動物と交通事故を起こしたらまず連絡を!当て逃げのリスクや飼い主がいた場合の対応も徹底解説

動物と交通事故を起こしてしまったら、どうしたら良いのでしょうか。飼い主がいたら?当て逃げしたらどうなる?保険金はちゃんと降りるのか?など運転手の不安は尽きません。
そこで本記事では、動物で交通事故を起こしてしまった際の対処法や受け取れる保険金について解説します。
目次
ロードキルとは?
一般道路や高速道路で、野生動物に衝突したり轢いたりして、その動物を死なせてしまうことを「ロードキル」といいます。
ロードキルを起こしてしまった場合はどのように対処すればいいのか、保険は適用されるのかなどについての情報をまとめてみました。
動物と交通事故を起こしてしまったら?
一般道路や高速道路で、野生動物に衝突したり轢いたりして、その動物を死なせてしまうことを「ロードキル」といいます。ロードキルをした際に行うことは、主に4つあります。
・警察へ連絡
・動物の保護
・関係各所へ連絡
・保険会社へ連絡
下記に、それぞれの内容について詳しく解説します。
警察へ連絡
野生動物をひいてしまったら警察に必ず連絡をして、以下の状況を伝えましょう。
・事故を起こした場所
・自分や同乗者のケガの状態
・車両の損傷状態
・ガードレール等周辺設備の損壊状況 etc…
交通事故を起こした際、警察に通報をしないと道路交通法72条に反した「報告義務違反」となります。事故の大小にかかわらず、ロードキルをしたらすぐに警察に連絡しましょう。
動物の保護
衝突した動物が生きている場合は、動物病院や動物保護施設へ連絡をして指示を仰ぎましょう。
搬送が必要な場合は手袋などを使用し直接触れないようにして、タオルにくるむ、もしくは段ボールに入れた状態で運びましょう。
動物が死亡している場合は、道路上の死体がそのままだと後続車が衝突してさらなる交通事故を誘発する可能性があり危険です。死体を路肩に寄せて道路の安全を確保する必要がありますが、衛生面や安全面には十分に気を付け、素手で触らないようにしましょう。
関係各所へ連絡
一般道路であれば市役所や保健所に、高速道路であれば管轄のNEXCOに連絡しましょう。
もし連絡先が分からない場合は、国土交通省が運営している緊急ダイヤル「#9910」へ電話し、音声ガイダンスに従って操作してください。
国土交通省 道路緊急ダイヤル
http://www.mlit.go.jp/road/dia/
保険会社へ連絡
交通事故を起こして動物をはねた場合でも、保険を利用できます。たとえば車が壊れた場合にはレッカー車を出してもらえますし、車両保険に入っていれば車の修理費用も出してもらえる可能性もあります。交通事故を起こしたら、保険会社の連絡を忘れずに行いましょう。
保険を利用する場合は、事故証明書が必要となります。事故証明書は、警察に交通事故の届出をしなければもらえないので、事故を起こした際は必ず警察に連絡しておきましょう。
ただし、必ずしも保険を利用した方が良いとは限らないので、保険を利用するかどうかは交通事故の状況によって慎重に判断しましょう。
動物との交通事故の法的扱いは?
動物は法律上「モノ」として扱われるため、動物をひいても「物損事故」扱いとなり、動物には責任能力がないため「自損事故」として処理されます。
衝突したのがシカやイノシシなど大型動物であれば衝撃で車体が損傷することもありますし、また飛び出してきた動物を避けようとしてガードレールや縁石にぶつけてしまうこともあるでしょう。これらの事故は、単独での物損事故扱いとなります。
動物との交通事故の現状
国土交通省が発表している「高速道路会社の落下物処理件数」よると、令和3年度のロードキル件数は、5.1万件に及んでいます。
ロードキルで最も多いのはタヌキです。他にもネコ、ウサギ、イタチなどの小動物や、トビやカラスなどの鳥類などのロードキルも多く報告されています。
ロードキルが発生する主な原因には、道路が建設されるなどして動物の生息域が分断されることにあると考えられており、道路への侵入を遮るためのフェンスの設置のほか、高速道路を中心に道路の下や上に動物が通行できる専用の設備を設置するなど、交通安全確保だけでなく野生動物保護の面からも様々な対策が研究、実施されています。
動物と交通事故を起こした際の注意点
動物と交通事故を起こした場合の不安は大きいものです。特に気になることは次の2点だと思います。
・当て逃げした場合は?
・飼い主がいる場合は?
下記では、それぞれの場合の注意点について詳しく解説します。
当て逃げした場合は?
車を運転中に他の車にぶつけるなどの物損事故を起こしたにもかかわらず、危険防止のための措置や警察への報告を行わずに、そのまま走り去ってしまうと、当て逃げとなります。
運転手は人身事故、物損事故などの事故を起こした際に、道路交通法第72条により危険防止措置義務と警察への報告義務を負っています。事故を起こした場合は、直ちに車を停止して、道路上に散らばった危険物の除去、負傷者の救護などをしなければなりません。
警察へ交通事故の報告義務を怠った場合は、道路交通法第119条により「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」に処せられる可能性があります。動物事故であっても、立ち去らず速やかに報告しましょう。
飼い主がいる場合は?
轢いてしまった動物に飼い主がいる場合があります。ペットをロードキルした場合、ペットの管理責任を怠った飼い主か、轢いてしまった運転手かどちらに責任があるのでしょうか。
それは、交通事故の過失割合によって異なります。運転手が歩道に突っ込んでペットを引いた場合は、運転手に過失責任がありますが、運転手が道路を直進していて急にペットが飛び込んできた場合には、飼い主に過失責任があります。
ペットと衝突したことによって、車が破損した場合には、過失割合に応じて飼い主に修理金額を請求できることもあります。いずれにせよ、速やかに警察に連絡し、適切に対処してもらいましょう。
動物をひいて車が損傷した場合、保険は使えるの?
動物と交通事故を起こした際に利用できる保険は、主に4種類あります。
・車両保険
・対物賠償責任保険
・人身傷害補償保険
・搭乗者傷害保険
下記では、それぞれの保険について詳しく解説します。
車両保険
「車両保険」とは、自分の車が交通事故や自然災害、盗難、いたずらなどで被った損害に対して保険金が支払われる保険です。動物との交通事故の場合でも利用できます。
車両がダメージを受けた場合は車両保険で修理できますが、エコノミープランなど保険プランによっては補償されない場合があるので、気になる場合はご自身が加入している保険の補償内容を確認しておくと良いでしょう。
対物賠償責任保険
対物賠償保険とは、交通事故で他人の財産に損害を与え、賠償責任を負った場合に支払われる保険です。動物と交通事故を起こした場合、被害者がいれば「対物賠償責任保険」を適用できます。
たとえば、カーブミラーを破損した場合には、カーブミラーの修理費用を保険でカバーしてもらえます。対物賠償責任保険は車両保険と異なり、保険金額に限度額が存在しません。
搭乗者傷害保険
搭乗者傷害保険は、保険加入者側の運転者や同乗者が怪我や死亡してしまった場合に利用できる保険です。契約者本人、その配偶者や同居の家族、ドライバーまで補償を受けられます。怪我の部位や症状別によってあらかじめ定めた金額が支払われます。
搭乗者傷害保険は加入者にとってメリットが大きいですが、支払われないケースもあります。たとえば、酒気帯びや無免許運転の場合、また契約者の故意による事故、重大な過失の事故の場合です。
人身傷害補償保険
人身傷害補償保険は、搭乗者傷害保険と同様に、保険加入者側の運転者や同乗者が怪我や死亡してしまった場合に利用できる保険です。治療費や休業損害、逸失利益、精神的損害(慰謝料)などに対して過失割合に関係なく保険金が支払われます。
人身傷害補償保険は、搭乗者傷害保険の対象に加え、記名被保険者とその家族は車に搭乗中以外の自動車事故も対象となります。
動物との交通事故で保険を利用するときの注意点
動物との交通事故で必ずしも保険を利用した方が良いとは限りません。その理由は主に3つあります。
・免責金額がある
・等級がダウンする
・買い換えた方がお得
下記に、それぞれの注意点を詳しく解説します。
免責金額がある
一般的な車両保険には、免責金額があります。免責金額とは「その金額までは保険会社が支払いをしない」という金額のことです。
たとえば車両保険の免責金額が3万円で、10万円の修理費用が発生した場合、3万円までは自分で払わねばなりません。残りの7万円が保険で適用される金額となります。
免責金額が高い場合は、車両保険によって補償されない可能性も多々あります。修理費用が低いとあまりメリットを享受できないかもしれません。
等級がダウンする
車両保険を利用した場合、次年度から保険等級が下がります。一般的に3等級ほど下がってしまうため、もとに戻るためには3年が経過しなければなりません。
保険等級が下がってしまうと、次年度からの保険料が高額になります。車両保険を利用する際には、等級や保険料について事前のシミュレーションをしておくことをおすすめします。
買い換えた方がお得
動物と交通事故を起こして車が大きく損傷してしまった場合、修理費用を支払うよりも、買い替えを行った方が良いこともあります。
特に古くて買い替えを検討しているような車であれば、修理をするよりも新車を購入した方が良いかもしれません。車を長年使用すると自動車税などの維持費も高額になるので、修理費が高額な場合は処分することも検討しましょう。
動物との交通事故を避ける為の対処法
動物との交通事故を避けるためには、法定速度を守ることはもちろんですが、郊外や山間部、森の中を通る道路では動物が飛び出してくるかもしれないと注意を払うことが大切です。
道路脇などに動物の姿を見つけた場合は、周囲のクルマに気をつけて速度を落としましょう。
動物が道路へ進入してきたら、クルマを停止して、道路わきや柵の外へ立ち去るまで待ちましょう。
動物との交通事故のまとめ
本記事では、動物で交通事故を起こしてしまった際の対処法や受け取れる保険金について解説しました。
誰にでもロードキルを起こす可能性があるので、実際に起こした際はあわてずに対処できるように心掛けたいですね。
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