- 2024.10.24
10対0の物損事故で修理費はどうなる?請求方法と注意点を解説
10対0の物損事故、加害者の過失が明白な交通事故に巻き込まれた時、修理費用やその他損害の請求手続きに戸惑う気持ちは、誰しもが抱くものです。しかし、まずは落ち着いてください。この記事では、スムーズな請求手続きを導くためのガイドラインと、知っておくべき重要なポイントを分かりやすく解説します。
賠償請求のプロセスを具体例を交えながら丁寧に解説することで、不安を解消し、安心して手続きを進められるようサポートします。最後までお読みいただき、少しでも不安が軽減することを願っています。

過失割合が10対0となる物損事故の特徴について
事故の過失割合が10対0とは、相手側の重大な過失、例えば信号無視や追突などによって発生し、被害者側に一切の責任がない場合を指します。被害者にとっては、まさに「もらい事故」という状況と言えるでしょう。
10対0の過失割合が認められた物損事故の場合、加害者には事故によるすべての損害賠償義務が課せられます。具体的には、被害車両の修理費用に加え、修理期間中の代車費用なども含まれ、被害者は経済的な負担を一切負う必要はありません。
事故の責任が明確な10対0の過失割合の場合、被害者の方は相手方の保険会社から提示される賠償金を基に、車の修理または買い替えを選択できます。
しかし、現実は甘くありません。もし過失割合が10対0だった場合、被害者側の保険会社は法律によって事故への関与ができず、被害者の方ご自身で保険会社と交渉を進めなければなりません。この負担は想像以上に大きく、精神的にも経済的にも大きなストレスとなるでしょう。
10対0の物損事故になりやすい状況とは
- 信号無視してきた車との事故の場合
- 追突事故による事故の場合
- センターラインを越えてきた対向車との事故の場合
- 当て逃げ・駐停車中の事故の場合
10対0の過失割合が認められる可能性のある物損事故について、いくつか例を挙げました。しかし、これらの事故すべてが必ず10対0になるとは限りません。被害者にも過失があると判断された場合、保険会社は過去の判例や事故状況を精査し、過失割合の変更を請求してくる可能性があるのです。
関連記事:過失割合10対0はありえない?!事故に遭わないための防衛運転の大切さについて
10対0の物損事故で請求できる示談金は6種類ある
物損事故が発生した場合、どれだけ精神的に辛い思いをしても、慰謝料を請求することはできません。これは法律で決められています。しかし、事故直後は分からなかった怪我などが、後になって発覚し、人身事故に切り替わることがあります。もしそのような状況になれば、治療費はもちろんのこと、精神的な苦痛に対する慰謝料の請求も可能になります。
関連記事:もらい事故で受け取れる慰謝料の目安は?計算方法や注意点を解説
自動車事故で相手方の過失が認められた場合、受け取れる示談金の項目は主に6つあります。具体的にどのような項目があるのか、詳しく見ていきましょう。
請求できる示談金①車の修理費用
交通事故で生じた車の修理費用は、示談金の算出において重要な要素です。通常、相手方当事者立ち会いのもと、修理業者によって作成された見積書に基づいて示談金額が決定されます。重要なのは、この示談金は実際に修理を行うかどうかとは関係なく支払われるという点です。つまり、示談金を受け取った後、修理せずに別の車を購入することも可能です。受け取った賠償金を新たな車の購入資金に充てる選択肢も、認められていると言えるでしょう。
全損の場合は請求できる示談金が修理費用ではないので注意が必要です。詳しくは次の項目で解説します。
全損と部分損の違い
10対0の事故では、全損と部分損のいずれかで修理費の請求が異なります。
全損とは、車の損傷がひどく、修理費用が車両の価値を上回ってしまう場合です。
全損と部分損の判断は、保険会社が行いますが、車の損傷状況や修理費用、車両の価値などを総合的に判断して、全損か部分損かを決定する流れです。
部分損と判断された場合は、修理費用が支払われますが、修理費用は、保険会社が指定する修理工場で行う必要があります。
関連記事自動車事故の全損とは何か?基準と保険などの対応策を詳しく解説
請求できる示談金②売却価格を差し引いた買替差額
自動車が全損状態になった際、保険会社から受け取れるお金に「買替差額」があります。全損には大きく分けて2つのパターンがあり、それぞれ示談金の算出方法が異なります。
・物理的全損:修理不可能なほど損傷した状態の場合
・経済的全損:修理は可能でも、買い替えた方が安くなる状態の場合
車両保険において、物理的全損または経済的全損と判定された場合に支払われる金額は、買取差額、つまり「売却差額」です。この差額は、車の時価額から廃車となった車の売却額を差し引いた額で算出されます。物理的全損の場合は修理が不可能なため買い替えが必要となりますが、経済的全損の場合、売却差額に自己負担を追加することで修理することも選択肢として残されています。
全損扱いになった場合は車の市場価格相場しか支払われないので要注意
車の事故で全損と判定されても、実は損をする可能性があるのです。全損には「車が完全に壊れて修理不能な物理的全損」と「修理費用が車の時価を上回り、経済的に修理ができない経済的全損」の2種類があるためです。どちらの場合も、保険会社から支払われる金額は、新しい車に乗り換えることを前提とした市場価格が基準となるため、愛着のある車だった場合、金銭的な損失を感じるかもしれません。
物理的全損の場合:修理費用ではなく買い替え費用が支払われる(修復不可能であるため)
経済的全損の場合:買い替え費用が支払われる(買い替えた方が安くなるため)
愛着がある古い車でも、事故で大破した際の賠償金は、車の状態を考慮すると低額に評価されるのが現実です。物理的な損傷が激しく、経済的全損と判断された場合、市場価格を上回る修理費用は残念ながら自己負担となります。
請求できる示談金③新車など価値が高い車の評価損
交通事故で車が傷ついてしまった時、修理代だけでは済まされない損害があることをご存知ですか?それが「評価損」です。たとえ修理を終えて元の姿に戻ったとしても、事故車の烙印を押され、市場価値は大きく下がってしまいます。修復歴のある車は、中古車市場で敬遠されがちで、査定額は大幅に減額されるのです。
この価値の低下分、つまり事故によって減じた車の価値を補償するのが、評価損の賠償金です。特に、高級車や登録から3年以内、走行距離4万km以下の比較的新しい車は、評価損が認められやすい傾向にあります。これらの車は、市場価値が大きく、修復による価値の減少も目立つためです。しかし、古い車や走行距離の多い車の場合、評価損の請求が認められるケースは少ないのが現状です。
車の価値を守るためにも、事故に遭われた際は、評価損についても適切な示談交渉を行うことが重要になります。専門家の意見を参考に、損害額を正確に算定し、正当な賠償を受け取るよう心がけましょう。
関連記事:新車で事故に巻き込まれた場合の対処法について|評価損を認めさせる方法について解説
請求できる示談金④不動車を動かすためのレッカー代
事故車を動かすためのレッカー代も請求可能です。
レッカー代は、事故現場から修理工場までの距離や、事故車の大きさによって異なります。
また、レッカー代の請求額は、保険会社と交渉して決める金額です。
請求する際には、以下の点に注意しましょう。
・レッカー会社は、保険会社が指定するレッカー会社を選ぶ必要がある
・レッカー代は、保険会社の定める基準に基づいて計算される
レッカー代は、保険会社によって異なるため、事前に保険会社に確認しましょう。
請求できる示談金⑤修理中の代車費用
事故車の修理中に代車が必要な場合、その費用も請求できます。
ただし、代車費用は、事故の状況や車の状態、修理期間などによって異なるので気をつけましょう。
例えば、修理期間が長く、公共交通機関での移動が困難な場合や、仕事で車が必要な場合は、代車費用が認められる可能性が高くなります。
代車費用は、保険会社と交渉して決める金額で、請求する際には、以下の点に注意する必要があります。
・代車の種類は、保険会社が指定する範囲内で選ぶ必要がある
・利用期間は、修理期間とほぼ同じ期間である必要がある
・代車の利用料金は、保険会社の定める基準に基づいて計算される
代車費用は、保険会社によって異なるため、事前に保険会社に確認することをおすすめします。
請求できる示談金⑥休車損害の請求
修理中に車を使用できなかった期間の損害として、休車損害も請求可能です。
休車損害は、車の使用目的や収入状況によって金額が異なります。
例えば、営業車で仕事をしている場合は、休車期間中の収入減を証明することで、休車損害を請求できる可能性があります。
休車損害を請求する際には、以下の点に気をつけると良いでしょう。
・休車期間は、修理期間とほぼ同じ期間である必要がある
・休車損害の金額は、車の使用目的や収入状況などを考慮して計算される
・休車損害を証明する資料が必要
休車損害は、保険会社によって異なるため、事前に保険会社に確認することをおすすめします。
物損事故の示談交渉の流れ
保険会社への連絡と修理見積もりの取得
事故後、まずは自分の保険会社に連絡し、事故の状況を報告します。
その後、保険会社から修理工場を紹介してもらい、修理見積もりを取得する流れです。
保険会社に連絡する際には、以下の情報を伝える必要があります。
・事故日時
・事故場所
・事故状況
・自分の連絡先
・相手の連絡先
修理見積もりは、保険会社が指定する修理工場で取得する必要がありますが、修理費用、部品代、工賃などが記載されています。
示談交渉の進め方
示談交渉は、保険会社と直接行う場合と、相手方と直接行う場合がありますが、修理費用、代車費用、評価損など、すべての費用を請求する必要があります。
また、相手方の過失割合を明確にすることが重要です。
過失割合によって、示談金額が大きく変わるため、適正な過失割合を主張することが重要になってきます。
示談交渉は、以下の手順で行います。
1.保険会社に連絡し、事故の状況を報告
2. 保険会社から修理工場を紹介してもらい、修理見積もりを取得
3. 保険会社と示談交渉を行い、示談金額を決める
4. 示談書を作成し、署名
5. 示談金額を受け取る
示談交渉は、複雑な手続きを伴うため、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
示談書の作成と示談金の受取り
示談交渉が成立したら、示談書を作成します。
示談書には、示談金額、支払い方法、支払期限などが記載されているので確認しましょう。
署名すると、示談が成立し、その後は、示談金額が支払われます。
示談書は、保険会社から提出されるので、示談書の内容をよく確認し、特に以下の点に注意する必要があります。
・示談金額
・支払い方法
・支払い期限
・免責事項
示談書の内容に納得できない場合は、署名する前に保険会社に交渉する必要があります。
物損事故で注意すべき点
過失割合が示談金額に与える影響
過失割合は、事故の状況によって異なります。
過失割合は、保険会社が判断しますが、事故の状況や、それぞれの当事者の行動などを総合的に判断して、過失割合を決定します。
例えば、信号無視や速度超過などの重大な違反行為があった場合は、過失割合が高くなり、過失割合が低いほど、示談金額は低くなるものです。
納得できない場合は、保険会社に対して異議申し立てが可能です。
過失割合は、示談金額に大きな影響を与えるため、適正な過失割合を主張することが重要です。
新車の時価額と示談金
新車であっても、示談金は車の時価額に基づいて支払われます。
時価額は、車の年式や走行距離、状態によって異なりますが、新車であっても購入時の全額が保証されるわけではないので、注意が必要です。
無保険車との事故での対応
加害者が任意保険に未加入の場合、示談交渉が複雑になることがあります。
無保険車との事故では、被害者は、自賠責保険から補償を受けることができます。
ただし、自賠責保険の補償金額は限られているため、修理費用が全額支払われない場合があります。
無保険車との事故では、以下の点に気をつけておきましょう。
・補償金額は限られているため、修理費用が全額支払われない場合がある
・自賠責保険の補償範囲は、人身傷害と物損の両方
・自賠責保険の補償金額は、事故の状況や車の状態によって異なる
無保険車との事故では、示談交渉が複雑になるため、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
「修理と乗り換え迷ったら?
車の修理が必要になった時、あなたはどんな判断を下しますか?軽微な損傷なら迷わず修理するでしょう。しかし、深刻な損傷、特に「経済的全損」と診断された場合は、修理か買い替えか、難しい選択を迫られます。この判断基準は、損傷の程度によって大きく異なります。この記事では、経済的な視点も加味し、修理と買い替えの判断基準を分かりやすく解説します。
軽度な損傷なら「修理」を選択する
車の小さな傷、どうすればいいか迷っていませんか?バンパーやドアミラーの擦り傷程度なら、修理でほぼ新品同様の状態に修復可能です。ドアやフェンダーなど、交換可能な部品の破損も同様です。修理を選択することで、車を元の姿に戻せるだけでなく、経済的にもメリットがあります。
ただし、古いお車の場合、修理費用が車の市場価値を上回ってしまう可能性も。軽微な損傷でも、修理費用が車の価値を上回ってしまうと、経済的全損と判断される場合があります。この場合は、修理費用を支払うより、新しい車に乗り換える方が経済的に有利です。保険会社から支払われる賠償金は、修理の有無に関わらず支給されますので、乗り換えを考えているなら、その費用の一部に充てることもできます。
つまり、修理するか乗り換えるか、その判断基準は車の状態と市場価値、そしてあなたの今後の計画次第です。車の状態をよく確認し、将来の計画も加味して、最適な選択をしましょう。
フレーム修理が必要になったら「乗り換え」を選択する
車体の骨組みとなるサイドメンバーやクロスメンバー、リアフェンダーなどに損傷が見られる場合、車の乗り換えを検討すべきです。特に、切断や溶接といった板金修理が必要なケースでは、修理内容によっては乗り換えが現実的な選択肢となります。なぜなら、これらの修理は、どんなに丁寧に施されても、再溶接部分からの錆の発生リスクが高く、車の寿命を著しく縮める可能性があるからです。
高級車や新車であれば話は別ですが、多くの車は、修理費用に見合うだけの評価額の向上を期待できません。そのため、修理による長期的なコストを考慮すると、乗り換えが経済的に賢明な判断と言えるでしょう。
深刻な状態なら廃車という選択も
事故によってフレームが大きく歪んだり、エンジンに深刻な損傷を受けたりした場合、修理しても再発のリスクが非常に高まります。安全面を考慮すると、走行は危険なため、廃車を選択することも賢明な判断と言えるでしょう。さらに、修復歴のある車は、将来的な売却において大幅な査定額減額が避けられません。高額な修理費用を考慮すると、たとえ相手方から全額賠償を受けられたとしても、費用が賄いきれない可能性も十分に考えられます。安全面と経済的な側面を総合的に判断すれば、廃車が最良の選択となるケースもあるのです。慎重に検討することが重要です。
まとめ
10対0の物損事故では、被害者が全面的に示談交渉を行うため、適切な請求方法を理解しておくことが重要です。本記事で紹介したポイントを参考に、確実な対応を心掛けてください。
特に、過失割合や評価損、休車損害などの請求については、しっかりと主張することが重要です。示談交渉は、複雑な手続きを伴うため、弁護士などの専門家に相談するとよいでしょう。弁護士は、示談交渉のサポートや、過失割合の主張、示談金額の交渉など、様々なサポートを提供してくれます。
事故の影響でフレームの深刻な歪みやエンジンの重大な損傷は、修理後の再発リスクを著しく高めます。安全性を最優先すると、走行継続は危険が伴うため、廃車買取業者に買い取ってもらうという選択肢もあります。車の損傷が激しくても、部品として価値のある部分が多いため、予想以上に高額で買い取ってもらえる可能性があります。
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この記事の監修者
澤井 勝樹
「株式会社はなまる」監査役。1975年生まれ。10年近く会計事務所で経理総務全般の経験を積みながら、税理士、行政書士登録。その後、IT系ベンチャー企業のIPOの準備に携わるなど活動。現在はインターネットとクルマの可能性を世の中に伝えたいとソコカラコラムを執筆中。家族・食べること・愛車のセレナが大好き。おもに廃車の手続きや税金に関するコラムを執筆している。
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