- 2024.12.04
事故車両とは?見分け方や保有リスク、適切な処分方法などを解説
車を購入する際に気になるポイントのひとつが、その車両の過去の状態です。特に、事故車両や修復歴車と呼ばれる車は、見分け方やリスクを知ることで賢い判断ができるようになります。
事故車両とは、過去に事故や損傷を受けた履歴がある車のことを指しますが、その範囲は修復歴車よりも広く、骨格部分に修理が加えられていなくても該当することがあるでしょう。本記事では、事故車両の基礎知識から、見分ける方法、保有するリスク、さらには適切な処分方法まで詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

事故車両とは

修復歴とは、車の骨格部分を修理または交換した場合に記録されるもので、事故歴とは異なる概念です。そのため、事故を経験していても骨格に影響がない修理なら「修復歴なし」とされます。
例えば、いたずらによる損傷、雪でボンネットがへこんだ場合の交換、他車との接触事故による外装の修理、人身事故に関連する部品交換などでも、骨格部分が無事であれば修復歴は残りません。修復歴の有無は「交換の理由」ではなく、「交換した箇所」に基づいて決定される点を理解することが大切なポイントです。
修復歴車との違い
事故車両と修復歴車は似たように見えますが、実際にはその定義に明確な違いがあります。修復歴車は、日本自動車査定協会(JAAI)や日本中古車販売連合会(JU)などが定めた基準に基づき、 車の骨格部分に修理や交換の履歴がある車両を指します。一方、事故車両は修復歴の有無に関係なく、事故に関連して何らかの損傷を受けた車両全般を含む広い概念です。
関連記事:修復歴ありとは?見極め方とやめたほうがいい理由を詳しく紹介!
修復歴車の基準
修復歴車と認定されるのは、車両の安全性や構造に影響を及ぼす部位、つまり骨格部分(フレームやピラーなど)に対して修理や交換が行われた場合です。この基準は、日本国内で統一されており、査定時や販売時に重要な指標となります。以下の修理や交換が対象となります。
- フレーム(サイドメンバー)の修理または交換
- フロントクロスメンバーの交換
- ピラーやダッシュパネルの修理
- フロントやリアのフレーム部分の修正または交換
これらの修理が行われた車は「修復歴車」として分類され、中古車市場ではその情報が車両の評価や価格に大きく影響します。
事故車両の広義な定義
一方、事故車両は修復歴の有無を問わず、事故によるダメージを受けたすべての車を指します。そのため、傷の損傷に問わず、事故を起こしたことがある車のことを指す場合もあります。明確に「事故車両」と「修復歴」が線引きされているわけではありません。
事故車両の見分け方
事故車両とは、過去に交通事故などにより損傷を受け、修理を行った履歴のある車両を指します。ただし、すべての修理車が事故車両とされるわけではなく、特定の部位に損傷があった場合に限り「修復歴車」と分類されることもあります。この違いを理解することが、事故車両を適切に見分ける第一歩です。
車検証を見る
車検証は、車両の過去の情報を確認するための重要な資料です。まずは 車検証を注意深く確認し、以下の点に注目してみてください。
- 所有者の履歴
車検証には、現在の所有者や使用者の情報が記載されています。頻繁に所有者が変更されている場合や、短期間での登録変更が見られる場合には、事故歴の可能性を疑うことができます。
- 型式や車体番号
関連記事:車台番号って何?車両番号との違いや3つの調べ方を徹底解説!
車体番号が部分的に削られていたり、打ち直されたような痕跡がある場合は、重大な事故が起きた可能性があります。このような場合には、車両の信頼性に疑問を持つべきです。
- 備考欄の内容
車検証の備考欄に「改造車」や「再登録車」の記載がある場合、それが事故車両のヒントとなることがあります。特に、再登録車として扱われている場合には、過去に大きな修理が行われた可能性が高まります。
ボディパーツを見てみる
ボディパーツの状態を細かく観察することは、事故車両を見分ける有効な方法のひとつです。特に、 ボンネット、ドア、バンパーなどの隙間の幅や塗装の色合いが均一でない場合、修理を受けている可能性があります。
また、ボルトやナットの跡が不自然に新しい場合も、交換された部品がある可能性を示唆します。こうした微妙な違いを見つけるには、十分な光の下で確認することが大切です。
検索サイトで調べてみる
車両の履歴を確認できる専用の検索サイトを活用することもおすすめです。これらのサイトは、 車両の車体番号を入力することで、過去の事故や修理履歴を照会できる場合があります。
一部のサービスは有料ですが、購入を検討している車両が事故車でないか確かめるための信頼性の高い手段となります。購入前にこうしたリソースを利用することで、トラブルを未然に防げる可能性が高まります。
エンジンルームを確認する
エンジンルームをチェックすることで、事故の痕跡を見つけることができる場合があります。エンジンルーム内のフレーム部分や配線に損傷がないか確認しましょう。特に、溶接跡や塗装のむらが見られる場合、それらは事故修復を行った証拠である可能性があります。
また、エンジン周辺の部品に新旧の差がある場合も注意が必要です。これらは、事故による部品交換が行われた可能性を示唆することがあります。
事故車両を保有するリスク

事故車両を保有することには、いくつかのリスクが伴います。これらのリスクを理解しておくことで、今後の車両管理や購入・売却時の判断がしやすくなります。特に、走行中のトラブルや車両の価値減少、査定時の影響については、事前にしっかりと確認しておくことがいいでしょう
走行時にトラブルが起きやすくなる
事故車両は、 一度大きな衝撃を受けたことでフレームやエンジン、電子制御システムにダメージを受けている可能性があります。これにより、修理をして一見元の状態に戻っているように見えても、内部で隠れた不具合が発生することが珍しくありません。
例えば、修理の際に使用された部品が純正品ではない場合、耐久性が低下し、予期しないタイミングで再び故障するリスクが高まります。また、衝突によって車両のアライメント(車軸やタイヤの整列)がずれると、ハンドリングが悪化し、安全性に影響を及ぼす場合があります。
車両の価値が下がり買取額に影響する
事故車両は市場価値が低下する傾向にあります。特に、修復歴があることが車検証や査定で明らかになった場合、 買取額は大幅に減少する可能性があります。中古車市場は、購入希望者が事故歴のない車両を好むため、事故車両は需要が少なく、販売価格も下がるでしょう。
これは、事故車両が持つ潜在的なリスクや修理履歴による信頼性の低下が要因です。特に高級車やスポーツカーなどの特殊な車両は、価格の下落幅がさらに大きくなることがあります。
査定する時に申告する必要がある
事故車両を売却する際には、事故歴や修復歴を正確に申告する義務があります。この申告を怠ると、後々トラブルの原因になることがあります。買い手に対して適切な情報を提供しない場合、 契約不履行や損害賠償請求の対象となる可能性があるからです。
また、査定士は車両の状態を詳細に確認するため、隠そうとしても事故歴が判明する場合がほとんどでしょう。その結果、買取業者や販売店からの評価が厳しくなることも予想されます。透明性を保つことが信頼を得るための基本となるため、正確な情報を提示することが大切です。
事故車両を処分する方法
事故車両を手元に置いておくことにはさまざまなリスクが伴います。そのため、早めの処分を検討することが大切です。しかし、事故車両の処分にはいくつかの選択肢があり、それぞれに特徴やメリットがあります。ここでは、事故車両を効率的かつ効果的に処分する方法について詳しく解説します。
関連記事:事故車を廃車にする前に!廃車のメリット・デメリットや保険金廃車以外の選択肢を知っておこう
事故車専門の買取業者に買取依頼する
事故車両を処分する方法として、最も手軽かつスムーズに進むのが、事故車専門の買取業者に依頼することです。これらの業者は、 通常の中古車販売では価値が低いとされる事故車や修復歴車を専門的に扱っており、車両の状態に応じた適切な価格を提示してくれます。
事故車専門の買取業者の利用にはいくつかのメリットがあります。第一に、車両の引き取りから書類手続きまでを一括して任せられるため、手間が大幅に省ける点です。また、これらの業者は事故車両の市場価値を熟知しているため、個人間での売買や一般的な中古車買取業者よりも高値で引き取ってもらえる可能性があります。
特に、まだエンジンやパーツが使用可能であれば、その部品ごとに価値が評価されることが多いです。
さらに、査定や買取価格の交渉も専門知識を持つスタッフが対応するため、安心して手続きを進められる点も魅力です。ただし、複数の業者に査定を依頼して比較することで、より高い価格での売却を目指すことをお勧めします。
解体業者や廃車業者に持ち込む
もう一つの選択肢は、解体業者や廃車業者に車両を持ち込む方法です。この方法は、 走行不能なほど損傷が激しい車や市場価値がほとんどない車両に適しています。解体業者は、車両を部品ごとに分解し、再利用可能なパーツを販売したり、鉄やアルミなどの素材をリサイクルしたりします。
解体業者や廃車業者に車を持ち込むメリットは、環境に配慮した処分が行える点です。廃車手続きも業者が代行してくれるため、自分で煩雑な手続きをする必要がありません。また、状態によっては解体したパーツが売却され、その利益を還元してもらえる場合もあります。
適切な選択をするために
事故車両の処分方法を選ぶ際には、車両の状態や手間、費用対効果を考慮して適切な方法を選ぶことが大切です。事故車専門の買取業者は迅速かつ高価買取が期待できる一方で、解体業者や廃車業者は市場価値がほぼゼロの車両を確実に処分できます。それぞれの特性を理解し、自分のニーズに合った方法を選択しましょう。
中古車購入時に事故車両を購入してしまったら?

中古車を購入する際に、事故車両を選んでしまうことは誰にでも起こり得る問題です。特に、初心者の方や車の専門知識が少ない方にとっては、購入時に車両の状態を正確に把握するのは難しい場合があります。しかし、万が一事故車両を購入してしまった場合でも、適切な対応を取ることで問題を解決できます。
知らされずに購入した場合は契約取り消しできる
中古車販売店が事故車両であることを隠して販売した場合、その契約を取り消すことが可能です。 法律上、販売者には商品に関する重要な情報を正確に説明する義務があります。この義務に違反していた場合、消費者は「錯誤による契約無効」や「瑕疵担保責任」などの法律を根拠に契約の取り消しを主張できます。
契約を取り消すには、まず事故車である証拠を提示することが必要です。具体的には、第三者の検査機関や整備工場に車両の状態を確認してもらい、修復歴や事故歴があることを証明する書類を取得しましょう。その上で、販売店に交渉を行い、問題が解決しない場合は消費生活センターや弁護士への相談を検討してください。
事故車や修復歴車がないお店もある
事故車両の購入を避けるためには、信頼できる販売店を選ぶことが非常に大切なポイントとなります。一部の中古車販売店は、事故車両や修復歴車を取り扱わない方針を掲げているところもあります。このような店舗は、 仕入れ時の検査を徹底しており、販売前に車両の状態をしっかりとチェックしているからです。
保証が充実している店舗で購入する
中古車購入時に事故車両を避けるもう一つの重要なポイントは、保証が充実している店舗を選ぶことです。多くの中古車販売店は、一定期間の保証を付けた車両を販売していますが、その保証内容は店舗によって大きく異なります。
特におすすめなのは、保証期間が長く、エンジンやミッションといった主要部品だけでなく、電子制御装置やエアコンなどの部品も保証対象としている店舗です。保証内容が充実している店舗で購入することで、万が一購入後に事故車両だと判明した場合でも、店舗側が適切な対応を取ってくれる可能性が高くなります。
車の売却ならソコカラ
事故車両とは、交通事故や損傷を受けた経歴のある車を指します。骨格部分に修理履歴がある車は修復歴車と分類され、市場価値に大きな影響を与えるでしょう。一方、軽微な損傷や部品交換が行われた場合は修復歴が記載されず、事故車両として扱われます。
購入時には車検証や車体の状態を確認し、専門サイトを活用することが大切なポイントです。事故車両を保有するリスクとして、走行中のトラブルや査定価値の低下があります。処分方法には、事故車専門買取業者や解体業者の利用をお勧めします。購入時のトラブルを避けるため、信頼できる販売店での購入や保証内容を確認することが大切です。

この記事の監修者
浅野 悠
「株式会社はなまる」小売事業部 事業部長。1987年東京都生まれ。小学生から大学生までの間レーシングドライバーを目指し数多くの大会に出場。20代で飲食店経営に携わったのち、野菜配達の仕事に就くも、幼少期からの車への魅力を忘れられず自動車業界へ。中古車査定士の資格を取得し、自動車に関する豊富な知識をもとに、おもに車に起きるトラブルの対処法や車の豆知識に関するコラムを執筆。
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