- 2024.09.18
自動車税を滞納すると差し押さえもされる!いつからか、解除の要件などを徹底解説
自動車税の納税通知書が送られてきて、お困りではありませんか?
自動車税は毎年5月末(30日もしくは31日)までに払わなくてはなりません。
特にミニバンやセダン、コンパクトカーなどの乗用車の自動車税額は高めに設定されています。
仮に自動車税を払わない状態が続き、督促や催告を無視していると、給与や預貯金がある日突然差し押さえられてしまうかもしれません。
本記事では、自動車税を延滞して差し押さえられそうになった時の対処法や、効率よく完済する方法について徹底解説していきます!

自動車税を延滞した際には差し押さえの可能性もある
自動車税の差し押さえは、住民税などの他の税金と比べてスピーディーに行われる傾向があります。
自治体の中には、催告書が到着する前の段階から給与などを差し押さえてしまうと公表している所もあり、いつどこから何が差し押さえられるか分かりません。
そもそもミニバンやセダンなどの乗用車は、自動車税が非常に高く設定されており、所有者の負担となっています。
延滞税が発生し、不要なお金を支払わなければいけなくなる
自動車税の支払いを延滞すると、納付期限の翌日から1ヵ月以内に納税した場合は年2.4%、それ以降になると年8.7%※の割合で延滞金が発生します。
※ 自動車税はいつ納める?納付期限と延滞金、還付制度について解説
期限内に納付しなかった場合は、他の税金と同じように、自動車税の場合も延滞金が加算されます。また、支払いを行っていない場合は、次の車検を受けることもできません。
引用元:JAF
上記のように不要なお金が発生するだけでなく、次回の車検も受けられなくなります。
もし仮に、自動車税36,000円(1,500cc超2,000cc以下相当※)の納税を半年間(180日)延滞した場合、1,358円の延滞料金が発生します。
※計算方法 参照元 https://www.ms-ins.com/labo/higoro/article/133.html
上記は、2023年時点の延滞税率を基に算出した延滞料金の早見表です。1カ月程度の延滞であれば、延滞料金は数十円程度で済みます。延滞料金が1,000円以下の場合は、延滞税として加算されません。一方で、半年や1年と延滞期間が長引くと、延滞料金は数千円にまで膨れ上がるため、注意が必要です。
参考記事:https://green-osaka.com/sh-knowhow/saimuseiri/unpaid-automobile-tax.html
車検に通せなくなる
自動車税が未納のままだと、車を車検に通せなくなります。車検を実施するためには、自動車税納税証明書の提示が必要となるからです。
なお、平成27年4月以降は、車検時の納税証明書の提示は省略可能になりました。これらは運輸支局・自動車検査登録事務所にて納税証明を電子的に確認できるようになったからであり、自動車税を納税しなくても車検が受けられるということではないという点に注意が必要です。
加えて、車検に通さないでいると、車のコンディションは良くない状態が続き、車体に大きな負担がかかり続けます。
また、仮に公道上で走行した場合、道路運送車両法第108条により、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。前述の禁錮刑や罰金刑だけでなく、免許証には6点の違反点数が加算される上、30日間の免許停止となります。しかし、前歴が2回以上であれば免許取消となります。
財産が差し押さえられる
差し押さえの通知を無視する状態が続き、差し押さえの対象が延滞金精算のために価値があると判断された場合、差し押さえが行われることがあります。
この差し押さえは、必ずしも行われるわけではありません。仮に車を使って仕事を行う自営業者であった場合、差し押さえを行ってしまうと、仕事や収入がなくなり、将来における自動車税の返済の見込みがなくなってしまうためです。
あくまでも、現時点で必要としない経済的価値のあるものに限定されていることを考慮しておきましょう。
自動車税が差し押さえられるまでの流れ
自動車税の支払期日は、5月末(30日もしくは31日)までです。5月末を過ぎても自動車税の支払いが行われなかった場合、以下の流れで自動車税が差し押さえられます。
- 20日以内に督促状が送付される(場合によっては数回程度)
- 催告書が送付される(最終通告)
- 差し押さえ予告通知が届く
- 支払いが済まなかった場合、差し押さえが実行される
督促状が送付される
5月末を過ぎても自動車税の支払いが行われなかった場合、20日以内に「督促状」と呼ばれる通知が届きます。督促状には、自動車税を納めなければならない旨が記載された書類で、通常は普通郵便で送付されます。
「支払などの履行を強く促す」という意味合いでは、次項の催告書とほぼ同義となります。
また、延滞税が1,000円以上になると、既存の自動車税に加えて延滞税が加算対象となります。早めの対応を心がけましょう。
催告書が送付される
催告書は、督促状を発しても納付がなかった場合に納付を促す文書であり、法的手段前の最終通告にあたります。
督促状は、早期に自動車税を納付するよう複数回にわたって送られてきますが、催告書は同じく支払いを要求することに加え、自治体が法的手段を取る通告として、普通郵便ではなく内容証明郵便を用いて送られてきます。
自治体によっては、催告書が送られるまでもなく差し押さえなどの滞納処分を実施することもあり、いつ何が起こるかわからない状態です。
突然の差し押さえになる前に、分割納付などの解決方法について、早めに役所と相談しておきましょう。
差し押さえ予告通知が届く
差し押さえの予告通知が届き、異議の申し立てを行わなかった場合、早ければ2週間後にも差し押さえが実行されます。
ケースによっては、催告書が到着する前の段階から実行されると公表している自治体もあります。このため、明日朝差し押さえになるかもしれない非常に危険な状態です。
支払いが済まなければ差し押さえが執行される
支払いが済まなかった場合、あなたの保有する財産のいずれかから差し押さえが実行されます。対象となる資産は給与や不動産、経済的価値のある骨董品や車などです。
仮に給与から差し押さえが実行された場合は、自動車税を長期にわたり滞納していたことが会社に知られる上、支払いの対応などを強いることになります。
差し押さえの対象となる4つの財産
自動車税の差し押さえで対象となる4つの財産があります。それは「預金口座」「給与」「不動産」「自動車本体」です。
ここからは、財産が差し押さえられることによるデメリットなどについて解説します。
預金口座
預金口座にある預金は、財産の中でも差し押さえされやすい財産となります。なぜかというと、預金口座の差し押さえは手続きが比較的簡易で、裁判所からの差押命令が出やすいためです。
なお現金として出金してしまえば、差し押さえられる分の預金残高は名目上なくせますが、不明な出金情報については念入りに調査されます。
給与
自動車税の滞納において、会社の給与からの差し押さえも手段として非常に多く用いられます。給与の差し押さえの限度額は、原則として税金や社会保険料を控除した金額(手取り額)の4分の1となっています。
仮に給与の多くを差し押さえてしまうと、当人の生計が成り立たなくなり、今後の納税見込みがなくなってしまうためです。一方で、給与の手取り額が44万円を超える場合は、33万円を超える部分について全額差し押さえられることが認められています。
また、自動車税が給与から差し押さえられた場合は、100%会社に知られてしまいます。それだけでなく、会社は差し押さえの命令に応じて、給与の一部を税務署や自治体と連絡しながら直接支払うなどの対応を強いられます。
法律上、給与の差し押さえを理由に解雇されることはありませんが、印象が悪くなることは避けられないでしょう。
不動産
経済的価値があると認められ、未納金の精算見込みがある不動産については、差し押さえられる可能性があります。現在居住しているといった条件の土地や建物は可能性が低くなりますが、居住用途とは別に不動産を保有している場合は注意が必要です。
また、差し押さえの優先順位としては、評価額の査定をはじめとした多くの手続きが必要になるため、低くなる傾向があります。
自動車本体
生活のための必要最低限の用途や目的で車を多用する場合、差し押さえに入られる可能性は低くなります。一方で、使っていない車が保管してあったり、高級車に乗っていたりする場合は注意が必要です。
仮に差し押さえが行われたとしても、日常生活や今後の納税や返済に影響が出るかどうかが判断基準の一つであり、換金して未納分の返済に充てても問題がないと判断された場合に実行されやすくなるでしょう。
自動車税の差し押さえを回避する3つの方法
予期しないタイミングで、突然自動車税の差し押さえが実行されてしまったら大変です。
実は、自動車税の差し押さえを回避する方法はいくつか存在します。
ここでは、自動車税の分割納付申請や納税の猶予制度について詳しく解説します。
分割納付を申請する
突然の自動車税差し押さえを防ぐ方法の一つが、分割納付の申請です。乗用車においては、金額が数万円と高額な自動車税ですが、実は自動車税は分割払いにも対応しています。
回数は2回から12回までが一般的です。一度に高額な出費とならないため、金銭的に余裕がない状態が続いている人におすすめです。ただし、分割納付については、窓口が限られる・納税証明書の交付が遅れる・車の売却が一定期間困難になるなどのデメリットもあります。
特に納税交付書は交付が遅れてしまうと、車検を通せなくなるため、車検を間近に控えている人はよく考えて分納制度を利用する必要があります。半年後に車検があるのであれば5回払い、3カ月後にあるのであれば2回払いなど、時と場合に応じて選択するようにしましょう。
税金は自己破産しても支払い義務が残ります。このため、現時点では支払いが困難な状況であっても、真面目に支払い続けていくことが大切です。
納税の猶予制度を利用する
経済的に厳しい状況であるなら、しばらくの間待ってもらうという選択肢もあります。ただし、猶予制度を利用できるのは、病気や災害、子供を養っていること、事業に失敗したことなど、真のやむを得ない事情に限られます。
収支などの経済状況と照らし合わせ、猶予・分納のどれが最適解かを、自治体の人と一緒になって考えるべきです。
早期に役所と相談をする
何よりも、早めに支払いの意思があることを伝えておくことが重要です。
早めに役所の方と相談を行っておくことで、差し押さえや延滞の可能性などについて全く分からなくなってしまうことは避けられます。
自動車税が差し押さえられた後の対処法
もし仮に車や不動産などの資産が、自動車税の未納分に充てるために差し押さえられることが決定した場合、差し押さえそのものを解除することはできるのでしょうか。
自動車税の全額を即時納付可能な場合は、差し押さえを解除できる可能性があります。
また、過度な差し押さえが行われた場合や、差し押さえされた財産の価値が失われた際にも差し押さえの解除は可能です。
差し押さえ解除の手続き
差し押さえ解除の主な要件は、以下の通りです。
- 自動車税の全額返済
- 差し押さえ超過の場合
- 差し押さえられた資産の金銭的価値が失われた時
- 差し押さえ対象の資産に抵当権が設定されており、その額が資産価値を上回った時
差し押さえを解除できるのは、全額返済のほか上記の特殊な状況に限られます。詳しくは、弁護士などに相談してみると良いでしょう。
換価猶予の申請
換価猶予とは、差し押さえ時に行われる換価の猶予を受けられる制度です。
国税を一時的に納付することにより、事業の継続または生活の維持を困難にするおそれがある場合に、申請に基づき換価の猶予を受ける際の手続きです。
引用元:換価の猶予の申請手続き
車や不動産などの資産の差し押さえを猶予できるメリットがありますが、申請自体に時間がかかるというデメリットもあります。
換価猶予の申請はこちら
まとめ
ここまで、自動車税が差し押さえになるまでの流れや、差し押さえになりそうな場合の対処法について、詳しく解説しました。
自動車税を完済する方法としては、分割納付や一時猶予、売却益の充当などの方法があります。
特に車検を控えているのであれば、車そのものを買い換えた方が安く済む場合もあります。
車の売却やお乗り換えについてお考えのオーナー様は、ぜひ検討されてみてくださいね。

この記事の監修者
浅野 悠
「株式会社はなまる」小売事業部 事業部長。1987年東京都生まれ。小学生から大学生までの間レーシングドライバーを目指し数多くの大会に出場。20代で飲食店経営に携わったのち、野菜配達の仕事に就くも、幼少期からの車への魅力を忘れられず自動車業界へ。中古車査定士の資格を取得し、自動車に関する豊富な知識をもとに、おもに車に起きるトラブルの対処法や車の豆知識に関するコラムを執筆。
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