- 2024.11.18
ウォーターポンプの交換費用はいくら?症状・原因別に徹底解説
車の心臓部であるエンジンを冷やす、重要な役割を担うウォーターポンプ。この部品が故障すると、エンジンは深刻なオーバーヒートに見舞われ、最悪の場合、修理に多額の費用がかかる事態にも発展しかねません。
そこで今回は、ウォーターポンプの故障を防ぎ、快適なドライブを長く楽しむために、その仕組みや構造、そして故障による症状、原因、交換時期、費用について詳しく解説します。適切な対処法を事前に知っておけば、いざという時にも慌てずに済みますよ。

ウォーターポンプとは?
そもそもウォーターポンプについて、詳しく知っている人は少ないでしょう。自動車を運転していても、日常的に目にするものではないため、何のための部品なのか知らないケースも珍しくありません。以下では、ウォーターポンプとはどんな部品なのか基本を解説します。
エンジンの温度を冷やすための冷却水を循環させる装置
ウォーターポンプとは、自動車に積んだエンジンの温度を冷やすための「冷却水」を循環させるための装置です。自動車のエンジンは燃料を燃やし続けることで、動き出すためのエネルギーをつくりだします。そのためエンジンの温度は常に上昇していて、そのまま放置しているとトラブルにつながる可能性もあります。
そこでウォーターポンプを使って冷却水を循環させ、エンジンを冷やす必要があるのです。ウォーターポンプで循環される冷却水は「クーラント液」とも呼ばれ、氷点以下でも凍らない不凍液となっています。防腐剤や防錆剤なども含まれているため、氷点下でも数年間は継続して使えるのが特徴です。
ウォーターポンプを使ってオーバーヒートを防ぐ
ウォーターポンプを使って冷却水を循環させることで、エンジンのオーバーヒートを防げます。エンジンがオーバーヒートすると、以下の症状が発生することがあります。
・スピードが出づらくなる
・エンジンの回転数が不安定になる
・アイドリングができなくなる
・突然エンジンがストップする
・エンジンがかからなくなる
など
上記の症状が見られる場合、エンジンがオーバーヒートを起こしている可能性があります。またオーバーヒートによってエンジン周りの温度が上がると、その熱によってアルミや鉄が変形することもあります。
エンジンのオーバーヒートが起きるということは、冷却水を循環するウォーターポンプに何らかの問題は発生していると考えられます。
関連記事:オーバーヒートの警告サインとは?原因・対処法・修理費用を徹底解説!
ウォーターポンプの基本的な構造
ウォーターポンプは、本体となるボディ、部品のハブとして使われるフランジ、内と外を区切って水漏れを防ぐためのメカニカルシール、回転軸として作用するシャフトベアリング、冷却水をエンジンに送り出すインペラーなどの部品で構成されています。
これらのすべての部品が正常に動いている場合、問題なくウォーターポンプが機能します。一方で、これらの部品の1つでも劣化などによって損傷すると、正常にウォーターポンプとしての役割を果たせなくなる可能性があります。
ウォーターポンプとラジエーターの違い
ウォーターポンプが冷却水を使ってエンジンを冷やすには、「ラジエーター」と呼ばれる部品の存在も重要です。ウォーターポンプと合わせて、ラジエーターの基本も把握しておくことで、自動車の基本的な構造を理解しやすくなるでしょう。以下では、ウォーターポンプとラジエーターの違いを解説します。
ラジエーターは冷却水を冷やす装置
ラジエーターとは、冷却水を冷やすための装置です。ラジエーターのなかにある冷却水を冷やし、エンジンが高温になることを防ぎます。ラジエーターによって冷やされた冷却水は、ウォーターポンプによって運転中常に動き続けます。
その際にはラジエーターに付属しているホースをつたい、エンジンに冷却水が届く仕掛けになっています。
ウォーターポンプとラジエーターの組み合わせによってエンジンが正常に動く
ラジエーターが正常に動かなければ、冷却水が冷やされないため、どれだけウォーターポンプを使ってもエンジンの温度を下げられません。逆にラジエーターで冷却水を冷やせても、ウォーターポンプが動かないとエンジンに冷やした冷却水を届けられないのです。
ウォーターポンプとラジエーターの両方が正常に動かないと、エンジンを冷やすことはできません。そのためウォーターポンプの交換が必要な際には、ラジエーターのチェックも重要となるでしょう。
ウォーターポンプが故障した際の症状
ウォーターポンプが故障した際には、さまざまな症状が表面化します。具体的な症状を理解できていれば、ウォーターポンプの異常に早くから気づけるでしょう。以下では、ウォーターポンプが故障した際の主な症状を解説します。
関連記事:エンジン故障の症状とは?原因や修理費用などを解説!
冷却水が水漏れする
ウォーターポンプが故障すると、多くの場合冷却水の水漏れが発生します。エンジンの下あたりに液体が漏れ出している場合には、ウォーターポンプに問題は起きていると考えられます。基本的に冷却水は、水漏れを発見しやすいように、緑・赤・青といった色がつけられています。(車種によって異なる)
また、ウォーターポンプが水漏れしていると、冷却水が短期間で減ってしまう点も特徴です。2〜3週間程度で冷却水がなくなる場合には、水漏れを疑いましょう。
自動車が頻繁にオーバーヒートする
ウォーターポンプが故障していると、冷却水がエンジンを冷やせないため、頻繁にオーバーヒートするケースが多いです。エンジンの回転数が安定しない、すぐに止まってしまうなどのトラブルが頻発している場合にも、ウォーターポンプが故障している可能性があります。
自動車のエンジンが冷えていない場合、水温計が高温(Hのマーク)を示しているはずです。これはオーバーヒートの前兆であり、そのまま走り続けるとエンジンルームから煙が出るなどのトラブルに発展するケースもあります。
走行中などに異音がする
ウォーターポンプが故障している場合、本体から異音が聞こえてくることもあります。ウォーターポンプの異音には多くの種類があり、ガラガラとなかで何かが転がる音や、キーキーと高い金属音などさまざまです。症状が異音だけの場合には、目立った故障箇所がまだ発生していない可能性が高いです。
この段階で交換・修理ができれば、工賃を安く抑えられるケースも多いです。ウォーターポンプからの異音が気になったときには、早めに中身をチェックするのがおすすめです。
関連記事:車から異音がするときに確認する箇所一覧
エンジン周りに白い固まりが残っている
ウォーターポンプが故障すると、エンジン周りに白い固まりが残っているケースもあります。これは冷却水が漏れ出して、そのまま固形化したことが原因だと考えられます。ウォーターポンプの冷却水は、乾燥すると白く固まる性質があります。
これも水漏れを判断するきっかけになるため、わずかでも白い固まりを発見したら注意が必要です。
エンジンルームから甘い匂いがする
ウォーターポンプの故障時には、エンジンルームから甘い匂いがすることがあります。冷却水は異常をすぐ利用者に伝えられるように、綿菓子を連想させる甘い匂いがつけられています。そのため乗車時や走行中に甘い匂いが気になったときには、冷却水が漏れている可能性があります。
ウォーターポンプが故障する主な原因と交換時期
ウォーターポンプが故障する際には、さまざまな原因があります。具体的な原因を追求することで、再発を防ぐことも可能です。以下では、ウォーターポンプが故障する主な原因を解説します。
冷却水が劣化している
ウォーターポンプは循環させる冷却水の劣化によって、故障するケースが多いです。冷却水を交換せずに長期利用している場合、ウォーターポンプの内部にある金属を劣化させ、結果的に水漏れにつながる可能性があります。冷却水を交換した記憶がない場合には、劣化によるウォーターポンプの破損を疑いましょう。
ウォーターポンプの故障を防ぐには、冷却水を定期的に交換することがポイントです。交換時期は冷却水の色ごとに異なり、例えば赤は2年、青は7〜10年といったスパンでの交換が推奨されています。色ごとの交換タイミングをチェックして、ウォーターポンプに負担がかからないように備えるとよいでしょう。
ウォーターポンプの経年劣化
ウォーターポンプ自体が古く、経年劣化している場合にも故障の原因になります。一般的にウォーターポンプの交換時期は、走行距離が10万kmを超えた頃と言われています。具体的には10万kmを超えたあたりから、ウォーターポンプのそばにあるタイミングベルトの交換が推奨されています。
タイミングベルトとは、ウォーターポンプを作動させ、エンジンの点火タイミングや排気コントロールを行う部品です、このタイミングベルトを交換するのと同時に、ウォーターポンプも交換するのが一般的です。交換のプロセスおよび外す必要のある部品が同じであるため、同時に対処することで工賃を安く抑えられます。
関連記事:タイミングベルトの交換費用は?時期や相場について詳しく解説!
エンジンの心臓部ともいえるタイミングベルトは、点火時期や吸排気の制御を担う、きわめて重要な部品です。そのため、交換作業は高度な技術と細やかな注意を要し、安易な取り扱いによって故障を招くリスクがあります。つまり、交換回数を極力少なくすることが、エンジンの健康状態を維持する上で非常に大切なのです。
シャフトベアリングの破損
シャフトベアリングが破損した結果、ウォーターポンプが正常に動かなくなるケースもあります。シャフトベアリングとは、ウォーターポンプの回転をサポートする重要な部品です。シャフトベアリングが劣化・破損すると、ウォーターポンプが正しく回転しなくなります。
しかし、シャフトベアリングの損傷は素人目には分かりにくいのが現実です。冷却水の漏れを発見したら、すぐに専門家の診断を受けることが肝心です。迷わずカーディーラーや信頼できる整備工場に連絡し、点検・修理を依頼しましょう。早めの対処が、大きなトラブルを防ぐ第一歩となります。
前回の交換から10年が経過
車のメンテナンスにおいて、走行距離だけでなく時間の経過も重要な要素です。例えばウォーターポンプは、一般的に10年を交換目安としています。これは、街乗り程度であれば10年で走行距離が約10万キロに達することが多いという理由からです。車の部品は走行による消耗だけでなく、時間の経過による劣化も無視できません。10万キロに達していなくても、10年経過していれば経年劣化による故障リスクが高まるため、交換時期の判断材料として、走行距離と併せて経過年数も考慮することが大切です。
ウォーターポンプの交換にかかる工賃はどれくらい?
ウォーターポンプの交換が必要な場合には、工賃をはじめとしたコストがかかります。事前に交換費用の相場を確認し、無駄に高い工賃を支払わないように注意しましょう。以下では、ウォーターポンプの交換にかかる基本的な工賃を解説します。
工賃は数千〜1万円程度
ウォーターポンプの交換にかかる工賃は、だいたい数千〜1万円程度です。加えてウォーターポンプの部品が1万円程度かかるため、トータルで1〜2万円が相場になるでしょう。コスト面が気になって調子が悪いウォーターポンプを使用していると、さらに大きなトラブルに発展する可能性もあります。
そうなるとさらに工賃や必要な部品が増えてしまい、結果的に上記よりも高い修理費になるケースも懸念されます。そのためウォーターポンプから異常を感知したら、早めに対応するのがおすすめです。
自動車の種類によっても工賃は変わる
ウォーターポンプの交換にかかる工賃・費用は、自動車の車種などによっても変わります。そのため詳しい金額を知りたいのなら、整備向上やディーラーなどに相談して見積もりをするのがおすすめです。自動車の種類やウォーターポンプの状況を伝えることで、だいたいの金額を見積もってくれるケースもあります。
ウォーターポンプの交換について
ウォーターポンプ交換は、タイミングベルトの取り外しや様々な部品の精密な分解・組立てを要する、高度な作業です。タイミングベルトはエンジンの心臓部ともいえる重要な部品。取り扱いには、専門的な知識と細心の注意が必要です。そのため、自動車整備に精通した方でない限り、交換は信頼できるカーディーラーや整備工場に依頼することを強くおすすめします。安全かつ確実な作業を確保するためにも、プロの技に委ねるのが賢明な選択と言えるでしょう。
車の整備に精通した方は、以下の手順で交換作業を行えます。しかし、取り扱いミスはエンジンのオーバーヒートや修復不可能な損傷、さらには本来交換不要だった部品の故障にもつながるため、細心の注意が必要です。
自分で交換するときの手順について
ウォーターポンプを交換するには、以下の手順に従ってください。間違えると車が壊れたり、けがをする可能性があるので、車の修理に詳しい人に頼んで交換してもらいましょう。
①ラジエーターの下にあるドレンボルトを外す
②冷却水を拭き取る
③ラジエーター本体を取り外す(フィンを傷つけないように取り扱いに注意する)
④タイミングベルトを外す
⑤ウォーターポンプを交換する
⑥すべて交換したら、これまでと逆の手順でもとに戻す
⑦冷却水を補充する(エア抜きを十分におこなう)
作業には、ホースの着脱やボルトの取り外しといった精密な作業も含まれるため、細心の注意を払いながら進めていきましょう。一つひとつの工程を丁寧に確認し、安全に作業を進めることを心がけてください。
ウォーターポンプの交換に関する注意点
ウォーターポンプを交換する際には、いくつか注意すべき点があります。交換時に余計なトラブルを増やさないためにも、注意点の把握も重要な準備となるでしょう。以下では、ウォーターポンプの交換における注意点を解説します。
ウォーターポンプの交換は個人では難しい
ウォーターポンプの交換は、個人では難しいものになります。ウォーターポンプを交換するためには、その周辺にあるさまざまな部品を取り外す必要があります。安全に取り外すだけでも困難ですが、交換後にはそれを元通りにする必要があるため、より難易度は高まります。
途中で手順がわからなくなると、交換作業が終わらなくなるため、安全を重視してプロの整備士などに任せた方が無難でしょう。
専門家に依頼して見積もりと交換対応をしてもらう
上記で解説したように、素人の手でウォーターポンプを正確に交換するのは難しいです。そのためウォーターポンプに異常が見られた場合には、専門家に依頼して見積もりと交換対応を任せるのがおすすめです。一般的にはディーラーや整備工場などに持ち込むことで、ウォーターポンプの点検や交換をしてもらえます。
ディーラーならメーカーの保証対象になっている場合、工賃が無料となるケースもあります。一方で整備工場も、安価なコストで交換作業を任せられるため、工賃を節約したい場合に役立ちます。
ウォーターポンプ以外の劣化も多いなら買い替えを検討する
ウォーターポンプの交換を依頼した結果、それ以外の場所にも劣化や損傷が見つかり、修理費が高額になる可能性も考えられます。あらゆる部品を交換・修理するくらいなら、そのまま買い替えた方がお得になるパターンも珍しくありません。
もしウォーターポンプの故障をきっかけに買い替えを検討するのなら、今使っている自動車は買取に出すのがおすすめです。自動車の状況次第では、高価買取が実現し、買い替えにかかる費用を補填できる可能性もあるでしょう。
自動車の買い替え時には「ソコカラ」の利用がおすすめ!
自動車の買い替えを検討する際には、「ソコカラ」で買取依頼をぜひお試しください。「ソコカラ」は多くの買取実績を有する自動車の買取業者として、さまざまサポートを実践しています。
「ソコカラ」はほかの買取業者では値段がつきづらい10年以上経った古い年式の自動車や、10万km以上走行した自動車も高価買取が可能です。どんな自動車でも10,000円以上の買取保証がついているため、廃車予定の自動車も買取できます。まずはお気軽に、「ソコカラ」で買取査定をご利用ください。
まとめ
ウォーターポンプは自動車のエンジンを冷やすために、欠かせない部品です。ウォーターポンプが正常に動かなくなると、エンジンがオーバーヒートするなどのトラブルに見舞われる可能性があります。ぜひこの機会にウォーターポンプの基本や必要な工賃などを確認し、交換の計画を立ててみてください。
ウォーターポンプの交換に合わせて、自動車の買取を考えるのもおすすめです。買取の際には「ソコカラ」にご相談いただければ、正確な査定のもとで高価買取を実現できます。この機会にぜひ「ソコカラ」に、自動車の買取についてお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者
浅野 悠
「株式会社はなまる」小売事業部 事業部長。1987年東京都生まれ。小学生から大学生までの間レーシングドライバーを目指し数多くの大会に出場。20代で飲食店経営に携わったのち、野菜配達の仕事に就くも、幼少期からの車への魅力を忘れられず自動車業界へ。中古車査定士の資格を取得し、自動車に関する豊富な知識をもとに、おもに車に起きるトラブルの対処法や車の豆知識に関するコラムを執筆。
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