自然災害で怖いのは、突然の洪水で車が水没してしまうことです。
台風や集中豪雨に見舞われ、あっという間に車が水没車(冠水車)になってしまうことがあります。 車が冠水すると、後々まで大きなダメージが残ってしまうため、適切な判断と対応が重要です。
この記事では、水没車に残るダメージや故障する場所、その後の対処法について詳しく解説いたします。万一の時の対策を心得ておけば安心です。

水没車に残るダメージは予想以上に深刻!

まずは、水没車に残る深刻なダメージについてご紹介します。
万一車が冠水した場合でも焦らないように、しっかりチェックしておきましょう。
塩水による部品の劣化・腐食
水没車になる理由のひとつに、車が海水に浸かるという被害があります。
洪水や津波などで海水に車が浸かった場合には、海水に含まれる塩分によって車が錆びてしまう恐れがあります。
一度海水に浸かってしまうと、車が乾いても塩分は残ります。部品の腐食を招かないためにも早期の対応が必要です。
しかし、海水に冠水した場合、部品交換でもなかなか修復は難しいのが現実です。
電気系統に起こる不具合
エンジンやコンピューターなど、車にはさまざまな電気系統が走っています。
特に海水に浸かった場合は真水よりも電気を伝えやすくなり、電気系統のショートで火災を起こす可能性も高いです。
また、電子制御部品もすべてが金属なので、海水による老化が進むと故障だけでなく車の安全性が失われます。
カビや雑菌による臭いトラブル
水没車を放置しているとカビや雑菌が発生します。その雑菌は悪臭の元となり、車内の空気を一変させてしまうのです。
水没車を乾かしたつもりでも、床下などは乾かずに多湿状態が続くことがあり、気づかないうちにカビや雑菌が徐々に繁殖していくケースも少なくありません。
カビが原因で新たな故障箇所が増える可能性もあり、衛生面だけでなく車の安全性も損なわれてしまいます。
浸水の程度で異なるリスク
洪水による車のダメージは、浸水の程度によって大きく異なります。見た目では判断できない深刻な問題が潜んでいることも少なくありません。
ここでは、浸水の程度別に考えられるリスクとその影響について解説します。
タイヤ半分以下の浸水

タイヤ半分以下の浸水であれば、エンジンルームへの水の浸入は少ないと考えられますが、油断は禁物です。
リスク: 車体下部の部品(マフラー、ブレーキなど)の錆つきや腐食が進む可能性があります。また、電気系統のコネクタ部分に水が浸入し、接触不良を起こすこともあります。
対策: 車体下部の点検と、電気系統の点検を専門業者に依頼しましょう。
タイヤ半分以上の浸水

タイヤ半分以上の浸水の場合、エンジンルームへの水の浸入の可能性が高まります。
リスク: エンジン内部に水が入り込み、エンジンが始動不能になる 可能性があります。また、電子制御ユニット(ECU)やセンサー類が水没し、機能不全に陥ることもあります。 内装部品へのカビの発生や異臭の発生も考えられます。
対策 : エンジンオイルや各種オイルの交換、電子制御ユニットの点検が必要です。専門業者による徹底的なチェックとクリーニングを行いましょう。
車内浸水

車内まで水が浸入した場合、最も深刻な状態と言えます。
リスク: 内装部品、電装品、シートなど、車内のほとんどの部分が水に浸かります。カビの発生、異臭の付着、電気系統のショート、エンジンへの水の混入など、様々な問題が発生し修理費用も高額になる傾向があります。
対策: 内装の徹底的な洗浄・乾燥、電気系統の交換が必要になります。場合によっては車の価値が著しく低下し廃車を検討することになるでしょう。
水没車の修理は、専門的な知識と技術が必要です。浸水の程度に関わらず、専門業者に相談し、適切な処置を受けるようにしましょう。

車は水深30㎝でも冠水する可能性がある
マフラーの排気口は地面から約30㎝のところにあり、このマフラーが水に浸かった場合でもトラブルに繋がります。排気ができなくなれば、エンストを起こして車は動かなくなってしまうのです。
さらにエアクリーナーに水が入るとエンジンが止まり、最悪の場合エンジンがかからなくなります。
水が溜まっている場所はできるだけ避けて走行するようにしてください。
冠水した道路を走行する際の注意点
車が冠水した道路を走行する際は、いくつかの重要な注意点があります。
走行速度は極力落とし、周囲の状況を確認しながら進む
まず、走行速度は極力落とし、周囲の状況をよく確認しながら進むことが重要です。水深が浅く見えても、思わぬ箇所で深くなっている場合があるため、細心の注意を払いましょう。
安全な通行ルートを確認する
通行ルートの確認も不可欠です。冠水している道路の状況を事前に把握し、安全なルートを選択することが重要です。可能であれば、迂回ルートを探すことも検討しましょう。
緊急脱出方法を知る
万が一、車が冠水してしまった場合の緊急脱出方法も知っておく必要があります。車内に水が浸入し始めた場合は、すぐにエンジンを切り、ドアが開かない場合に備えて、脱出用ハンマーやシートベルトカッターを準備しておくことが推奨されます。これらのツールは、万が一の際に窓ガラスを割ったり、シートベルトを切断したりするのに役立ちます。
冠水した道路を走行することは非常に危険を伴います。これらの注意点を守り、安全運転を心がけましょう。
運転する際の判断基準
大雨時に車を運転するか判断する際には、いくつかの重要な基準があります。
まず、ハザードマップを確認し、浸水のリスクがある地域を把握することが重要です。次に、雨量情報を確認し、大雨警報や注意報が発令されている場合は、不要な外出を避けることを検討しましょう。
地形も考慮に入れる必要があり、低地や川沿い、アンダーパスなど、冠水しやすい場所は特に注意が必要です。これらの情報を総合的に判断し、安全な運転を心がけましょう。
水没車で故障しやすい箇所はここ!マフラーやエンジンに気を付けて!
車の装置の中でも特に冠水により故障しやすい箇所があります。一箇所でも、そこが冠水すると被害は甚大です。以下で故障しやすい箇所をチェックして、冠水トラブルに備えましょう。
マフラーの浸水には要注意
車が一般的に走行できる水位はマフラーの下までなので、マフラーの高さは1つの目安になるでしょう。
先述のように、マフラーが水に浸かると車のさまざまな箇所が故障します。水害などでは車のマフラーの位置まで水が浸かっていないかどうかをチェックしましょう。
冠水車のエンジンは爆発・感電の危険がある
エンジンをかけると爆発するようなケースもあります。また、水を通して感電する恐れもあります。
専門の業者を呼ぶなどして、自身の安全をまずは確保してください。
関連記事:バッテリー交換にかかる費用目安!自分で交換する方法や交換時期も解説!
水没車、修理する?廃車にする?

水没車を修理して乗り続けるリスク
水没車を修理して乗り続けることには、いくつかの深刻なリスクが伴います。
まず、電気系統の故障です。水は電気を通しやすいため、水没によって電子制御ユニット(ECU)や配線が腐食し、車の様々な部分で不具合が発生する可能性があります。これにより、走行中のエンジン停止や、計器類の誤作動などが起こり、重大な事故につながる危険性があります。
次に、健康被害のリスクも無視できません。水没した車内には、カビや細菌が繁殖しやすくなります。これらのカビや細菌は、アレルギーや呼吸器系の疾患を引き起こす可能性があります。
また、車内のシートや内装材に染み込んだ水が完全に乾燥しない場合もあり、異臭の原因にもなります。さらに、水没車は事故のリスクも高まります。
電気系統の故障による予期せぬ作動不良だけでなく、車のボディやフレームが錆びつき、強度が低下している可能性もあります。これにより、衝突時の車の保護性能が損なわれ、万が一の事故の際に被害が拡大する恐れがあります。
これらのリスクを考慮すると、水没車を修理して乗り続けることは、非常に慎重な判断が必要です。専門家である自動車整備士や、必要であれば専門の鑑定機関に相談し、車の状態を詳しく調べてもらうことを強く推奨します。
専門家の意見を参考に、安全に車を利用できるかどうかを判断することが重要です。
修理か廃車かの判断基準とは?
水没車の修理と廃車、どちらを選ぶべきか悩ましいところです。ここでは、それぞれの選択肢における判断基準と、メリット・デメリットを比較検討してみましょう。
まず、修理を検討する際の判断基準としては、修理費用、車の現在の価値、そして損傷の程度が挙げられます。修理費用が車の価値を上回る場合、修理しても費用対効果が見込めないため、廃車を検討すべきでしょう。
また、損傷の程度によっては、修理しても完全に元の状態に戻らない可能性や、再度の故障リスクが高まることも考慮が必要です。
修理のメリットとしては、愛着のある車に乗り続けられること、そして車の状態によっては、廃車にするよりも経済的な選択肢となる場合があります。デメリットとしては、修理費用が高額になる場合があること、修理しても完全に直らない可能性があること、そして修理後の車の安全性に不安が残る場合があることが挙げられます。
一方、廃車にする場合のメリットとしては、修理費用がかからないこと、そして車の状態に関わらず、一定の価値で売却できる可能性があることが挙げられます。デメリットとしては、愛着のある車を手放すことになること、そして売却価格が車の価値よりも低くなる可能性があることが挙げられます。
廃車にする場合の注意点としては、まず廃車手続きを確実に行うことです。手続きを怠ると、自動車税などの支払いが続く可能性があります。
次に、買取業者選びも重要です。水没車は通常の車よりも査定が厳しくなるため、複数の業者に見積もりを依頼し、最も高い価格で買い取ってくれる業者を選ぶようにしましょう。
事故車買取を専門とする業者であれば、水没車の取り扱いにも慣れているため、安心して依頼できます。
最終的な判断は、上記の判断基準と、それぞれの選択肢のメリット・デメリットを総合的に考慮して行う必要があります。専門家である自動車整備士や、事故車買取業者などの意見も参考にしながら、最適な選択をしましょう。
関連記事:水没車(冠水車)でも買取可能?|損をしないための知識と高額査定のコツを徹底解説!
保険の適用と注意点

水没車の損害に対する保険の適用は、加入している車両保険の内容によって大きく異なります。ここでは、車両保険の補償内容と注意点について解説します。
車両保険の補償内容
車両保険には、大きく分けて「一般条件」と「限定条件」があります。一般条件の車両保険は、幅広い損害を補償し、水没による損害も基本的には補償対象となります。
一方、限定条件の車両保険は、補償範囲が限定されており、水没が補償対象外となる場合もあります。加入している保険の契約内容を確認し、水没による損害が補償されるかどうかを確認しましょう。
免責金額について
車両保険を利用する場合、免責金額が発生することがあります。免責金額とは、保険金が支払われる際に、自己負担となる金額のことです。免責金額の設定額によって、保険料が変わることがあります。
保険料への影響
水没による損害で保険を利用した場合、等級が下がり、翌年度以降の保険料が高くなることがあります。また、免責金額を設定することで、保険料を抑えることも可能です。
注意点
保険を利用する際は、以下の点に注意しましょう。
契約内容の確認: 加入している保険の契約内容をよく確認し、水没による損害が補償対象かどうかを確認しましょう。
保険会社への連絡: 水没した場合は、速やかに保険会社に連絡し、損害状況を報告しましょう。
免責金額の確認: 免責金額を確認し、自己負担額を把握しておきましょう。
保険料の見積もり: 保険を利用した場合の、翌年度以降の保険料の見積もりを保険会社から確認しておきましょう。
車両保険は、水没による損害から経済的な負担を軽減するための重要な手段です。加入している保険の内容を理解し、万が一の事態に備えましょう。
水没車のご相談は「ソコカラ」へ
車が冠水すると予想以上にダメージが広がります。
感電などの危険があるので、自己判断をせず、冠水車は専門の業者に依頼して必ずチェックしてください。
関連記事:事故車の耐久性ってどれくらい?デメリットや寿命、事故車買取についてのまとめ
水没車の修理や処分でお困りではありませんか? 車が一度でも冠水すると、目に見えない部分に深刻なダメージが残るため、専門的な判断が必要です。
多くの業者が「価値がない」と判断する水没車でも、私たち「ソコカラ」は諦めません。
ソコカラは、独自の査定基準と世界中に広がる販売ネットワークを持つ専門の車買取サービスです。
- 専門知識で高価買取
水没車や事故車といった特殊な車両でも、部品ひとつひとつの価値を見極めます。独自の流通ルートを活用することで、他社では値段がつかなかった車でも高価買取が可能です。
- 手間のかかる手続きを代行
面倒な廃車手続きや必要書類の準備も、専門スタッフが代行します。お客様はほとんど手間をかけずに、安心して車の売却を進められます。
- 全国どこでも対応可能
お住まいの地域に関わらず、全国どこからでも無料で査定・出張買取いたします。
水没車でお悩みなら、まずは一度ご相談ください。お客様の愛車に新たな価値を見出し、納得のいく形で手放せるよう、全力でサポートいたします。

この記事の監修者
浅野 悠
「株式会社はなまる」小売事業部 事業部長。1987年東京都生まれ。小学生から大学生までの間レーシングドライバーを目指し数多くの大会に出場。20代で飲食店経営に携わったのち、野菜配達の仕事に就くも、幼少期からの車への魅力を忘れられず自動車業界へ。中古車査定士の資格を取得し、自動車に関する豊富な知識をもとに、おもに車に起きるトラブルの対処法や車の豆知識に関するコラムを執筆。
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