- 2024.08.26
キャブ車とは?仕組みやメンテナンス法などを大解剖!
かつては街の風景に欠かせない存在であったキャブ車という言葉は、近年の自動車技術の進化に伴い、耳にする機会が減少しつつあります。しかし、その独特な構造や排気音、そしてレトロな雰囲気に魅了されるファンは根強く存在し、現在でも多くの愛好家によって大切に維持され、愛され続けています。
本記事では、そんなキャブ車の魅力に迫り、その特徴や仕組み、さらにはメリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。キャブ車について、より深く理解したいと考えている読者の皆様は、ぜひ最後まで読んでみてください。

キャブ車とは?キャブレターを採用した車
キャブ車とは、エンジンの燃料供給装置としてキャブレターを採用している車のことです。車は、ガソリンと空気を混ぜて燃焼させることで動きます。ただ、液体のままのガソリンは燃焼しにくいため、気体にしたうえで空気と混ぜ、燃焼させなければなりません。
キャブレターはガソリンを気体に変化させる装置
ガソリンを液体から気体に変化させるのがキャブレターの役割です。キャブレターは霧吹きのような仕組みで、吸気量に応じて燃料の供給量を変化させながら、ガソリンを霧状に変化させます。
ただし、キャブレターの構造は単純であり、精密な燃料の制御はできないため、強化された排気ガス規制には対応できません。現在では、新しく製造されているキャブ車はなく、キャブレターの代わりにインジェクションを搭載した車が製造されています。
キャブ車の3つのメリット
新しく製造されているキャブ車はないのですが、さまざまなメリットや魅力があるため、一部のファンの間では根強い人気があります。ここでは、キャブ車の3つのメリットや魅力を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
自分でチューニングできる
インジェクションは電子制御であるため、自分でチューニングすることはできません。一方のキャブレターは、自由にチューニングできるため、道路状況や気候、自分の好みなどに合わせて運転できます。車に詳しい人やマシンのチューニングが好きな人にとっては、大きな魅力といえるでしょう。
故障した場合の修理費用が安い
キャブレターの構造は単純であるため、故障した場合の修理費用や部品の交換費用はあまりかからないでしょう。簡単な洗浄や部品の手入れだけで、故障が直るケースもあります。
メーカーによる音の違いを楽しめる
キャブレターごとの音の違いを楽しめることも、キャブ車の魅力のひとつです。キャブレターの基本的な仕組みはどれも同じですが、細かな構造や運転時の音などはメーカーによって大きく異なります。運転したときの感覚が変わるのは、マニアにはたまらない魅力といえるでしょう。
キャブ車の3つのデメリット
キャブ車には、気候による影響を受けやすい、ランオンやオーバーフローなどのトラブルが起こる、といったデメリットがあります。順番に確認しておきましょう。
気温や気圧の変化による影響を受けやすい
気候による影響を受けやすいことは、キャブ車のデメリットのひとつです。キャブレターは、エンジン内の気圧変化によって燃料を供給しているため、外部の気圧や気温の変化の影響を強く受けてしまいます。気圧の変化が大きい山道や、気温の変化が激しい地域では、安定した走りを実現できないケースもあるでしょう。
ランオンやオーバーフローといったトラブルが起こりやすい
ランオンやオーバーフローといったトラブルが起こりやすいことも、キャブ車のデメリットといえるでしょう。ランオンとは、エンジンを切ったにも関わらず、キャブレターが誤作動を起こして、燃料が消費されてしまうトラブルです。オーバーフローとは、バルブの劣化やゴミ詰まりなどの原因で、キャブレターから燃料が漏れ出てしまう現象です。電子制御であるインジェクションの場合は、これらのトラブルは避けられます。
燃費が悪い
燃費が悪いこともキャブ車のデメリットのひとつです。キャブレターを用いて燃料供給を制御すると、量やタイミングの精度が低く、燃焼効率が悪くなってしまいます。インジェクション車と比較すると、多くのガソリン代がかかってしまうでしょう。
主流のインジェクションとは何が違う?
ここまではキャブ車のメリット、デメリットなどを紹介してきました。それでは、現在主流のインジェクションとはどのような違いがあるのでしょうか?具体的な違いや、インジェクションに移行した理由をご説明します。
インジェクションとは何か
ガソリンエンジンの心臓部とも呼ばれる燃料噴射システムは、現代の自動車において不可欠な存在です。かつて主流だったキャブレターは、機械的に燃料を供給していましたが、現代の自動車では、インジェクションと呼ばれる精密な燃料制御システムが広く採用されています。
インジェクションシステムは、気温や気圧、酸素量といった様々な環境要因を感知し、コンピューター制御によって最適な燃料量を正確に噴射します。この緻密な制御により、燃費向上と有害物質削減につながります。
インジェクションシステムは、状況に応じて燃料噴射量を自動調整することで、場所や季節に左右されることなく、常に安定したエンジン性能を発揮します。環境変化に柔軟に対応し、燃費効率と排気ガス抑制を両立するインジェクションシステムは、現代の自動車にとって欠かせない技術と言えるでしょう。
なぜインジェクションに移行したのか
ガソリンエンジンの排気ガス規制強化は、キャブレターから燃料噴射式(インジェクション)への移行を加速させた大きな要因です。ガソリンは、空気との混合比が14.7:1のときに最も効率的に燃焼し、有害物質の発生を抑えることができます。
しかし、キャブレターは、細かい調整を施しても、常にこの理想的な空燃比を維持することが困難です。そのため、キャブ車からは多量の有害物質が排出されてしまう問題がありました。
一方、インジェクションは、排気ガス中の酸素濃度をリアルタイムで測定し、適切な燃料噴射量を調整することで、常に最適な燃焼状態を実現できます。環境保護の意識が高まるにつれて、排気ガス規制は年々厳しくなり、キャブレター車は新車販売から姿を消しました。
キャブレターのメンテナンスの方法
キャブ車の魅力の一つに、シンプルな構造によるメンテナンスのしやすさがあります。知識があれば、自分でメンテナンスを行うことも可能です。
パイロットスクリューの洗浄
パイロットスクリューを取り外し、内部通路にスプレーを吹き付けて洗浄します。汚れが溜まるとアイドリングが悪化する原因となるため、こまめな清掃が重要です。
フロートチャンバーの洗浄
フロートチャンバーを取り外します。フロートピンやフロートバルブなど、各パーツを分解して洗浄します。この際に、フロートバルブの摩耗や段差の発生をチェックしましょう。
ジェット類の洗浄
メインジェットとスロージェットを取り外して、クリーナーで洗浄します。スロージェットは、ガソリンが固まって詰まっている場合があるため、ハリガネなどで除去してから洗浄液に浸け置きします。
キャブレターを完全に分解して洗浄液に漬け置きする方法もあります。この方法では、分解と結合の手間がかかりますが、徹底的に汚れを落とすことができます。ただし、細かい作業が必要で、慣れない場合は時間がかかるため、適切な方法を選びましょう。
メンテナンスをするときの注意点
キャブレターのメンテナンスは、その複雑な構造と繊細な部品のために、細心の注意を払い、慎重に行う必要がある作業です。特に、各部品の取り外しと組み付けの順序を正しく理解し、元の状態に戻すことが重要です。もし、手順を誤ると、エンジンが正常に動作しなくなる可能性があり、場合によっては、さらなるトラブルや修理が必要となることもあります。
さらに、キャブレターのメンテナンス後には、適切な調整が必要となる場合があり、この調整作業は専門的な知識と経験が必要となるため、自身に自信がない場合は、専門業者に依頼することを強くお勧めします。
キャブ車のメンテナンスは、車のパフォーマンスを維持し、燃費の向上、排気ガスの低減など、様々なメリットをもたらすため、車にとって非常に重要な作業です。そのため、上記の注意事項を参考に、定期的にメンテナンスを行い、車の状態を良好に保つように心がけましょう。
キャブ車に乗りたい場合は中古を探そう!
実際にキャブ車を手に入れるには、大きく2つの方法があります。
中古のキャブ車を手に入れる
まずは、中古のキャブ車を手に入れる方法です。2002年以前のキャブ車を探せば、インターネットの中古車情報サイトでいくつか見つけることができます。しかし、数が少ない上に、状態の良いものは値段もそれなりにするでしょう。中には、ヴィンテージとして高値が付いているものもあるかもしれません。
インジェクション車をキャブレターに載せ替える
もう1つの方法は、現代のインジェクション車をキャブレターに載せ替える方法です。一見簡単そうに見えますが、実際にはかなり大変な作業になります。インジェクション本体やスロットルボディ、配線など、多くの部品を取り外し、キャブレターを取り付けなければいけません。
さらに、水温計や燃料ポンプも専用の物に交換する必要があり、配線もやり直す必要があります。専門知識がない場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。
また車検を通すためには、排出ガス検査をクリアし、構造変更申請を行う必要があります。手間も費用もかかるため、自分で載せ替えるのに自信がなければ、専門業者に依頼しましょう。
キャブ車の維持は大変
キャブ車を維持するには、多くの費用がかかります。中古車の場合は、自動車税や自動車重量税が高く、燃費も良くありません。キャブレター以外の部品も、経年劣化で交換が必要になる場合もあります。車検も簡単には通りません。
キャブレターに載せ替えた車は「改造車」として扱われ、売却時の査定額は大幅に下がってしまいます。場合によっては、買い取ってもらえない可能性もあります。その場合は、廃車買取を依頼しましょう。
まとめ
今回は、キャブ車の仕組みやメリット・デメリットなどを紹介しました。キャブ車は燃費が悪く、有害物質の発生も抑制しにくいため、現在は製造されていませんが、さまざまな魅力があるため根強い人気があります。どうしても乗りたい場合は、中古車を扱う業者などに問い合わせてみると良いでしょう。
ソコカラでは、インジェクションからキャブレターに載せ替えた車でも、10,000円以上の買取を保証しております。レッカー代や査定料、廃車にかかる手続きの費用は無料です。たとえ値がつかなくても、解体してパーツを再利用したり、スクラップを売却できたりするので、諸費用を無料にできます。ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。

この記事の監修者
浅野 悠
「株式会社はなまる」小売事業部 事業部長。1987年東京都生まれ。小学生から大学生までの間レーシングドライバーを目指し数多くの大会に出場。20代で飲食店経営に携わったのち、野菜配達の仕事に就くも、幼少期からの車への魅力を忘れられず自動車業界へ。中古車査定士の資格を取得し、自動車に関する豊富な知識をもとに、おもに車に起きるトラブルの対処法や車の豆知識に関するコラムを執筆。
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