- 2024.10.01
エンストとは?オートマでも起きる?原因と対処法を詳しく解説!
マニュアル車(以下MT車)を運転していてエンストに悩まされたという方は少なくないでしょう。特にMT車を運転し始めた時には、クラッチを繋げるタイミングが分からず、道路の真ん中で止まってしまった苦い経験を持つ方もいるのではないでしょうか。
エンストというとMT車でしか起きない現象と思われがちですが、実はオートマ車(以下AT車)でもエンストが起こることはあります。ではそもそもなぜエンストが起こるのか、エンストした場合にどのように対処したら良いのかについて見ていきましょう。
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エンストの原理
エンストを起こさないようにするためには、まずエンストの原理を知らなければなりません。まず、もっとも頻繁に起こる発進時のエンストについて考えます。そもそも停止している車が発信するためには一定以上のエンジンの回転数、つまりトルクが必要です。
しかし車のエンジンをかけてアイドリングしている状態では十分なトルクが得られません。その状態でクラッチを繋げるとエンストしてしまいます。そこでクラッチを切った状態でアクセルを踏み回転数を上げていきますが、回転数が不十分な状態でクラッチを繋げると同じようにエンストしてしまうのです。
これは停止から発信に移行する時だけでなく、1速から2速にギアチェンジする時でも同様です。さらに2速発進しようとした時、1速から3速にいきなりギアチェンジしようとした時なども同様です。
エンストしないようにするためには、しっかりと十分なトルクを得てからクラッチをつなぐ必要があるのです。
AT(オートマ)車でもエンストが起こる
エンストというとMT車だけの現象と思われがちですが、実はAT車でも発生することがあります。もちろんMT車の方が圧倒的に起こる確率は高いのですが、AT車でエンストが起こった時に慌てないように、どのような現象なのか知っておくようにしましょう。
AT車でエンストが起こるもっとも大きな原因は、坂道での発進です。特にギアと進行方向が異なる場合にエンストが起こりやすくなります。
例えば上り坂でギアがドライブに入っている場合、車は前方に進もうとしますが、車の重みでバックするとエンストしてしまうことがあるのです。これもMT車と同様エンジンのトルクが足りないがゆえに起こったエンストです。
車がエンストする原因
MT車はなぜエンストする?
エンストは、意図せずエンジンが停止してしまう状態を指しますが、エンジンの始動を止める「エンジンストップ」と混同されがちです。
実は、「エンジンストップ」は、ドライバーが意図的にエンジンを止める行為を指し、エンストの正式名称は「エンジンストール(Stall)」で、「失速」という意味を持っています。
MT車の場合、エンストは主に運転操作のミスによって引き起こされるケースが多いと言えるでしょう。
AT車はなぜエンストする?
AT車のエンストは、運転操作ミスやエンジンなどの故障が主な原因です。エンジンなどにおける故障は、手動変速車の場合と同様に、何らかの兆候を事前に察知できることが多いものです。
よくあるエンストの症状とその原因
ガソリン切れ
エンストは、ドライバーにとって突然訪れる厄介な事態です。その原因は様々で、状況に応じて適切な対処が必要です。まず、最も分かりやすい原因として、ガソリン切れが挙げられます。
燃料計を確認すれば一目瞭然です。しかし、ガソリンが残っているにもかかわらずエンストする場合は、より複雑な要因が考えられます。
エンジンがガタつき止まる場合
エンストの前後にどのような症状が現れたのか、注意深く観察することで、原因の特定に役立ちます。例えば、車が後方に引かれるような感覚で止まった場合は、スパークプラグやプラグコードなどの点火系にトラブルが発生している可能性があります。
また、エンジンがガタガタと振動した後、止まってしまった場合は、燃料ポンプの故障や燃料フィルターの目詰まりといった燃料系の問題が考えられます。
カーブや坂道でのエンストする場合
カーブや坂道の頂上付近でエンストが起こる場合、車の傾きが影響している可能性があります。ガソリンタンク内の燃料の液面も傾き、燃料ポンプが正常に作動しなくなることがあります。この場合、燃料ポンプの故障が疑われます。
アクセルを踏むとエンストする場合
アクセルを踏むとエンストする場合は、燃料センサーに問題があるかもしれません。このセンサーは、エンジンに供給されるガソリンの量を調整する役割を担っています。
アクセルを離すとエンストする場合は、スロットルバルブやバキュームセンサーなどの空気供給に関わる部品に異常がある可能性が高いです。
エンジンルームからの異音がする場合
エンジンルームから「シュー」という音が聞こえる場合は、エア漏れが疑われます。経年劣化によって、エンジン周りのゴム製パイプやホースに亀裂が入っているかもしれません。
エンストの原因を特定することは、安全な運転を確保するためにも重要です。状況に応じて適切な対処を行い、安心安全なカーライフを送りましょう。
故障が原因でエンストが起こっている場合
エンストの原因が操作ミス、特にクラッチのミスであることが分かっていれば問題ありませんが、クラッチのミスをしていないにもかかわらず、突然エンストを起こす場合もあります。このケースでは車のどこかが故障している恐れがあります。
まず考えられるのは、燃料系のトラブルです。
燃料噴射センサーにトラブルが発生すると、エンジンに対して最適量の燃料を噴射することができなくなります。するとエンジンが十分なトルクを発生させることができずエンストしやすくなるのです。
もちろんガソリン車に軽油、ディーゼル車にガソリンを入れるなど、燃料を間違えてしまった場合もエンストが起こります。最悪の場合エンジンが壊れてしまうのですぐに対処が必要です。
もし走行中にエンストが起こるのであれば、電気系統に異常があるのかもしれません。車の始動に必要なオイルネーター(発電機)の故障やバッテリーの劣化などが考えられます。点火がうまくいかないとエンジンが本来のパワーを出せず、エンストしてしまうのです。
走行中にエンストした場合
走行中にエンストが起きたら、冷静さを保ち、迅速な対応が大切です。まず、ブレーキを強く踏み込み、絶対に力を入れた状態を維持してください。エンジンの停止により、ブレーキアシストシステムが停止し、通常よりも強い力でブレーキを踏む必要があるためです。
一度ブレーキから足を離すと、再び減速や停止が困難になります。ハンドル操作も注意が必要です。パワーステアリングが機能しなくなるため、ハンドルが非常に重くなり、普段通りの操作では回せません。
走行中のエンストでは、まずブレーキを踏むことを最優先にしてください。状況が許すようであれば、ハンドル操作を行い、安全な場所に車を止めましょう。同乗者がいれば協力し、ハザードランプを点灯させて後続車に異常を知らせ、安全確保に努めてください。
エンストした場合の対処法
実際にエンストしてしまった場合にはどのように対処すればよいのでしょうか。何よりも重要なのは「慌てないこと」です。もちろん道路の真ん中でエンストしてしまうとかなり焦ります。
①できるだけ早く停車
②クラッチとブレーキをしっかり踏み込んでからエンジンを再始動
③ブレーキを離し、アクセルを踏み込んで回転数が2,500回転ほどになったら、アクセルはそのままでクラッチを徐々に繋げる。
④エンジンの回転数が下がって徐々に車が動き出したら、ゆっくりとアクセルを踏み込んでいきクラッチを最後まで繋げる。
後ろの車からクラクションを鳴らされるとさらに慌ててしまいますが、とにかく落ち着いて行動しましょう。すぐに停車しないと操作が難しくなることもあるので、できるだけ早く停車します。
その後クラッチとブレーキをしっかり踏み込んでからエンジンを再始動しましょう。ブレーキを離し、アクセルを踏み込んで回転数が2,500回転ほどになったら、アクセルはそのままでクラッチを徐々に繋げていきます。
するとエンジンの回転数が下がって徐々に車が動き出すので、ゆっくりとアクセルを踏み込んでいきクラッチを最後まで繋げます。慌ててクラッチを繋げると、その場でエンストを何回も繰り返してしまうので落ち着いて対処することが重要です。
車のエンストを修理したらどれくらい?廃車にするべき?
車を運転中、突然エンジンが止まってしまい、再始動が困難になる「エンスト」は、ドライバーにとって非常に不安な事態です。エンストの原因は、操作ミスや故障など、さまざまな要因が考えられます。
もし、操作ミスではなく故障が原因でエンストが発生した場合は、早急に修理が必要です。
エンストの原因となる故障は、エンジン、バッテリー、その他の機器など、車体のさまざまな場所に潜んでいる可能性があります。そのため、専門店でしっかりと点検してもらうことが重要です。修理費用は、故障箇所の状況によって大きく異なります。
エンジンの修理
最も高額になる可能性があるのは、エンジンの故障です。故障内容によっては、10万円から50万円を超える修理費用がかかることもあります。
一方、エンジン以外の部品の故障であれば、数千円で部品交換できるケースも少なくありません。しかし、部品代に加えて工賃も発生するため、数万円程度かかる場合もある点は注意が必要です。
燃料ポンプの交換や燃料ホースの洗浄
坂道で加速中にエンストする場合は、燃料の噴射に関わるセンサーにトラブルが発生している可能性があります。この場合、燃料ポンプの交換や燃料ホースの洗浄が必要になることがあります。車種によりますが、燃料ポンプの交換費用は1万円~5万円です。
オルタネーターの修理・交換
走行中に急にエンストする場合は、電気系統のトラブルが考えられます。バッテリーが上がってエンジンがかからない場合もありますが、何度もエンストを繰り返す場合は、発電系のオルタネーターが故障している可能性も考えられます。オルタネーターの修理や交換には、5万円程度の費用がかかります。
バキュームセンサーの故障
AT車でアクセルを離すとエンストする場合は、バキュームセンサーの故障が考えられます。バキュームセンサーは、エンジン内へ送られた空気の量を測定する部品です。
この部品が故障すると、エンジン内での燃料と空気の混合バランスが崩れ、不完全燃焼が発生します。結果として、アイドリング時にエンジンがガタガタと振動するなどの症状が現れることがあります。
バキュームセンサーは1万円以下で交換でき、業者に依頼せず自分で交換することも可能です。
修理より廃車にするべき?
上記はほんの一例であり、同じような症状でもエンストの原因は様々です。複数の箇所が故障している可能性も考えられるため、修理費用が予想以上に高額になる可能性も十分に考えられます。場合によっては、廃車の検討も必要になるかもしれません。
エンストしないコツ
MT車でエンストしてしまうのは、初心者の方にとってよくある悩みですよね。正しい操作をマスターすれば、エンストはぐっと減ります。ここでは、スムーズな発進を実現するためのコツを、ステップごとにご紹介します。
- 左足をクラッチペダル、右足をブレーキペダルに置き、しっかりと踏み込みます。
- アクセルをゆっくりと踏み込みましょう
左足はクラッチペダルから離さず、右足でアクセルをゆっくりと踏み込んでいきます。 - エンジン回転数をチェック!メーターを確認し、エンジンの回転数が2000〜2500回転/分になったら、その状態をキープしましょう。
- クラッチペダルをゆっくり離します。右足はアクセルから離さず、左足をゆっくりとクラッチペダルから離していきます。
- 車が動き出したら、左足を半クラッチの状態に保ちます。
- 回転数が安定したらクラッチを完全に離します。エンジンの回転数が安定し、少し下がった後に再び上昇し始めたら、ゆっくりとクラッチペダルから足を離します。
- 上記の手順に慣れてきたら、クラッチを離す動作とアクセルを踏む動作を同時に行う練習を始めましょう。ポイントは、どちらもゆっくりと、スムーズに行うことです。
エンストでは安全を最優先に
MT車を運転していると、エンストは避けられないトラブルです。
しかし落ち着いて対処すれば、ほとんどのケースでエンジンを再始動させることができます。とにかく安全を最優先に、車を停止させて再始動を試みるようにしましょう。
もし車の調子が悪いと感じたら、できるだけ早く修理することも重要です。
ただし、修理費用が高額になる可能性もあります。そこでおすすめなのが、ソコカラの廃車買取サービスです。10万キロ以上走行した車でも買い取りの対象となり、廃車費用が発生するどころか、買取価格がつくことでお得になる場合もあります。
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この記事の監修者
浅野 悠
「株式会社はなまる」小売事業部 事業部長。1987年東京都生まれ。小学生から大学生までの間レーシングドライバーを目指し数多くの大会に出場。20代で飲食店経営に携わったのち、野菜配達の仕事に就くも、幼少期からの車への魅力を忘れられず自動車業界へ。中古車査定士の資格を取得し、自動車に関する豊富な知識をもとに、おもに車に起きるトラブルの対処法や車の豆知識に関するコラムを執筆。
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