- 2024.05.16
名義変更してくれない・所有者と連絡を取れない車を廃車にする方法
車を廃車にする際は、車籍登録を一時的または永久に抹消する必要があります。
車籍登録の抹消に関する手続きは、車の所有者でなければ行えません。
所有者が知人・家族などすぐに連絡がとれる人であれば名義変更の書類を揃えてもらいやすいですが、最近増えているネット経由の取引などでは注意が必要です。
何らかの理由で元の所有者が名義変更してくれない場合、どうすればいいのでしょうか。
今回は名義変更してくれない車を廃車にする方法を解説します。
また、車の所有者と連絡が取れない場合の対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

名義変更してくれない車を廃車にするにはどうすればいいのか?
自動車の廃車手続きを行うには、車検証に記載されている名義人が手続きを行う必要があります。
これは、所有権の証明として車検証が重要な役割を果たすためです。
車両の所有者として登録されている人が、名義変更を行わずに車を売却するという事態が生じた場合、新しい所有者が名義変更なしで廃車をすることは通常は認められていません。
名義人が連絡が取れない場合や、名義変更に協力的でない場合は、法的措置を考慮することもあります。
車検証の所有者の欄に記載されている人・法人だけが廃車手続きできる
車を廃車にするためには、所有者(車検証の所有者の欄に記載されている人または法人)が手続きをする必要があります。
それ以外の人が勝手に廃車することはできません。
所有者の必要書類がそろえば移転抹消登録が可能
廃車にしたい車の所有者とすぐに連絡が取れる場合は、廃車に同意してもらい、以下の書類をそろえて名義変更してから廃車手続きを進めます。
- 車検証(自動車検査証)
- 旧所有者の印鑑証明書(発行から3カ月以内のもの)
- 旧所有者の実印が押印された委任状
- 旧所有者の実印が押印された譲渡証
- 新所有者の印鑑証明書(発行から3カ月以内のもの)
- 新所有者の実印を押印した申請書(OCRシート1号様式)
- 手数料納付書
- ナンバープレート(前後2枚)
- 自動車税・自動車取得税申告書(地域によっては不要)
移転抹消登録(廃車手続き)は管轄の運輸支局で行います。
所有者と連絡が取れない場合は?
廃車手続きを行う前に、まず車検証を確認し、そこに記載されている所有者が誰であるかを把握しましょう。
車検証に記載されている名義人の同意なしに廃車手続きを進めることは、法的に許されていません。
車検証上の所有者が自分でない場合、その車を廃車にする手続きは複雑であり、多くの法的な問題が伴います。
車を廃車する際、所有者と連絡が取れない場合の対処方法を解説していきます。
警察や市役所等自治体に相談する
自動車の所有者と連絡が取れず行方不明の場合や持ち主がわからない場合は、事件性もあるので警察や市役所などの地方自治体に相談するようにしましょう。
警察は、車両の登録情報を基にして、所有者を特定し、連絡を取ろうとします。
市役所などの地方自治体は、住民登録などの公的記録を持っているため、所有者情報の確認に役立ちます。
所有者が行方不明の場合、勝手に廃車はできませんが、解体は可能となる場合があります。
車検切れの状態が5年以上続くと、陸運局から強制的に登録を抹消されるので、車検を更新せずに、待てば廃車可能な状態になります。
車にかかる税金は所有者に支払い義務があるので、特に気にする必要はないでしょう。
税金引き落としは家族名義の場合は、引き落としを止める
仮に他の家族名義の口座で税金が引き落とされていたとしても、車の廃車手続きには、原則として車検証に記載された所有者の同意が必要です。
税金が家族名義で引き落とされている場合、その家族は車の法的な所有者ではないため、直接的な手続きを行う権限がありません。
金融機関に口座振替依頼書の提出と自動車事務所に課税保留の申し出を行うことで、税金の引き落としを一時停止することは可能です。
引き落としを停止した上で、所有者と連絡がつくまで待ちましょう。
先にも触れたように、車検切れの状態が5年以上続くと、陸運局から強制的に登録を抹消されます。
時間が経過すれば最終的に廃車に持っていくことは可能です。
精算人や破産管財人などの第三者がついているケース
車が廃車になる際、所有者が連絡不可能である場合、その車両の法的な処理はかなり難しいです。
車両が放置されることが多く、その結果、地域の安全や環境に悪影響を及ぼすため、所有者と連絡が取れない廃車の処理には、第三者の関与がしばしば必要となります。
精算人や破産管財人などの専門家が法的な問題の解決に介入することが一般的です。
委任状や印鑑証明書などを集めて、自動車登録事務所に申請を行い、廃車手続きを進めます。
車の所有者本人の同意なしに廃車を進めると、後に法的なトラブルが発生する可能性がありますが、精算人や破産管財人を通じて正式な手続きを取ることで、リスクを最小限に抑えることができます。
廃車を行いたいのに、車の所有者に連絡が取れず、困っている場合は、精算人や破産管財人に相談してみるのもひとつの手です。
閉鎖されてなく、第三者が付いていないケース
自動車の所有者と連絡が取れず、第三者が付いていないケースの場合は、陸運局での抹消の手続き等は行えません。
車両の廃車手続きを進めるには、車検証に記載されている所有者の同意が必須です。
無許可にやろうとしても業者に断られる場合が多いです。
また仮に廃車できた場合でも、のちに訴えられた場合、不利にはたらきます。
2ヶ月以内に取得された印鑑証明書や覚書などで法的措置がとられる場合もあるので、まずは専門家に相談してみましょう。
車の名義変更してもらえない場合に考えられる主な理由は3つ
もしかすると所有者側に名義変更できない理由があるかもしれません。
まずはその理由について主に考えられるものをまとめてみました。
- 所有者が亡くなっている
- 所有者が自動車税を滞納している
- 車のローンが残っている(完済されていない)
以下、それぞれのケースの対策を紹介します。
所有者死亡の場合は相続人に書類をそろえてもらう
所有者が亡くなっている場合、車も遺産扱いになるのが一般的です。
遺産相続が確定した後、相続人の代表に以下の書類をそろえてもらいましょう。
- 車検証
- 所有者の戸籍謄本または除籍謄本(死亡したことを証明する書類)
- 遺産分割協議書(相続権のある人全員の署名・押印があるもの)
※代表相続人のみ実印の押印が必要
- 所有者と相続人全員の繋がりがわかる公的書類
- 代表相続人の印鑑証明書(発行から3カ月以内)
- 代表相続人の実印
- ナンバープレート(前後2枚)
- 申請書(OCRシート1号様式)
- 手数料納付書
- 車庫証明書
- 自動車税申告書
参考:ランドマーク税理士法人「自動車を相続するための完全ガイド~パターン別必要書類と手続きの流れ~」
これらの書類をそろえて代表相続人の居住地管轄の陸運支局で手続きを行えば廃車できます。
なお、共同相続の場合や軽自動車の場合は必要書類が一部異なるため、注意しましょう。
自動車税の滞納がある場合は廃車より解体処理の手続きを進める
自動車税を滞納している場合は廃車手続きが難しくなります。
特に2年以上滞納している場合は車の所有者が税務署になる(嘱託保存)ため、滞納分を全額納付しないと廃車できません。
ただし、解体処理はできますので解体業者に解体報告日を教えてもらい、自動車税事務局で自動車税の課税を保留状態にしてもらうことをおすすめします。
自動車税の未納分の納税義務はなくなりませんが、事情によっては税務署との相談で分納を認めてもらえるかもしれません。
ローンが残っている場合はローン会社に相談する
車の購入時、ローンを組んだ場合は、車の所有者がローン会社のケースがほとんどです。
完済している場合は、所有権解除という手続きをしてローン会社から必要書類をもらいましょう。
完済したからといって車検証上の所有者が自動的に変更されるわけではないので、注意が必要です。
事故や災害で車を廃車にせざるを得ない状況などもあるので 、まずはローン会社に相談することをおすすめします。
所有者と連絡が取れない場合なども解体処理がおすすめ
廃車にするために車の所有者に連絡しても、音信不通となってしまうケースがあります。
所有者と連絡が取れず廃車にできない場合は、解体処理を進め、自動車税の課税保留をしておくのがおすすめです。
解体しても所有者の書類がなければ廃車手続きはできず車籍は残りますが、車検切れの状態が3〜5年続くと強制的に永久抹消扱いとなる職権抹消が行われます。
税務署からハガキが届いたり、自動車税の納付書が届かなくなった場合は職権抹消されている可能性があります。
手元に車がないと廃車はできないの?
廃車とは、車籍を抹消して乗っていた車を廃棄することです。
なんらかの事故や事件で車本体がない場合、無駄な税金がかかってしまいます。
手元に車がない場合は廃車できないのでしょうか、ここでは2つのケースに関して紹介します。
火災や震災などで車が消失してしまった場合
通常、車の永久抹消登録には車両の解体が必要です。
解体後、解体業者から解体報告が提出され、その情報が廃車手続きに使用されます。
火災や震災などで車が物理的に存在しない場合、罹災証明書がその滅失を証明する文書として使用され、解体報告の代わりに廃車手続きを進めることができます。
廃車手続きには以下の書類が必要です。
- 所有者の印鑑登録証明書
- 所有者の実印
- 罹災証明書
- 永久抹消登録申請書
- 手数料納付書(手数料不要の場合もあり)
- 自動車検査証(紛失時も対応可能)
- ナンバープレート(前後二枚;紛失時も対応可能)
- 車検証及びナンバープレートが紛失している場合は、その理由を説明する書類
上記書類を準備した後、運輸支局または軽自動車検査協会にて、永久抹消登録申請を行います。
手続きを進めるには、依然として車の所有者の同意が必要です。
所有者が行方不明または連絡が取れない場合、その状況を説明する追加の書類が必要になる場合があります。
盗難されてしまい、車が紛失した場合
結論、廃車は可能です。
車が盗まれた場合、まず最初に行うべきは、管轄の警察署で盗難届を提出することです。
盗難届を提出すると、警察から届出受理番号が発行されて車が法的に盗難車として捜査が行われます。
警察署で盗難届を出した際に受け取る受理証明書は盗難車の状態を証明する文書なので保管しておきましょう。
盗難車両の場合、通常の永久抹消ではなく、一時抹消登録(一時使用中止登録)を申請します。
車が見つかった場合に再登録が可能です。
盗難によって車検証やナンバープレートも失われた場合は、これらの再交付を申請します。
この際、盗難届受理証明書が必要になることが多いです。
車検証が盗難された際には、登録情報等証明書を交付してもらい、車両の登録情報を確認できるようにしておきましょう。
名義変更ができない車両でも適切な手順で廃車は可能
廃車にするには、車検証に記載されている所有者が手続きを行うか、廃車に同意して業者に委託する必要があります。
車の所有者が死亡、自動車税を滞納、ローンが残っている、所有者と連絡が取れないなどケース別に廃車するための方法を解説しました。
名義変更がされていなくても、原因から解決方法を探っていけば所有者の同意と必要書類がそろえば廃車は可能です。
まずは車の所有者と連絡をとりましょう。

この記事の監修者
浅野 悠
「株式会社はなまる」小売事業部 事業部長。1987年東京都生まれ。小学生から大学生までの間レーシングドライバーを目指し数多くの大会に出場。20代で飲食店経営に携わったのち、野菜配達の仕事に就くも、幼少期からの車への魅力を忘れられず自動車業界へ。中古車査定士の資格を取得し、自動車に関する豊富な知識をもとに、おもに車に起きるトラブルの対処法や車の豆知識に関するコラムを執筆。
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