- 2024.09.06
ウォーターポンプの異音は故障?交換時期と修理費についても解説!
ウォーターポンプは、エンジンの過熱を抑えるために必須のパーツであり、トラブルが起きると高確率で異音が発生します。ウォーターポンプの故障を放置すると、大変危険です。最悪の場合エンジンが壊れてしまう可能性があります。こちらの記事では、ウォーターポンプの重要性やウォーターポンプから異音がする原因・対処法などをご説明します。
ウォーターポンプとは?
車のエンジンに搭載されているウォーターポンプの役割は、オーバーヒートを防ぐことです。車のエンジンは、ガソリンを燃やして動力を生み出しているため、使いつづけると温度が高くなっていきます。熱に強いゴムや金属などのパーツも、高温にさらされつづけるといずれ壊れてしまうので、エンジンには冷却装置が必要不可欠です。
そこで、エンジンでは空冷と水冷という2種類の冷却方法が採用されています。
空冷式とはエンジンが発した熱を、外気の空気を直接利用して冷却するエンジンです。冷却方式として、とても原始的な方式であり、また一番シンプルなものでもあります。見た目としてはシリンダーやシリンダーヘッドに冷却フィンが装着されているのが特徴です。
水冷式とは、エンジン内部に水を循環させ、排熱を行う方法で、現在では一番ポピュラーな冷却方式です。
ウォーターポンプが故障したり、うまく動作しなくなったりすると、エンジンを冷やすことができないので、エンジンがダメージを受けてしまいます。
ウォーターポンプの構成
ウォーターポンプは、主に以下の5つの部品で構成されています。
フランジ
フランジは、ハブとも呼ばれ、ウォーターポンプの重要な部品です。このフランジは、プーリーと呼ばれる部品と連結され、タイミングベルトやファンベルトを回転させる役割を担っています。
シャフトベアリング
ウォーターポンプの心臓部ともいえるシャフトベアリングは、回転する軸を支える重要な役割を担っています。この部品に異常が生じると、ウォーターポンプは正常に回転できなくなり、深刻な影響を及ぼす可能性があります。
ボディ
ウォーターポンプのボディは、アルミダイカストや鋳物といった素材で製作されており、高い耐熱性を備えています。
メカニカルシール
メカニカルシールは、内部の冷却水が外部に漏れ出さないよう、しっかりと遮断する重要な役割を担っています。このシールが経年劣化や摩耗によって機能不全に陥ると、冷却水が漏れてしまうトラブルが発生し、深刻な事態に繋がる可能性も孕んでいます。
インペラー
インペラーは重要な役割を担っています。この部品は、冷却水をエンジン全体に送り出すポンプの役割があります。しかし、年月が経つにつれて、インペラーは腐食や摩耗の影響を受け、その機能を損なう可能性があります。もし、インペラーが破損してしまえば、冷却水が正常に循環せず、エンジンの過熱や故障に繋がる危険性も孕んでいます。
パーツの破損や冷却水の漏水など!異音が発生する原因と対処法
ウォーターポンプの故障は、「異音」や「冷却水の水漏れ」といった形で出てくることが多いです。ただ、冷却水の水漏れは、ボンネットを開けてエンジンの状態をチェックしないとなかなか気づけないので、「聞き慣れない異音」がしたら、ウォーターポンプの異常を疑いましょう。
漏れ出た冷却水がファンベルトに付着してベルト鳴きが発生している
- エンジン内部に侵入したゴミのかみ込み
- パッキンやパーツの破損
- ウォーターポンプの締め込み不足
といった問題があると、本来エンジン内部のパイプを循環しているはずのクーラントが漏れ出てしまいます。もう少し詳しく解説すると、漏れた冷却水がエンジンの外にあるファンベルトに付着し、冷却水が蒸発する際に残った物質がこすれて、異音が発生するというトラブルです。
水漏れによるベルト鳴きは、エンジンを解体してファンベルトを清掃し、壊れたウォーターポンプを新品に交換すれば解消できます。
ベアリングの破損によっても異音が発生する
ベアリングの破損も異音を発生させる原因のひとつです。強い衝撃を受けてベアリングがゆがんだり、潤滑油が切れたまま使いつづけて金属球が割れたり摩耗したりすると、ベアリングの動きが悪くなって異音が出てしまいます。
ただし、壊れた玉だけを取り替えても、ベアリングはなめらかに動きません。なぜなら、経年劣化によって、まだ問題の起きていない金属球も、若干大きさが変化しているケースが多いからです。ベアリングの破損による異音を解消するためには、ウォーターポンプを取り替える必要があります。
部品のゆるみなどによる振動から異音が出るケースもある
部品の固定がゆるんでしまったり、冷却水が蒸発して減ってしまったりした結果、過剰な振動が起きて異音が出るケースもあります。部品のゆるみが原因なら、パーツを改めて固定するだけで対処可能です。冷却水不足による異音なら、クーラントを買ってきて注ぎ足すことで異音を消せるでしょう。
ただし、異音が出ている状態が長く続くと、部品同士が強くぶつかってパーツが壊れたり、すり減ったりしてしまいます。パーツの形状がかわると元の状態には戻らないので、必要に応じてウォーターポンプの交換が必要です。
ウォーターポンプの交換時期・寿命はどれくらい?
どんなに大切に扱っていても、モノには必ず寿命が訪れます。車も例外ではなく、年月を重ねるごとにパーツは少しずつ劣化し、やがては故障してしまうものです。では、自動車の心臓部ともいえるウォーターポンプの寿命は、一体どれくらいなのでしょうか?
ウォーターポンプの寿命は10万キロ前後
一般的に、ウォーターポンプの寿命は約10万キロ走行と言われています。しかし、これは正確にはタイミングベルトの寿命に合わせた目安です。なぜなら、ウォーターポンプの交換はタイミングベルト交換と同時に行うことが推奨されるからです。タイミングベルト交換には専門的な知識と技術が必要で、ウォーターポンプも同時に交換することで作業効率が向上し、安全性が確保できるからです。
また、ウォーターポンプの寿命は年数で10年程度と言われており、これは部品の劣化や経年変化によるものです。もちろん、個体差は存在し、走行距離や使用状況によって寿命は大きく変わります。上記はあくまで目安であり、10万キロ走行や10年経過したからといって必ずしも交換が必要なわけではありません。
しかし、これらの目安を参考に、ウォーターポンプの状態を定期的にチェックすることは重要です。日頃から車の状態を把握し、異常を感じたらすぐに専門家に相談するようにしましょう。
冷却水の漏れやシャフトベアリングの破損に注意!
ウォーターポンプの交換時期は、目安となる10万キロや10年以外にも、いくつかの要素が判断材料となります。特に注意すべきは、「冷却水の漏れ」と「シャフトベアリングの破損」です。これらの症状は、ウォーターポンプの故障を示唆する重要なサインです。
冷却水の漏れやシャフトベアリングの破損は、放置するとウォーターポンプの劣化が加速し、最悪の場合、エンジンオーバーヒートに繋がる可能性があります。異音や異臭よりも、これらの症状が出現した際は、早急にウォーターポンプの交換を検討すべきでしょう。
初期段階ではわかりにくい!定期的なメンテナンスが必要不可欠
車の心臓部ともいえるエンジン。その重要な役割を支えるウォーターポンプは、経年劣化や酷使によって故障のリスクが常に存在します。しかし、ウォーターポンプの故障は、初期段階では分かりにくい場合も多く、気づかないうちに深刻な事態に発展してしまうこともあります。
オーバーヒートによるエンジンの損傷は、修理費用が莫大になるだけでなく、場合によっては廃車にまで至る可能性もあります。 「まだ走行距離が少ないから大丈夫だろう」と安易に考えていると、取り返しのつかない事態に陥るかもしれません。
ウォーターポンプの故障を防ぐために、定期的な点検とメンテナンスは不可欠です。車の状態を維持し、安心して走り続けられるように、早めの対策を心がけましょう。
冷却水の漏れやにじみには注意!
冷却水のタンク内の水位が減っている場合、冷却水の漏れやにじみが発生している可能性があります。冷却水が漏れると、エンジンが適切に冷却されなくなり、深刻な損傷につながる可能性があります。わずかなにじみでも放置せず、早急に修理に出すことをおすすめします。
ウォーターポンプの交換方法とは?
ウォーターポンプの交換は、タイミングベルトを取り外したり、細かい部品を分解したりするなど、高度な技術を要する作業です。タイミングベルトは、エンジンの精密な動きを支える重要な部品であり、取り扱いを誤ると深刻なトラブルに繋がる可能性があります。そのため、自動車整備の専門知識や経験が豊富でない場合は、交換作業は専門のカーディーラーや整備工場に依頼することを強くお勧めします。
自分で交換作業を行う場合は、十分な知識と技術を備え、細心の注意を払いながら作業を進める必要があります。手順を誤ると、エンジンがオーバーヒートしたり、他の部品が故障したりするなど、深刻なダメージに繋がることがあります。万が一、不安な場合は、プロの整備士に相談することをお勧めします。
自分で交換するときの方法は?
車のウォーターポンプ交換は、決して簡単な作業ではありません。専門的な知識と技術が必要となるため、自信がない場合は、整備のプロにお任せすることを強くお勧めします。誤った手順や不適切な工具の使用は、深刻な車両の損傷や怪我につながる可能性があります。安全を第一に考え、安心して車を任せられる専門家に依頼しましょう。
- ラジエター下部のドレンボルトを緩めて、冷却水を完全に排出します。
- ラジエターを車体から取り外します。フィンを傷つけないように注意しながら、安全な場所に移動させましょう。
- タイミングベルトを外します。
- ウォーターポンプを取り外して、新しいウォーターポンプと交換します。
- ウォーターポンプ、タイミングベルト、ラジエターを元通りに取り付けます。各部の締め付けトルクは、整備マニュアルを参照してください。
- 冷却水タンクと冷却水経路を水で洗浄し、規定量の冷却水を補充します。冷却水経路内に空気が残っているため、エア抜きを十分に行ってください。
ホースの脱着やボルトの取り外しなど、細かい作業も必要となります。作業を進める際は、これらの点にも注意しましょう。
ウォーターポンプの修理費はいくらかかる?
車のエンジンをスムーズに動かすために欠かせないのがウォーターポンプです。しかし、この重要な部品が故障すると、深刻な事態に発展する可能性も。オーバーヒートによるエンジンのダメージは、修理費も高額になりがちです。そこで気になるのが、ウォーターポンプの修理にかかる費用ですよね。
単体の場合は20,000円前後
車のウォーターポンプが壊れてしまった場合、修理費用は車種や業者によって異なりますが、概ね20,000円前後で済むことが多いでしょう。一見すると決して安い出費ではありませんが、エンジンの故障と比較すれば、はるかに安価に抑えられます。
エンジンの修理や交換は、ウォーターポンプと同様、車種や修理場所によって費用が大きく異なりますが、場合によっては40万円から100万円を超える高額な費用が発生することもあります。その点から考えると、ウォーターポンプの修理費用は20,000円前後と、決して高くはないと言えるでしょう。
ウォーターポンプの修理では済まない場合もある
ウォーターポンプの修理・交換は、決して安価な作業とは言えません。20,000円前後で済むケースもありますが、エンジン周りの他のパーツにも不具合が生じている可能性があり、その場合はさらに高額な費用が発生する可能性があります。
例えば、オルタネーターの交換は、メーカーや車種にもよりますが、50,000円以上の費用がかかることも珍しくありません。他にも、ラジエーターやタイミングベルトなど、エンジン周りには様々なパーツが存在し、交換が必要になった場合は、数万円から数十万円の費用がかかる場合があります。
さらに、ウォーターポンプの交換は、車の経年劣化を招く可能性もあります。10年を目安に、様々な部品の劣化が進むため、他の箇所にも不具合が発生するリスクが高まります。そのため、ウォーターポンプの修理・交換は、単なる部品交換ではなく、車の状態全体を見直す良い機会と言えるでしょう。
近いうちに他の箇所での修理や交換が必要になる可能性も考慮に入れ、今回の修理・交換を機に、車のメンテナンスについて見直してみるのも良いかもしれません。
修理よりも新しい車を購入した方が安い?
自動車の所有者は、車の維持管理において、時として困難な決断を迫られることがあります。特に、老朽化が進み、修理費用が嵩むようになった場合、その決断はより複雑なものとなるでしょう。
例えば、ウォーターポンプの故障など、修理に多額の費用を要する事態が発生した場合、その車に乗り続けるか、あるいは廃車にするかという選択肢に直面することになります。ウォーターポンプの修理費用を支払って、その車を使い続けるという選択肢もありますが、その車の年式や走行距離、さらには全体的な状態などを考慮すると、廃車にして新しい車を購入する方がより良い選択となる場合もあるのです。
特に、新車を購入してから年数が経過している場合や、中古車を購入している場合は、廃車にして新しい車を購入する可能性が高いと言えるでしょう。なぜなら、古い車には、ウォーターポンプ以外にも、さまざまな箇所で不具合が発生する可能性があり、そのたびに修理費用がかさむことが予想されるからです。
そのような状況下では、修理費用を積み重ねるよりも、新しい車を購入する方が、経済的にも精神的にも負担が少ないと言えるでしょう。
まとめ
車の心臓部ともいえるエンジンを守るためには、ウォーターポンプの健康状態に気を配ることが不可欠です。ウォーターポンプの故障は、修理や交換に費用がかかるだけでなく、エンジンに深刻なダメージを与える可能性もあります。早期発見が重要ですが、ウォーターポンプの不調は、他の部品への悪影響や車両全体への負担増加につながることも考えられます。
もし、ウォーターポンプの修理が必要になった場合、車を買い替えることも検討すべき選択肢の一つです。特に、車齢を重ねて故障が頻発するようであれば、新しい車に乗り換えることで、安心と快適なカーライフを実現できるかもしれません。
しかし、古い車を手放す際に気になるのが廃車費用です。廃車するには、費用だけでなく手続きの煩雑さもあるため、なかなか重い腰が上がりません。そこでおすすめなのが、ソコカラの廃車買取サービスです。10万キロ以上走行した車でも、買い取りの対象となるため、廃車費用がかかるどころか、買取価格がつくことでプラスになる可能性があります。
車の廃車をされたい場合は、ソコカラにご相談ください。安心してお任せできる廃車手続きをサポートいたします。
この記事の監修者
浅野 悠
「株式会社はなまる」小売事業部 事業部長。1987年東京都生まれ。小学生から大学生までの間レーシングドライバーを目指し数多くの大会に出場。20代で飲食店経営に携わったのち、野菜配達の仕事に就くも、幼少期からの車への魅力を忘れられず自動車業界へ。中古車査定士の資格を取得し、自動車に関する豊富な知識をもとに、おもに車に起きるトラブルの対処法や車の豆知識に関するコラムを執筆。
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