- 2024.11.01
地震で車が壊れたら保険で補償される?自然災害による損害について
日本は地震の多発国として知られ、過去に多くの大規模な地震が発生してきました。地震は人々の生活に大きな影響を与え、特に住宅や建物、そして車などがその被害に遭いやすいです。そんな時に、真っ先に考えるのが「保険」の存在でしょう。
自分の車にかけている車両保険が、地震での損壊に適用されるのか、あるいは地震保険に加入していればカバーできるのか、多くの疑問が浮かぶかもしれません。地震による損害は、自然災害として非常に大きな規模で発生するため、保険の適用範囲や条件が他の損害と異なることが多いです。
本記事では、地震による車の損壊に対する保険の適用範囲や、全損時の対応、さらに廃車に至る場合の処理手順について詳しく説明していきます。
また、万が一の際に備えて、どのような保険に加入すべきか、保険選びのポイントについても触れていきます。地震はいつ発生するかわかりませんが、事前にしっかりと備えておくことで、予期しないトラブルにも冷静に対応できるようになるでしょう。

地震で車が壊れたら車両保険は使えない
地震によって車が破損した場合、一般的な車両保険はその損害をカバーできないことが多いです。車両保険は主に交通事故、火災、盗難などのリスクに対して補償を提供するものであり、地震や津波などの自然災害に関しては通常、補償の対象外となります。
なぜなら、地震や津波は発生範囲が広範であり、その損害が甚大であるため、保険会社にとっては莫大なリスクを伴うからです。このため、標準的な車両保険では地震に起因する損害は免責条項として除外されています。
特に地震が多い地域では、この問題に直面する機会が増える可能性があります。車が地震で壊れてしまった場合、多くの人は「車両保険に入っているから大丈夫」と思うかもしれませんが、実際には地震や津波による被害は一般の車両保険では補償されません。これにより、修理費用を自己負担することになり、家計に大きな負担がかかる可能性があります。
車両保険の地震特約とは
このようなリスクに対応するために、多くの保険会社では「地震特約」というオプションを提供しています。地震特約とは、地震や噴火、津波といった自然災害が原因で車が損傷した場合に、その損害をカバーする特別な補償制度です。この特約を車両保険に追加することで、地震による車両損害も補償の対象となり、万が一の際にも保険金を受け取ることが可能になります。
地震特約は、通常の車両保険に比べて保険料が若干高くなりますが、それでも地震リスクの高い地域に住んでいる場合には、加入を検討する価値があります。
特に、地震による被害は予測が難しく、突然発生するため、事前に備えておくことが非常に大切です。また、地震特約は加入時に選択するオプションであり、自動的に付与されるわけではないため、保険契約時にしっかりと確認しておくことが大切です。
車両保険が使える災害
一方で、車両保険が適用される自然災害も存在します。例えば、台風による暴風雨や洪水、豪雪などの気象条件による損害は、通常の車両保険でカバーされることが多いです。これらの災害は、風水害として扱われ、保険契約の内容に応じて補償が行われます。具体的には、強風で飛んできた瓦が車にぶつかって損傷した場合や、豪雪で車の屋根が凹んでしまった場合などが該当します。
ただし、これらの災害でも保険の適用範囲や条件は保険会社ごとに異なるため、事前に契約内容をよく確認することが大切です。特に自然災害が頻発する地域に住んでいる場合、車両保険に自然災害の補償が含まれているかどうかをしっかりと確認しておきましょう。
また、保険金を請求する際には、速やかに保険会社に連絡し、被害の状況を適切に報告することが必要です。これにより、スムーズな手続きが進み、適切な補償を受けることができます。
地震保険で車は補償される?
地震保険は、住宅や家財を地震や津波による損害から守るために設けられた保険ですが、残念ながら車は地震保険の補償対象外となっています。地震保険は主に、家や家具、家電などの日常生活に必要な資産を守るためのものです。
そのため、地震によって車が損傷した場合には、地震保険からの補償を受けることはできません。車に対して地震による損害を補償するためには、前述した車両保険の地震特約に加入する必要があります。
地震保険は、住宅や家財の損害に対する備えとして非常に重要ですが、車を守るための手段としては適していません。車は日常生活に欠かせない移動手段であり、特に地方など公共交通機関が少ない地域ではその価値が一層高まります。したがって、車両保険の地震特約を選択することで、地震に備えた包括的な補償を受けることができるようにすることが大切です。
車両保険による全損とは
地震によって車が大きく損壊し、修理が現実的に不可能または修理費用が非常に高額になる場合、その車は「全損」として扱われることがあります。全損には、「物理的全損」と「経済的全損」の2つの種類があり、保険金の支払い方や補償範囲が異なります。
物理的全損
物理的全損とは、車が完全に破壊されてしまい、修理が物理的に不可能な場合に該当します。例えば、地震によって建物が倒壊し、その下敷きになって車が押し潰されたり、津波で車が流されてしまった場合などがこれにあたります。このようなケースでは、車は修理する余地が全くなく、廃車として処分されることになります。
物理的全損となった場合、保険会社は契約者に対して車の現在の市場価値に基づいた保険金を支払います。通常、車の価値は年数や走行距離に応じて減少するため、新車購入時の価格と比べると支払われる保険金は低くなることが一般的です。
しかし、物理的全損の場合、修理不可能なほどの損壊であるため、新しい車を購入するための足しとして保険金を受け取ることができます。
経済的全損
経済的全損は、車が修理可能な状態であっても、その修理費用が車の現在の市場価値を上回る場合に適用されます。例えば、部分的な損壊であっても、修理費用が車の価値を大幅に超える場合、保険会社は修理を選択するのではなく、経済的全損として保険金を支払います。
この場合、車の価値に基づいて保険金が支払われ、新車購入や代替車両の購入にあてることが可能です。経済的全損となるかどうかは、修理費用と車の価値を比較することで判断されます。
車の年式が古かったり、走行距離が多い場合、修理費用が価値を大きく上回ることが多く、経済的全損とされます。この場合、車両保険で支払われる金額は車の現在の市場価値に基づくため、実際の購入価格よりも低くなることが一般的です。
関連記事:自動車事故の全損とは何か?基準と保険などの対応策を詳しく解説
全損に関する保険の特約
全損に関しては、通常の車両保険の補償だけではカバーできない費用が発生することがあります。特に、全損時には追加の諸費用や新車購入時の負担が生じることが多いため、それらを補うための特約を保険に追加しておくことが大切です。保険会社によっては、全損時に備えたさまざまな特約が提供されています。
全損時諸費用特約
全損時諸費用特約は、車が全損と判断された場合に発生するさまざまな費用をカバーするための特約です。例えば、廃車手続きにかかる費用や新車購入時に必要な手数料などが含まれます。全損時には車両保険で車の市場価値に基づいた補償を受けることができますが、そのほかにも細かな費用が発生するため、この特約を利用することで経済的な負担を軽減できます。
新車特約
新車特約は、車を新車で購入した後、一定期間内に全損となった場合に、新車購入時の価格に基づいて保険金を受け取ることができる特約です。
通常、車の価値は購入後すぐに減少し始めますが、この特約に加入していると、全損時に新車購入時の価格に基づいた補償を受けることができます。これにより、全損となっても新しい車を購入する際の負担を軽減でき、特に高額な車を購入した場合には有用な特約です。
レンタカー費用補償特約
レンタカー費用補償特約は、全損や修理が必要な場合に、レンタカーを利用するための費用をカバーする特約です。車が使えない間、通勤や日常生活に支障をきたさないために、代替車としてレンタカーを利用できます。
この特約を利用することで、車が修理されるまでの間や新車が手に入るまでの間も、スムーズに生活を続けることができます。全損や長期間の修理が必要な場合に非常に役立つ特約です。
地震で車が壊れたときの対処法
地震で車が損壊した場合、損害の程度や車の状態に応じて対処法が異なります。修理が可能であれば修理を検討し、修理が困難な場合やコストが高くなる場合には、売却や廃車の手続きを検討することが必要です。それぞれの対処法について詳しく見ていきましょう。
修理をする
車の損傷が比較的軽微であり、修理することで再び使用できる場合には、修理を行うことが選択肢の一つです。しかし、修理費用が高額になることもあるため、複数の修理業者から見積もりを取り、費用を比較することが大切です。
また、修理費用が車両保険の補償範囲内であるかどうかを確認し、保険適用が可能かどうかも検討しましょう。修理後に長期間使用できる見込みがある場合、修理は合理的な選択となります。
中古買取業者に売却する
地震で車が大きく損傷し、修理費用が高額になる場合には、中古買取業者に売却することも選択肢の一つです。車が完全に壊れていない場合や、修理可能な範囲である場合でも、部品取りとして価値があることがあります。
中古買取業者は、損傷車や事故車でも市場価値に応じた価格で買取を行うことが多く、特に人気車種や新しい車であれば、買取価格が高くなることもあります。
廃車にする
修理が不可能なほどの損傷を受けた場合や、修理費用が車の価値を大幅に上回る場合には、車を廃車にすることが最も現実的な選択肢となることがあります。廃車手続きは煩雑ですが、業者に依頼することでスムーズに進めることができます。自分で手続きを行う場合は、必要な書類や手続きにかかる費用について事前に確認し、廃車を適切に進めるための準備を整えましょう。
地震で車が壊れた場合に廃車にする方法
地震によって車が修理不可能なほどの損害を受けた場合、廃車にするのが一般的です。廃車には、自分で手続きを行う方法と、業者に依頼する方法があります。それぞれの方法について説明します。
自分で廃車にする
自分で廃車手続きを行う場合、まずは必要な書類を揃え、陸運局で手続きを行う必要があります。必要な書類には、車検証、ナンバープレート、自動車税納税証明書などが含まれます。手続きを進めるためには、車の引き取り業者を手配する必要があり、その費用が発生することも考慮しておきましょう。
また、自分で手続きを行うことで、業者に依頼する手数料を節約できるメリットもありますが、その分手間がかかる点にも注意が必要です。
廃車買取業者に依頼する
自分での廃車手続きが難しい場合や、手間を省きたい場合には、廃車買取業者に依頼する方法があります。業者に依頼することで、廃車手続きや車の引き取りをすべて代行してもらうことができ、手続きの煩雑さから解放されます。
さらに、廃車にする車でも、部品として価値がある場合には買取金額が提示されることがあり、多少の現金を得ることも可能です。廃車買取業者を利用することで、廃車処分がスムーズに進みます。
まとめ
地震によって車が損壊した場合、一般的な車両保険は補償されないことが多く、地震特約を追加することで初めて補償を受けることが可能となります。全損に関しては、物理的全損と経済的全損があり、それぞれに応じた補償が行われます。さらに、全損時には特約を活用することで、廃車手続きや新車購入にかかる諸費用をカバーできます。
地震で車が壊れた際には、修理、売却、廃車といった選択肢があり、それぞれの状況に応じた対処法を選ぶことが大切です。車の損傷が軽度であれば修理を検討し、損傷が大きく修理費用がかさむ場合は売却や廃車を考慮することが大切です。
さらに、保険の見直しや特約の追加を通じて、地震によるリスクに備えておくことで、予期しない事態にも冷静に対応できるようになります。万が一の地震に備え、車両保険や地震特約の内容を今一度確認し、最適な補償を受けられるよう準備しておくことが求められます。
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この記事の監修者
浅野 悠
「株式会社はなまる」小売事業部 事業部長。1987年東京都生まれ。小学生から大学生までの間レーシングドライバーを目指し数多くの大会に出場。20代で飲食店経営に携わったのち、野菜配達の仕事に就くも、幼少期からの車への魅力を忘れられず自動車業界へ。中古車査定士の資格を取得し、自動車に関する豊富な知識をもとに、おもに車に起きるトラブルの対処法や車の豆知識に関するコラムを執筆。
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