- 2025.06.04
自動車のローン名義貸し 家族に頼まれても断るべき理由とは?
友人や知人、家族など、第三者に自分の名前を貸す行為を「名義貸し」といいます。職に就いていない、または借金があるなど、ご自身の状況で車のローン審査に通らない場合でも、他者の名義を借りることで車を所有することが可能です。
しかし、名義貸しを頼まれた場合、「本当に貸しても大丈夫だろうか」と不安に感じる方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、車のローンの名義貸しを断るべき理由を解説します。「断りにくい」と感じている方でも、名義貸しのリスクを理解すれば、「断らなければならない」という気持ちになるはずです。

結論:安易な名義貸しは危険!詐欺罪に問われる恐れも

車のローンの名義貸しは法律で厳しく禁じられており、詐欺罪として処罰の対象となります。親しい間柄の友人や家族から名義貸しの依頼があったとしても、きっぱりと断ることが重要です。
もし安易に名義を貸してしまうと、相手が抱える多額の借金や万が一の事故による賠償金を支払う可能性があります。さらに、名義を貸した相手によっては、貸したお金が返ってこないという事態も考えられます。
名義貸しには一切メリットがなく、リスクしかないため、例え親しい間柄からの依頼であっても、決して承諾してはいけません。
車のローン名義を貸してはいけない理由とは?
車のローンで名義貸しを頼まれたら、きっぱりと断るべきです。その理由を2つご紹介しましょう。
お金が返ってこない可能性が高いから
自分でローンを組めない事情がある人に名義を貸しても、お金が返ってこない可能性が高いことは容易に想像できます。名義を貸してローンを組むということは、あなたが車の購入金額分の借金を背負うことになるということです。
ローンを組めない人は、金銭的に問題を抱えている可能性が高く、支払いが滞ることも考えられます。もし名義を貸した相手が毎月の支払いを滞らせたら、その借金を返すのは名義を貸したあなた自身です。
つまり、名義を貸すとあなたが困る羽目になるため、どんなに親しい間柄であっても依頼を断ることが重要です。
ローンを組めない理由は人それぞれですが、毎月の支払いが滞るリスクを考えると、名義貸しは非常に危険な行為と言えるでしょう。
安定した収入がない、すでに借金を抱えているなど、様々な問題を抱えている可能性があります。
名義貸しは法的な観点からも問題があるため
名義を貸す行為は詐欺罪に問われる可能性があり、非常に危険です。加えて、車のローンの名義貸しは、あなたがローンの支払いを肩代わりすることになりかねません。
例えば、名義を貸した相手が返済を滞らせれば、その借金を負うのはあなたです。万が一、事故が起きた場合は、賠償金を支払う義務が生じることもあります。
名義貸しは法的にも問題があり、借金や賠償金のリスクを伴うため、トラブルの元凶となります。たとえ親しい間柄からの依頼であっても、きっぱりと断ることが重要です。
ブラックリストに載るリスクがある
自分が利用しているわけではないからといって、返済が滞っている状態を放置すると、名義人の信用情報に傷がつき、いわゆる「ブラックリスト」に載ってしまう可能性があります。
ブラックリストに載ると、名義を貸した相手と同様に、住宅ローンやクレジットカードの利用に大きな影響が出てしまいます。

車の所有者とローン契約者が異なる場合でも問題ないのはどんなケース?

車の名義人は、一般的に「車の所有者」を指しますが、車検証上の名義人には「所有者」と「使用者」の2種類があります。それぞれの定義は以下の通りです。
- 所有者:車を所有する権利を持ち、税金の支払い義務や所有者としての責任を負います。車の売却や譲渡も可能です。
- 使用者:実際に車を使用する権利を持ち、車を安全に運行できるよう管理する義務があります。
車の名義人とローンの契約者が異なるケースで、まず問題がないケースがあるので、ご説明します。
車の使用者とローンの契約者が同じで、車の所有者が別にいる

車の名義人とローンの契約者が異なるケースで、まず問題がないのは、車の使用者とローンの契約者が同じで、車の所有者が別にいるパターンです。これは、ディーラーローンや販売店の自社ローンを利用した場合に見られます。
銀行系のマイカーローンでは、契約者が金融機関からお金を借りて車を購入しますが、ディーラーローンや自社ローンでは、車を担保にして購入資金を借りたり、立て替えてもらったりします。
この場合、ローンの完済まではディーラーや販売店が車の所有権を持ち、ローン契約者は使用者として車を利用することになります。これは「所有権留保」という特約付きであり、ローンを完済すると、名義変更の手続きを経て所有権が購入者に移ります。
ローン契約者と名義人が同じでも、運転する人が別の場合は注意が必要
一方、車の名義人とローンの契約者が異なるケースで、ローン契約者と車の所有者が同じで、実際に車に乗る人が異なるパターンでは注意が必要です。そのよくある3つのケースについて、以下で詳しく見ていきましょう。
ケース1:同居している子どもが主に使う車のローンを父親が契約する

例えば、同居する大学生の子どもが主に運転する車を、父親がローンを組んで購入するケース(ローン契約者と車の所有者は父親、子どもがメインの使用者)を考えてみましょう。
この場合、子どもを車の使用者として登録すれば、特に問題はありません。一般的に、同居している家族間であれば、車の使用者とローンの契約者が異なっていても問題ないことが多いです。
ただし、任意保険の契約者と車検証上の使用者が一致していないと、万が一事故が起きた際に保険が適用されない可能性があります。事前に保険の内容を確認し、実際の車の使用者を正しく申告するようにしましょう。
なお、使用者の名義が父親の車であっても、同居している子どもが運転することは可能です。しかし、その車を「主に」子どもが使用するのであれば、使用者の名義を子どもにしておく必要があります。
ケース2:夫婦共有の車を妻名義でローン契約する

例えば、夫が既に住宅ローンを抱えており、さらに車のローンを組むことに不安を感じるため、安定した収入のある妻が車のローンを契約する場合を考えてみましょう(この場合、ローン契約者と車の所有者は妻で、妻と夫の両方が車を使用します)。
通常、ローンの契約者と車の所有者の名義が同一である方が、手続きなどの手間が省けて安心です。
しかし、同居している夫婦で車を共有するケースでは、車の名義人が所有者・使用者ともに夫婦のどちらであっても、両者が運転することは可能ですので、特に問題はありません。
別のケースとして、夫婦ともに十分な収入がないため、夫婦で利用する車のローンを共同名義で組む(ローン契約者、車の所有者、使用者全てが夫婦の共同名義)ことを検討する方もいるかもしれません。
一部のローンでは共同名義での契約も可能ですが、手続きが複雑になりがちです。また、後で名義を変更する際にも手続きが必要となります。
基本的には、ローンの契約者は一人の方が望ましいでしょう。もし単独でのローン審査が難しい場合は、配偶者を連帯保証人として審査を進めることも検討できます。
ケース3:遠方に住む親が使用する車を、子どもがローンを組んで支払っている

例えば、遠方に住む親が過去の金融トラブルでローンの審査に通らないため、成人した子どもが代わりにローンを組んで支払いを行うケースや、年金暮らしの親がローンの審査に通らないため、子どもが代わりにローンを組むケースなどがあります。
このような場合、車の名義設定には注意が必要です。車の所有者をローン契約者である子どもとし、使用者を親として登録すれば問題ありません。しかし、車の所有者と使用者を子どものままにして、離れて暮らす親が車を使用する状況は「名義貸し」にあたり、避けるべきです。
名義貸しを依頼されたらどうする?

名義を貸す行為は、さまざまなトラブルに巻き込まれるリスクを伴います。そのため、名義貸しを頼まれた場合は、きっぱりと断ることが大切です。
名義を借りる側は車に乗れるというメリットがありますが、貸す側には一切メリットがありません。名義貸しを依頼されたら、「違法であることの説明」や「ローン以外の方法を検討する」など、名義貸し以外の選択肢を提案してあげましょう。
法律違反であることを説明する
もし友人や知人から名義貸しを頼まれたら、まず「違法行為である」ということをきちんと説明しましょう。単に断るだけでは、相手も名義貸しが違法行為であるという認識を持てない可能性があります。
違法であることに加え、実際に起きたトラブルや裁判の判例などを具体的に説明することで、相手に名義貸しの違法性をより強く理解させることができます。
ローン以外の方法をすすめる
依頼を受けたら、ローン以外の方法も検討するよう促しましょう。車を手に入れる方法は、ローンだけではありません。
中古車であれば、販売業者と直接分割払いの契約を結ぶことも可能です。この方法なら、ローンのように金融機関の審査がないため、審査に不安がある方でも車を入手しやすくなります。
さらに、必要な時だけ利用できるレンタカーやカーシェアリングといった選択肢もあります。様々な方法を提案し、名義貸しでの購入は避けるようアドバイスすることが大切です。
関連記事:カーシェアリングってなに?3つのメリット・デメリットをご紹介!
名義を貸したことで借金の責任を負うことになった場合の対応方法
名義を貸した相手の借金については、自分が借りたわけではないからといって、返済義務がないわけではありません。名義貸しによって借金の返済義務を負ってしまった場合の対処法は、主に以下の3つです。
- 名義を貸した相手に払ってもらう
- 自力で返済する
- 弁護士に相談する
それぞれの対処法について、以下で詳しく見ていきましょう。
名義を貸した相手に返済してもらう
望ましいのは、名義を貸した相手、つまり実際に借金をした本人に返済してもらうことです。まずは、相手に連絡を取り、返済を求めましょう。
しかし、名義貸しを依頼してくるということは、本人に何らかの事情があり、自力での返済が難しい状況であると考えられます。すでに督促状が届いている場合は、相手の返済能力はかなり厳しいと言えるでしょう。
自力で返済する
もし、名義を貸した相手が返済をせず、連絡も取れない状況になった場合、最終的には名義を貸した本人が返済を担うことになります。思いがけない借金を抱えることになりますが、この状況を乗り越え、返済を長期化させないためには、以下の点に注意しましょう。
まず、支出の見直しです。携帯電話料金や動画配信サービスの利用料など、固定費を見直すことから始めましょう。不要な保険の解約や、無駄遣いをなくすなど、支出全体を削減し、返済に充てられるように工夫することが大切です。
次に、利息の軽減を図ることです。毎月の返済額を増額し、返済期間を短縮することで、最終的な支払総額を減らすことができます。まとまった資金がある場合は、繰り上げ返済や一括返済も有効な手段です。
複数の借入がある場合は、金利の高いものから優先的に返済していくと、より効果的に利息を減らすことができます。
弁護士に相談してみる
「名義を貸した相手が返済してくれない」「借金で困っている」という状況であれば、弁護士に相談することで解決策が見つかることもあります。
また、お金を得るために名義貸しのような違法行為を考えている場合も、まずは弁護士に相談してみましょう。弁護士に相談することで、債務整理という方法で借金問題を解決できる可能性があります。
債務整理で借金問題を解決する
もし、名義を貸したご自身も返済が難しい状況であれば、弁護士に相談し「債務整理」という方法で問題を解決することも可能です。
債務整理は、借金問題を解決するための正当な手段です。主な方法として3つあり、利息を減らして毎月の返済額を減らしたり、借金を大幅に減額または免除することもできます。
債務整理には、メリットだけでなくデメリットも存在します。弁護士に相談することで、ご自身の状況に合った方法を提案してもらい、交渉や手続きのほとんどを任せることができます。
ただし、名義貸しに対して厳しい対応をとる債権者(和解交渉に応じないなど)もいるため注意が必要です。

まとめ
車のローンを組む際には、審査に通るかどうかが重要です。審査では、属性、信用情報、虚偽報告の有無がチェックされます。ローンの名義貸しは、詐欺罪として処罰の対象となり、リスクしかないため、絶対に断るべきです。
名義貸しを依頼された場合は、違法性を説明し、ローン以外の方法を提案しましょう。もし名義貸しで借金の返済義務を負った場合は、相手に返済を求める、自力で返済する、弁護士に相談するなどの対処法があります。
ソコカラでは、廃車買取に関する様々なご相談を承っております。廃車に関する疑問や不安を解消し、最適な解決策をご提案します。
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この記事の監修者
澤井 勝樹
「株式会社はなまる」監査役。1975年生まれ。10年近く会計事務所で経理総務全般の経験を積みながら、税理士、行政書士登録。その後、IT系ベンチャー企業のIPOの準備に携わるなど活動。現在はインターネットとクルマの可能性を世の中に伝えたいとソコカラコラムを執筆中。家族・食べること・愛車のセレナが大好き。おもに廃車の手続きや税金に関するコラムを執筆している。
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