- 2024.10.30
イグニッションコイルの寿命や交換時期は?交換手順を徹底解説!
車の調子が悪くなって、困っていませんか? 最近、エンジンのかかりが悪くなったり、加速が鈍くなったり…そんな症状を感じたら、イグニッションコイルの劣化を疑ってみるのも良いかもしれません。
イグニッションコイルは、車の心臓部ともいえるエンジンを動かすために欠かせない重要な部品。目に見えないところで活躍しているため、その存在を意識する機会は少ないかもしれませんね。しかし、この小さな部品の劣化は、思わぬトラブルを招く可能性も秘めているのです。
そこでこの記事では、イグニッションコイルの役割や、劣化によって起こる可能性のある問題点について分かりやすく解説します。さらに、交換方法についても詳しくご紹介します。

イグニッションコイルはエンジンの始動に必要なパーツのこと
イグニッションコイルとは、簡単に説明するとエンジンをかける際に必要なパーツのひとつです。
車のエンジンは、吸気した空気とガソリンを圧縮してつくった混合気と呼ばれる気体を燃やして動力を生み出しています。このとき、圧縮した空気とガソリンを混ぜたもの、混合気に火をつけるために必要なのが、電圧をかけると火花を発生させるスパークプラグです。
ただし、スパークプラグを動作させるためには、非常に高い電圧をかける必要があります。自動車のバッテリーは12Vなので、バッテリーだけでスパークプラグを動作させることはできません。そのため、イグニッションコイルという部品を使って、バッテリーから供給されている電気の電圧を、スパークプラグを動かせるレベルまで増幅させています。
イグニッションコイルがなかったり、壊れていたりすると、スパークプラグが動作せずガソリンを燃やせないので、車のエンジンがかかりません。
イグニッションコイルの適切な交換時期について
車のエンジンをスムーズに動かすためには、イグニッションコイルの適切な交換が欠かせません。適切な時期に交換することで、車両トラブルを未然に防ぎ、安全かつ快適なドライブを維持することができるのです。では、イグニッションコイルを交換する目安とはどのようなものでしょうか?以下で、交換のタイミングについて詳しく見ていきましょう。
メーカーの推奨の交換時期
多くの場合、車両メーカーは、推奨されるメンテナンススケジュールや部品交換時期に関する詳細なガイドラインを提供しています。そのため、まずは車両に付属の取扱説明書やオーナーズマニュアルを丁寧に確認し、メーカー指定の定期点検や交換時期をしっかり把握しておきましょう。これによって、予期せぬトラブルを未然に防ぎ、安全で快適なドライブを長く楽しむことができるのです。
異常な症状が発生したとき
イグニッションコイルの劣化は、エンジンにとって深刻な問題を引き起こす可能性があります。具体的には、エンジンがうまく作動しない、エンジンがかかりにくい、アイドリングが不安定になるといった症状が現れます。このような症状に心当たりがある場合は、早急にイグニッションコイルの点検、そして必要であれば交換を検討することを強くお勧めします。車の健康状態を維持するためにも、適切なメンテナンスは欠かせません。
走行距離と年数を確認
車のイグニッションコイルは、一般的に10万キロから15万キロ、もしくは7年から10年が交換の目安です。しかし、これはあくまでも標準的な期間であり、実際の交換時期は車の使用状況や日頃の手入れ次第で変わってきます。
長持ちさせるためには、定期的な点検が重要です。車の状態をよく観察し、必要に応じて交換することで、エンジン性能の維持向上、そして安全運転に繋がります。日頃のメンテナンスを怠らず、快適なドライブを長く楽しみましょう。
イグニッションコイルの交換時期に生じる不具合
イグニッションコイルが劣化してくると、以下のような不具合が発生します。イグニッションコイル交換の目安として、よくある不具合を押さえておきましょう。
エンジンがかかりにくくなる
通常、車のキーを回すと、すぐにガソリンの燃焼が始まってエンジンがかかります。しかし、イグニッションコイルが劣化していると、燃料の着火に必要なスパークプラグが動かないので、エンジンに火が入りません。
通常、車のキーを回すと、すぐにガソリンの燃焼が始まってエンジンがかかります。しかし、イグニッションコイルが劣化していると、燃料の着火に必要なスパークプラグが動かないので、エンジンに火が入りません。
「最近キーを何度も回さないとエンジンがかからなくなった」と感じたら、イグニッションコイルの不具合を疑いましょう。
関連記事:エンジン故障の症状とは?原因や修理費用などを解説!
アイドリング中にエンジンが止まったり不安定になる
イグニッションコイルが故障すると、吸気・圧縮・燃焼・排気というエンジン動作の4サイクルがうまく回らなくなります。こうした状況で増えるのが、マフラーからの異音や、音量のばらつきです。エンジンの動作そのものが不安定になるため、エンジンが止まるケースもあります。
出発前にカーナビを操作している最中や信号待ちの時間など、アイドリング中に音や振動面の不具合を感じたら、車を修理業者に持っていきましょう。
アクセルを踏み込んでもスピードが出づらくなる
イグニッションコイルの故障事例としてよくあるのが、加速の不具合です。イグニッションコイルが不調だとエンジンの出力や動作が不安定になるため、アクセルを踏み込んでもなかなか速度が出ないといった症状が現れます。
エンジンのチェックランプが点灯
エンジンチェックランプが黄色く点灯したら要注意。イグニッションコイルのトラブルが潜んでいる可能性があります。通常、エンジン始動時には点灯しますが、すぐに消えるのが一般的です。しかし、消灯しない場合は、車の制御システムが異常を検知しているサイン。直ちに停止が必要な警報ではありませんが、安全な場所に車を停め、ディーラーや整備工場への点検依頼が欠かせません。
イグニッションコイルの故障は、イグニッションセンサーがエンジンの点火制御システムの異常を感知し、警告灯を点灯させる原因となります。黄色い警告灯だからと安易に走行を続けると、最悪の場合、走行中にエンジンが止まってしまう危険性も。早めの点検で安心安全なドライブを確保しましょう。
イグニッションコイルの交換方法と費用について
車のエンジンがかからない、といったトラブルに見舞われた時、イグニッションコイルの故障が原因かもしれません。この重要な部品の不具合は、車の走行に深刻な影響を与えます。もし、イグニッションコイルに不具合が見つかった場合、早急に交換することが必要不可欠です。そこで今回は、イグニッションコイルの交換方法について、ご自身で交換する場合と、専門業者に依頼する場合の2つのケースを詳しく解説します。
交換にかかる費用は、作業方法によって大きく異なります。後ほど詳細な費用例をご紹介しますが、状況によっては意外な出費となる可能性もありますので、事前に予算を検討しておくことをおすすめします。
自分でイグニッションコイルを交換する場合
1.必要な道具の準備
イグニッションコイルを交換するには、いくつかの道具が必要です。具体的には、以下のツールを用意しましょう。
・ラチェットレンチ
・メガネレンチ
・プラグレンチ
・イグニッションコイル
【イグニッションコイルの選定方法】
車のエンジンを力強く始動させるためには、イグニッションコイル選びが重要です。スパークプラグとの適合性を確認するのはもちろんのこと、車種、メーカー、型式といった情報が不可欠です。日本の自動車市場ではNGKやDENSOといったメーカーのスパークプラグが広く採用されているため、これらのメーカーのプラグに対応したイグニッションコイルを探してみるのが良いでしょう。確実な選択をするために、NGKの公式ウェブサイトを利用して、車両情報に基づいた適合製品の検索を行うことをお勧めします。適合品を見つけることで、安心してエンジンパフォーマンスを向上させることができるはずです。
NGK:イグニッションコイル適応品番検索
2.交換手順
イグニッションコイルを交換する手順を説明していきます。
まずはエンジンを完全に冷ましてから始める。そこから以下の手順で進めてください。
①バッテリーのマイナス端子を外す
②イグニッションコイルを覆っているもの(エンジンカバーなど)を外す
③イグニッションコイルに接続されている電源コネクターを取り外す
④固定ボルトを解除して古いコイルを取り出す
⑤新しいコイルを取り付け、固定ボルトでしっかりと固定
⑥電源コネクターを接続し、バッテリーのマイナス端子を取り付ける
作業終了後には必ずエンジンを始動させ、正常に作動することを確認しましょう。万が一、異常があれば早急な対応が必要です。
イグニッションコイルはエンジンの心臓部ともいえる重要な部品です。そのため、専門的な知識を持たずに交換作業を行うと、イグニッションコイル自体だけでなく、エンジン全体の故障につながる可能性も否定できません。思わぬトラブルを避けるためにも、交換作業は熟練の整備士に依頼することを強くお勧めします。
自分で交換する場合の費用の目安
イグニッションコイルを自分で交換する場合、必要な工具と部品の費用がかかります。具体的には、ラチェットレンチ、メガネレンチ、プラグレンチといった工具と、交換用のイグニッションコイル(4本セット)、スパークプラグ(4本セット)が必要になります。これらの工具と部品をすべて新品で購入する場合、費用は15,000円から30,000円程度と予想されます。
専門業者にイグニッションコイルの交換を依頼する場合
イグニッションコイルの交換は、ディーラーや整備工場、カー用品店などの専門業者に依頼できます。これらのプロは、まず車の状態を丁寧に検査し、不具合箇所の特定から修理までワンストップで対応してくれるので、非常に便利です。作業の手間を省けるだけでなく、正確な診断と的確な交換により、安心と信頼を得られます。
専門業者にイグニッションコイルの交換を依頼する場合の費用の目安
イグニッションコイルの交換費用は、1本あたり10,000円から15,000円が相場です。お車の気筒数に応じて交換費用は変動しますので、総費用を算出する際は、気筒数と1本あたりの費用を掛け合わせてください。例えば、4気筒エンジンの場合、交換費用は合計で約40,000円から60,000円となります。正確な金額は、車種や整備工場によって異なるため、事前に確認することをお勧めします。
車種やイグニッションコイルの種類によっては、精密な作業や大規模な修理が必要となる場合があり、その分費用も高額になる可能性があることを、事前に理解しておきましょう。
イグニッションコイルを交換する際のポイント
交換作業にあたっては、以下の2点にもぜひご注目ください。より安全で確実な作業を行うために、重要なポイントとなります。
1.全気筒の交換
イグニッションコイルの交換が必要になった際は、1気筒だけ交換するのではなく、全気筒のイグニッションコイルを交換することをお勧めします。
イグニッションコイルの故障や劣化は、一つだけでなく複数同時に発生する可能性があります。同じ条件下で同じように使われてきたコイルは、寿命もほぼ同じと考えるのが自然だからです。
2.スパークプラグの交換
スパークプラグの消耗が激しくなると、イグニッションコイルへの負担が増大し、深刻な問題につながる可能性があります。劣化したスパークプラグを使い続けると、エンジンの異常燃焼や失火といったトラブルが発生しやすくなります。こうした状況下では、電圧の逆流によってイグニッションコイルにダメージが蓄積され、早めの故障を招く恐れがあります。そのため、イグニッションコイルを交換する際には、同時にスパークプラグの点検・交換を行うことを強くおすすめします。新しいコイルへの投資を無駄にせず、長期間にわたって安定したエンジン性能を維持するためには、この点に留意することが大切です。
スパークプラグについては下記で詳しく解説します。
スパークプラグ
エンジンの心臓部ともいえるスパークプラグ。その役割は、燃料と空気の混合気に火花を散らし、燃焼を始めることにあります。いわば、エンジンを動かすための最初の火付け役です。
この小さな部品が、適切なタイミングで交換されなければ、思わぬトラブルを招く可能性も。例えば、イグニッションコイルへの負担が増加し、故障リスクが高まるといった事態も起こり得ます。点火プラグとも呼ばれるスパークプラグは、エンジンのシリンダー内部にしっかりと取り付けられ、正確な着火を担保しています。
イグニッションコイルを交換しないリスク
イグニッションコイルの故障を放置すると、思わぬトラブルに見舞われるかもしれません。具体的には、エンジンが始動しにくくなったり、走行中にエンジンが止まったりといった症状が考えられます。場合によっては、最悪、走行不能に陥る可能性も否定できません。安全な運転を確保するためにも、故障が認められた際には速やかに交換することが重要です。
故障したイグニッションコイルを交換しなかった場合
・排気ガスの有害物質を浄化する触媒が劣化
・走行中にトラブルが発生する(充分な加速が生まれない、突然エンジンが停止するなど)
イグニッションコイルのトラブルは、放置すると他の部分にも深刻な問題を引き起こし、修理費用が当初の見込みを大きく上回る可能性があります。小さな不具合も見逃さず、早期に対処することが大切です。
さらに、寿命が尽きようとしている、あるいはすでに寿命を迎えたイグニッションコイルを交換せずに放置すると、さまざまなリスクが伴います。
関連記事:軽自動車の寿命ってどれくらいが目安?
寿命切れ・寿命間近のイグニッションコイルを交換しなかった場合
・イグニッションコイル以外の自動車部品に故障や劣化が見られる
・費の悪化により、燃料費が以前と比べて大幅に増加
・イグニッションコイルの寿命を縮める可能性がる
不調を感じたらパーツを点検・交換しましょう
自動車は、イグニッションコイルが正常な状態でないとエンジンがうまくかかりません。アイドリング中にエンジンの音や排気が不安定になったり、エンジンが止まったり、アクセルを踏んでも速度が出なくなったりしたら、寿命を迎えている可能性が高いです。目安として、10万km近く走ったらイグニッションコイルやスパークプラグを点検し、異常があれば交換しましょう。
イグニッションコイルを交換する時期に車の売却を検討するのもおすすめ
一般的にイグニッションコイルの寿命は、走行距離約10万kmといわれています。この距離は、車の価値が大きく下がる転換点とも捉えられ、交換せずに売却を検討するなら、このタイミングがおすすめです。少しでも高く買い取ってもらうためにも、事前に状態を確認し、必要であれば交換してから売却することを検討しましょう。ただし、交換直後の売却は、交換費用が無駄になる可能性があるため、注意が必要です。
まとめ
イグニッションコイルやスパークプラグは消耗部品であり、適切なタイミングで交換する必要があります。
イグニッションコイルを自分で交換したことがない人や、自分で交換する自信がない人は、ディーラーや修理業者に依頼するのも方法の一つです。また、必要な工具を手元にしっかり用意すれば自分でもスムーズに作業できるので、本記事で紹介した手順に沿ってチャレンジしてみるのも良いでしょう。
イグニッションコイルが故障したときに、年数も古くなり走行距離が多くなっているのであれば、ほかの部品の劣化や今後の不具合発生も頭をよぎります。
これを機に、車を売って新しい車へ乗り換えを検討してみるのも良いかもしれません。
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この記事の監修者
浅野 悠
「株式会社はなまる」小売事業部 事業部長。1987年東京都生まれ。小学生から大学生までの間レーシングドライバーを目指し数多くの大会に出場。20代で飲食店経営に携わったのち、野菜配達の仕事に就くも、幼少期からの車への魅力を忘れられず自動車業界へ。中古車査定士の資格を取得し、自動車に関する豊富な知識をもとに、おもに車に起きるトラブルの対処法や車の豆知識に関するコラムを執筆。
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