異常が生じ、車の走行がスムーズにいかなくなるトラブルです。ミッションブローが起こると、一部のギアで入りにくさを感じる、まともに運転ができないといった問題が生じるので、早急に対応する必要があります。
ミッションブローを知るためには、トランスミッションの役割を知っておくことが重要です。トランスミッションとは、エンジンから伝わる力を上手く調整してスムーズな走行を手助けする装置です。日本語では、変速機といった名が付けられています。
通常、車のエンジンは、ガソリンを燃やして得たエネルギーに応じて回転数が変動します。もしトランスミッションが無ければ、エンジンとタイヤの回転数が一致することになり、車の発進時に十分な動力を得ることは困難になるでしょう。
実際に、エンジンの回転数が数百回以下の場合、車を発進させるほどの動力は得られません。逆に、エンジンの回転数とタイヤの回転数が数回のバランスを調整した場合は、タイヤの回転数が減少することにより、車のスピードが遅くなってしまいます。
このように、エンジンの回転数とタイヤの回転数の比が固定されている状態は、何かと不便です。そのため、状況に応じてエンジンからの力の伝わり方が調整できるように、車にはトランスミッションが搭載されています。
ミッションブローでは、このトランスミッションが正常に動作しなくなります。その結果、ギアチェンジが上手くいかず、安定した走行が難しくなるのです。
マ ニュアル車でミッションブローが起こる原因は3つに大別される
マニュアル車でミッションブローが起こる原因は主に以下の3つです。
1. 強引なギアチェンジを行う
まず1つ目に考えられる故障の原因が、強引なギアチェンジを行ってしまうことです。マニュアル車では、加速や減速のタイミングに応じて、自分で適宜ギアを調整する必要があります。このギアチェンジを強引に力で行ってしまうと、トランスミッションに大きな負荷がかかり、ミッションブローが起きてしまうことがあるのです。
もちろん、強引なギアチェンジを行ったからといってすぐに壊れるわけではありません。しかし、そのような誤った操作を続けていくと、ダメージが蓄積されトランスミッションはいずれ破損してしまうので、注意しましょう。
2. クラッチ板の摩耗
次に考えられる原因がクラッチの摩耗です。運転中にクラッチペダルの上に足を置くと、半クラッチの状態になることがあります。この半クラッチの状態では、滑りによりクラッチが擦り減っていきます。これにより、早く劣化が進み、ミッションブローになってしまうのです。
また、クラッチ板の摩耗・劣化はそれに付随する「フライホイール」というエンジンからの動力を平均化して伝える働きをするパーツの劣化にもつながり、これが破損してミッションそのものにダメージを与えるというケースもあります。
3. 部品の経年劣化
ミッションブローは、部品の経年劣化によっても起きます。どんなに丁寧に車を扱っていたとしても、10年、20年と使用を続ければトランスミッションは劣化していき、いずれは故障してミッションブローになります。この点は、ほかの自動車部品と変わりません。
オートマチック車でミッションブローが起こる原因は主にATF
オートマチック車の場合、マニュアル車のように手動でギアチェンジを行うことはありません。しかし、オートマチック車にもトランスミッションはあるので、ミッションブローは起きます。
オートマチック車の場合、トランスミッション内にあるATF(トランスミッションをスムーズに動かし、ギア同士の潤滑や冷却などの役割を果たす重要な潤滑油)の不具合によりミッションブローが起きることが多いです。そのため、オートマチック車でミッションブローが起きたときは、ATFを交換すれば回復することが多々あります。
ただし、ATFを交換することで、かえって症状が悪くなってしまうこともあります。素人には判断が難しいので、部品を交換するかどうかは専門業者と相談するようにしましょう。
オートマチック車の場合でも、経年劣化によりミッションブローとなることもあります。なお、オートマチック車のトランスミッションはあまり故障することはないので、過度の心配は不要でしょう。
修理にかかる費用は20万円以上
ミッションブローの修理費用は高額で、オートマチック車でもマニュアル車でも20万円以上はかかります。場合によっては、70万円もの修理代がかかることもあります。必要に応じて、車を廃車にすることも検討すべきでしょう。
ただし、オートマチック車の場合は、ATFの交換だけでよい場合もあり、その場合は安く済みます。ATFの交換代金は、1万~3万円程度です。
ミッションブローの修理は高額になるので要注意!
ミッションブローは、トランスミッションの故障により起こるトラブルです。ミッションブローになると、ギアチェンジがスムーズに行えなくなるばかりか、場合によっては運転が難しくなることもあります。
さらに厄介なことに、ミッションブローの修理代金は高額になりがちです。場合によっては、中古車が購入できる程度の代金を請求されることもあるので、廃車にすることも視野に入れておくとよいでしょう。
この記事の監修者
澤井 勝樹
「株式会社はなまる」監査役。1975年生まれ。10年近く会計事務所で経理総務全般の経験を積みながら、税理士、行政書士登録。その後、IT系ベンチャー企業のIPOの準備に携わるなど活動。現在はインターネットとクルマの可能性を世の中に伝えたいとソコカラコラムを執筆中。家族・食べること・愛車のセレナが大好き。おもに廃車の手続きや税金に関するコラムを執筆している。
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